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日本と中国が受注を競っていたインドネシア初の高速鉄道整備計画について、インドネシアのジョコ大統領の特使として来日したソフヤン国家開発企画庁長官が、菅義偉官房長官と会談して日本の提案を採用しない考えを伝えたというのだ。日本外務省によると、ソフヤン国家開発企画庁長官は「日中双方の提案は再検討が必要といったん判断したが、その後中国側からインドネシア政府の財政負担や債務保証を伴わずに事業を実施できる新たな提案があり、インドネシア側は中国提案を歓迎したい」とのジョコ大統領のメッセージを伝えたという。これに対し菅義偉官房長官は、インドネシア政府が鉄道事業を各国企業に参画機会を公平に提供すると説明していたとして、「極めて遺憾と言わざるを得ない」と不快感を表明したという。 インドネシア初の高速鉄道整備計画は首都ジャカルタとバンドン間の140キロを結ぶ計画で、日本は「新幹線方式」の輸出を目指していたが、インドネシアのイグナシウス・ジョナン運輸相は日本が先行していた高速鉄道の建設計画について、中国が実現にむけた調査を近く始めると新聞社の取材に対して明らかにしていたのだ。これは中国政府と一部区間についての協力を約束する覚書を結んだ結果という事のようだが、中国側はインドネシア政府が負担する必要がない資金計画で売り込みをかけていたそうなのだ。インドネシアの高速鉄道計画を巡っては日本と中国の間で激しい受注競争が行われており、インドネシア政府は日中のいずれの案も採用せず「高速鉄道計画」そのものを見直すことを決めていたのだ。 その背景には多額の財政負担を強いられる高速鉄道が本当に必要なのか疑問視する声が、開発の遅れている地方を中心に出ていたことがあり、ジョコ大統領としてはこうした不満の声に配慮せざるを得なかった面があるというのだ。高速鉄道計画を巡ってインドネシア政府が要求していた「政府に財政負担が生じない」とか、「融資に対する返済保証を政府は行わない」・「企業連合などが建設から運営まで当たる」などの点について、中国側が要求に応じる考えを伝えたことからジョコ大統領はこれを評価し、中国が出した案に沿って再び「高速鉄道」の建設を目指すことに方針を転換したというのだ。一方の日本の出した案では資金調達の大部分はインドネシア政府の保証が必要な円借款を利用することになっていたのだ。 日本はインドネシアにとって最大の援助国で戦後からさまざまなインフラ事業が日本の資金援助で行われてきたのだが、近年もジャカルタで日本の円借款を利用したインドネシアで初めてとなる地下鉄の建設が始まったほか、インドネシア最大の石炭火力発電所を日本企業が参画する企業グループが受注するなど、インフラ開発における日本の存在感は大きく今回の高速鉄道の受注競争でも、当初は圧倒的に有利だと見られていたそうなのだ。さらに日本の政府関係者は地震が頻発するインドネシアでは、日本の新幹線の安全性や高い技術が強みになると自信を持っていただけに、今回のインドネシア初となる「高速鉄道」の受注を逃したことに関係者の間では失望と落胆が広がっているというのだ。 菅官房長官は「インドネシア政府の財政負担や債務保証を伴わずに事業を実施できるという中国の新たな提案は、わが国としては全く考えられない提案だ。常識では考えられず、現実的にうまくいくかどうかは極めて厳しいと思う。今までもそうした例が何箇所もあるのではないか」と述べ中国の案が現実的にうまくいくかどうかは疑問だという認識を示したというのだが、中国外務省の洪磊報道官は記者会見で、「中国は高速鉄道の建設と運営の経験が豊富で、外国との協力モデルだけでなく、融資の条件・技術移転・工期の面で優位を占めている」と述べ、こうした点がインドネシア政府に評価されたという考えを示したそうなのだ。今回の受注失敗は鉄道技術の輸出を考えている安倍政権にとって大きな失態となったわけなのだ。
2015年09月30日
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新生銀行が毎年実施しているお小遣い調査によるとサラリーマンの平均小遣いはケータイ代込みで3万9600円だそうで、それが子供のいる既婚者に至っては3万1000円となり、ケータイ代を引いた自由に使える小遣いは実質2万円程度というのが現状だという。酒好きの私の気になるところなのだが1回の飲み代は、調査を開始した年以降史上最低の3000円を下回っているそうなのだ。サラリーマンのお小遣いはここ30年で史上最低になっているそうで、そんな状況下で編み出されたサラリーマンの「ど根性節約術」が雑誌で紹介され、この企画を載せている雑誌のコピーでは「ぜひともこれらの節約術を参考に、このお小遣い不況期を乗り切ってもらいたい」となっているのだ。 既婚者が比較的少なく住宅ローンを抱える人もわずかという理由から、「40~50代に比べ切羽詰まった状態には陥ってない」という印象を持たれがちな30歳前後と言えば、特集を組んだ雑誌の読者層からすると「若者たち」ともいえるそうなのだが実際は、若者たちに貧困の影は濃く覆いかぶさっているそうなのだ。共働き夫婦が増えたとは言っても家計の管理は妻が行うことが多く、少ないお小遣いのやりくりに悩むサラリーマンは依然として多いという。アベノミクスの恩恵は一切な、お小遣い月1万円以下という猛者たちの極貧生活をルポして、1万以下ライフの真実に迫っている。実例ではリーマン・ショック後の厳しいタイミングでありつけた職が時給850円の倉庫作業員だった人の話が載っていた。 その人曰く「繁忙期で残業が多ければ17万円、一日の最低保証額が5100円なので、ひどい月だと12万円ほどにしかなりません。口座残高が200円になったときもあって、派遣会社の前借り制度を使ってなんとか凌ぎました。昇給なんてないし蟻地獄のような職場ですよ」というように、月に自由に使えるお金が3万円もないような苦しい毎日では、食事代を節約するために夜は大量購入した業務用パスタを茹でふりかけをかけて食べるというのだ。昼も前夜牛丼すら買えない人が急増中で、貧乏めしで節約はもはや基本だというのだ。消費増税の影響でますます貧しくなっているサラリーマンのランチ事情は、「昼はめし抜きか、買い置きした1個50円のカップ麺で乗り切っている。1食300円以上なんて言語道断です」が実情のようなのだ。 それらの人に「アベノミクスの恩恵が少しはあるのでは」と聞いてみても、「全然ない。自分の会社は不況のまま」とか、「収入が増えたとしても小遣いは据え置きの予感」とため息交じりに話すサラリーマンたちが多く、ひと月のお小遣いが(ケータイ代を除くと1万円以下という猛者も少なくないという。「ランチは午後3時まで我慢。店をたたむ直前の路上販売で値引き弁当を買う。お腹が空いたら水道の水を飲んで空腹感をごまかす」とか、「スーパーの閉店セール開始30分前に行き、目当ての夕飯用惣菜を確保。セールが始まったら商品をこっそり棚に戻して店員に値引きシールを貼ってもらう」・「毎日、薬局や携帯ショップ店内のウォーターサーバーでペットボトルに水を詰めている」という事までしているというのだ。 飲み物を買うお金もない人間は「マクドナルドのアンケートアプリ『KODO』で、ドリンクかポテトのSサイズなどの無料券がもらえる。お昼はこれと自宅で作ったサンドイッチでセルフのバリューセットを食べます」と言うし、「『みかん味の天然水』などのフレーバードウォーターを買って、水道で2倍に薄めて飲んでいる。もともと濃い味なので、薄めてもちゃんと味はする」・輸入食品チェーンの『カルディ』はコーヒーの試飲ができるので、ランチ休憩のときにフラッと立ち寄って利用している。月4500円ほどの節約になる」という人もいる。「丸亀製麺で120円の天丼用ごはんのみ注文し、無料の天かすとネギで山盛りにして、タレをかけて『オリジナル天かす丼』にして食べています」というように、もはや周囲の視線を気にする余裕なんてないようなのだ。
2015年09月29日
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国内最大の指定暴力団山口組の分裂騒動で、山口組が制裁処分を決めたとされる離脱派の直系組長は13人になっているそうなのだが、山口組が永久追放する「絶縁」が5人に将来的な復帰の可能性を残す追放処分「破門」が8人という。兵庫県警など警察当局は山口組が関係する暴力団組織に処分内容を伝えた「絶縁状」や「破門状」とみられる文書を確認しているそうで、これらの文書上の処分日は分裂騒動が表面化し、山口組執行部が緊急会合を開いたとされる8月27日付となっているそうなのだ。指定暴力団山口組の分裂が表面化してから1カ月以上経っているのだが、兵庫県警など警察当局は離脱派の新組織「神戸山口組」を暴力団対策法に基づく指定暴力団として規制するため実態把握を急いでいるそうなのだ。 数千人規模になるとみられる新組織「神戸山口組」の全体像はつかみにくく、指定作業の長期化は必至の情勢だとされ、未指定の間は「あいさつ料」の要求などを禁じた力団対策法が適用できず専門家から法改正を求める声も上がっている。神戸市中央区の組事務所前で激しく玄関をたたく捜査員に組員が抵抗し応酬が続き、間もなく約20人の捜査員がなだれ込んだ映像がTVのニュースでも放送されたのだが、この事務所は神戸山口組傘下の「山健組」に連なる団体の拠点だという。神戸山口組側だけでなく山口組側では現組長の出身母体「司興業」など双方の有力団体に警察当局の捜索が入ったが、いずれも所属組員らによる恐喝事件等の関係先だが組織実態の把握に狙いがあるのは明白だという。 分裂後は別の指定暴力団からの訪問も相次いているそうで、東京拠点の住吉会幹部が山口組総本部に姿を見せたが、住吉会の別の幹部は既に神戸山口組を訪問しており、同じ団体内で行動が分かれ警察当局はこうした動向にも神経をとがらせているという。暴力団対策法によると各都道府県公安委員会による指定は「暴力団の威力を使って資金を稼いでいる」・「薬物犯罪など暴力団特有の犯罪歴がある者が一定割合以上含まれる」・「代表者らの統制下に階層的に団体を構成している」の3要件を全て裏付けなければならないとされ、分裂直後は互いに切り崩し工作を繰り広げるため、「傘下組織が上部団体と異なる行動をとるケースも実際にみられる」というのだ。 分裂後の指定に時間がかかった事例は過去にもあって、10年前に福岡県拠点の指定暴力団道仁会が割れた際に、離脱した九州誠道会の指定には1年半以上を要したというのだ。その愛出に両団体の抗争は激化して一般市民を含め14人の死者が出たというのだ。兵庫県内でも山口組ナンバー2の宅見勝若頭らが射殺された事件で、関与したとされる中野会が絶縁となって互いの報復とみられる発砲事件などが相次いだが、中野会の未指定状態は2年近く続いたそうなのだ。現在の指定暴力団は国内に21団体だそうなのだが、指定がなければ「あいさつ料の要求」や「不当な地上げ」などの行為は暴力団対策法で規制できず、抗争時の事務所の使用中止命令も出せないというのだ。 さらに今回は構成員の多さも際立っており、過去のケースでは九州誠道会が約350人で中野会が約170人だったが、神戸山口組の場合は離脱派の傘下組員全てが加われば3千人規模になるとされている。警察当局への情報統制を徹底する6代目山口組の体質は神戸山口組も同様とみられ、ある捜査員は「組員名の確認さえも時間がかかる」と語っている。指定暴力団だった組織は離脱後も指定要件を満たすと推定しすぐに指定すべきだというが、早期指定への課題は多いが兵庫県警は「一日も早い指定で市民の安全を守り抜く」とし、情報収集の部署を増員しており、集めた情報の精査が欠かせず暴力団や学識経験者から意見を聴く機会も必要となることから、警視庁や他府県警との情報交換も進めているそうなのだ。
2015年09月28日
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大きな被害を出した先日の東日本豪雨なのだが、気象庁が「これまでに経験したことのない大雨で、重大な危険が差し迫った異常事態と言っていい」という、数十年に一度の雨量で「最大級の警戒を」と強い調子で呼びかける中で明らかになったのは、自治体によって災害広報に驚くほど格差がある実態だとされている。現実問題として自治体の広報には基準らしい基準がないという問題もあって、それは言い換えれば生活する自治体によって情報発信に差があるということのようなのだ。その差が大きいということは災害時においては命の危険度の差にもつながりかねないということなのだが、実際の自治体による災害広報の基準がなく対策を持たないことの危うさを考える必要があるというのだ。 特別警報が発令され聞きなれない表現が繰り返される気象庁の発表を聞いて、この情報がどのように伝達され活かされていくのかに強い関心を抱き、自治体の情報発信を細かく追った記事が私の愛読している業界紙で発表されたのだが、県・市・知事・市長・地元議員などのツイッターアカウントやフェイスブックと組み合わせて、最新の情報を自動的に入手できるようにしたというのだ。ニュースで被害が出たと報じられた自治体サイトを順にチェックし、被害や周囲の状態と避難の情報を確認していったというのだ。そこで明らかになったのは自治体間における情報発信の格差だったというのだ。災害という最も高い情報ニーズをタイムリーに、必要とされる人等にスムーズにアクセスできるよう出せているかどうかだという。 災害時において特定エリアの最新情報を自発的に確認する場合、まず自治体サイトを見に行くことが考えられるのだが、その際にユーザー側のネット環境も必ずしも良いとは限らず、多くの人がアクセスしてサーバーも重くなりがちだというのだ。ニーズの高い情報をどれだけ短時間で見つけて分かりやすくして、行動を決めやすく表示しているかがネット上の発信で重要なポイントになるという。この観点から今回最も被害の大きかった茨城県常総市は、被災した住民に対して避難指示が遅れてしまい、後日市長の避難指示にミスがあったという話は出て市長自身が謝罪をするようなことになっていても、他の自治体と比較して少なくともネット上の広報としては対応が優れていたというのだ。 堤防決壊が起こった9月10日の昼の段階ではすでに常総市役所のトップページのデータ量を軽くした緊急災害情報用に切り替え、最新情報の更新を始めていました。つまり市長の避難指示にミスがあったという話は出ているが、少なくともネット上の広報としてはきちんとアラートを発信できていたという評価が出来るというのだ。災害版に切り替えるメリットは利便性だけではないそうで、「最大級の警戒」を呼びかける状況で自治体としても非常時の特別災害モードで動いていることの、情報を提供しているという強いメッセージにもなっているというのだ。これに対して同じく大被害にあった栃木県の各市では、自治体のサイトに災害関連情報の記載があまり見られず、後にリンクを出したがあくまで通常サイトのままだったそうなのだ。 茨城県は早い段階からツイッターを活用し被害の大きかった常総市や、県警の情報も掲載して通行止め区間を地図の画像を使って伝えるなど、まさにリアルタイムで入ってきた情報をどんどん発信していたのに対して、栃木県は補正予算やイベントの案内など平常モードのサイト更新情報を自動ツイートするばかりで、フェイスブックも含めて災害関連の情報発信はなかったそうなのだ。茨城県のサイトには出ていた避難所や必要物資に災害ボランティアに関する情報も栃木県のサイトには出されておらず、未曽有鵜の災害に関して気象庁が呼びかけた「最大級の警戒」が2つの県庁でどのように受け止められ、県民に情報を提供し意識づけされて行動を促されたかを見ると差が歴然だったというのだ。
2015年09月27日
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全国の総合スーパー各社が相次いで大規模な閉店に追い込まれているそうで、最大手のセブン&アイ・ホールディングスは傘下のイトーヨーカ堂の約2割に当たる40店程度を5年後までに閉鎖する方針を固めたそうなのだ。ユニーグループ・ホールディングスも最大約50店を閉鎖する方針だというのだが、カジュアル衣料品店「ユニクロ」など専門店の台頭により、食品や衣料品などを総花的にそろえた売り場では客を呼ぶのが難しく、リストラ以外に業績改善の糸口を見いだせていないという。「総合スーパーの改革はまだ道半ば」とイオンの岡田元也社長も認めるように、遅ればせながらもイオンが攻守両面でプライベートブランド改革を進める間に、ライバルのセブン&アイ・ホールディングスは先を行っているというのだ。 改革に向けたイオンの取り組みは「トップバリュ」の中長期的な方向性がわからないみたいで、ライバルのセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者も「安かろう、まずかろうでは今は売れない。質の追求でPBに革命を起こした」と語り、他社との絶対的な差異化をセブン&アイ・ホールディングスは図ることができたと自負している。地域ごとに異なる食文化などに合わせて「ご当地」の味付けのメニューを売り出し、売れている商品でも絶えず味の改良を重ね価格以上の価値を生み出すのに余念がなく、それによって既存顧客のリピートを増やしながら新たな顧客の開拓にもつなげているというのだ。それでもイトーヨーカ堂が展開する181店のうち不採算店を整理し採算の改善につなげるというのだ。 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者は、イトーヨーカ堂の現状に「過去の売り手市場の時代から脱却できていない」と言い切っており、実際にセブン&アイ・ホールディングスはコンビニエンスストア事業が過去最高益を更新するなど絶好調な一方、イトーヨーカ堂は本業のもうけを示す営業利益は15年2月期で前期比83.4%減の約18億円と激減させており、てこ入れには痛みを伴う改革が不可欠と判断したというのだ。食料品から日用雑貨に衣料品まで幅広く取りそろえる総合スーパーは各社とも苦戦を強いられており、かつては一つの店舗ですべてそろう総花的な品ぞろえにより顧客を囲い込んできたが、画一的な売り場で品ぞろえも不十分な店舗も多くなっているとの批判もされていたのだ。 そこで家電であれば家電量販店だし衣料品であればユニクロなど、それぞれの分野に強みを持つ専門店への顧客の流出に歯止めがかからず、専門店が消費者ニーズにあった多様な商品を取りそろえるなか、総合スーパーもイオンのようにプライベートブランド商品の開発や店舗改装など売り場の刷新に取り組んでいるが、多様化する消費者のニーズには応えきれず客離れの悪循環が続いているとされている。このため総合スーパーでは採算改善に向けた後ろ向きのリストラばかりが目立つそうで、ユニーも京都府や福島県など20府県で約230店展開する「アピタ」や「ピアゴ」などの全店舗のうち約2割程度にあたる、最大50店程度を今後3~5年間で閉店や統廃合する方針だというのだ。 一方で総合スーパーという業態に見切りをつけたのがイオン傘下のダイエーで、家電や衣料品に日用雑貨などの売り場などは集客も採算も見込めない状況だったため、食料品に特化した店舗改革へとかじを切ったというのだ。食を軸に若年層も来店しやすい店舗づくりを心掛けた店づくりを行い、ある店では1階は少量の総菜や品質の高い食材を中心に1人暮らしの若者だけでなくシニア層も買いやすい商品をふんだんにそろえ、2階はワインや日本酒を豊富にラインアップした酒類専門店のほか料理教室などのイベントスペースやカフェなどに一新したというのだ。3階では必要最低限の衣料品や雑貨を当面扱うが将来的には全フロアを食分野に特化させることも視野に入れているそうなのだ。
2015年09月26日
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安倍首相の今年の誕生日は第2次安倍政権が発足してちょうど1000日にも当たっていたそうなのだ。61歳の誕生日でもあって第2次政権発足後ちょうど1000日の二重の節目の日に安倍首相は、静養先の山梨県で上下白のウエアで友人らとゴルフを楽しんだというのだ。今秋にはアメリカ・ニューヨークでの国連総会に出席し、その後自民党役員人事と内閣改造などが控えているそうなのだが、TVの画像で時折笑顔を見せるなどリラックスした雰囲気の様子だった。安倍首相も記者団に対して「あっという間の1000日でしたが、これからも一日一日大切に全力で強い経済をつくっていくために頑張っていきたい」と述べたが、緊急全国世論調査では安全保障関連法への国民の理解が進んでいないことが浮き彫りになっている。 安全保障関連法が今国会で成立したことを受け大手新聞社が、連休中に電話による全国緊急世論調査を実施したそうなのだが、安保関連法に「賛成」は30%で「反対」は51%となっていたそうなのだ。法律が成立してもなお反対が半数を占めており、国会での議論が「尽くされていない」は75%で、安倍政権が国民の理解を得ようとする努力を「十分にしてこなかった」は74%に上っているそうなのだ。政府・与党は引き続き国民に向けて丁寧に説明していく考えのようなのだが、内閣支持率は35%となっており第2次安倍内閣の発足以降最も低く、不支持率は45%だったそうなのだ。ただ支持率が小幅な下落にとどまったことで政府・与党内には安堵感も広がっているというのだ。 安倍首相周辺は「支持率の下げ幅は想定の範囲内だ。経済対策で反転攻勢に出る」と語り周辺に「次は経済だ」と述べたという。自民党は党本部で両院議員総会を開き安倍晋三首相の自民党総裁への無投票再選を正式に決めたそうなのだ。安倍首相はその後の記者会見でアベノミクスは第2ステージへ移る。「金融緩和」・「財政出動」・「成長戦略」に代わって、強い経済など新たな「3本の矢」を提唱したそうなのだ。2014年度に約490兆円だった国内総生産について「GDP600兆円の達成を明確な目標に掲げたい」と宣言し、経済や社会保障に焦点を当てる姿勢を鮮明にしたというのだ。その上で「誰もが家庭や職場・地域で、もっと活躍できる『1億総活躍社会』をつくる」などと述べたそうなのだ。 安全保障関連法が参院特別委員会で採決が強行され本会議で可決・成立した国会での進め方に批判があって、内閣支持率が低下するなか安倍首相は公明党の山口代表と会談し、自民党総裁に再選したことを受けて党役員人事と内閣改造を行う考えを伝えたというのだ。安倍首相は今週から1週間程度予定する訪米から帰国した後、10月5日の週に内閣改造を行う考えだとされており、内閣の要である菅義偉官房長官と盟友の麻生太郎副総理兼財務相を留任させる意向を既に固めていることを伝えたそうなのだ。山口代表は会談後に「首相からは今後の人事等については『ゆっくり考えさせてください』という話でした。『いずれゆっくりとご相談します』ということです」と答えたという。 安倍政権は再び経済を「最優先」に掲げることで支持率回復のシナリオを描くわけなのだが、先日に行われた会談で山口代表が自民党総裁選挙での無投票再選に対し、安倍首相は「人事についてはいずれ相談する」などと述べているが、公明党幹部は「 安全保障関連法については今後とも国民に説明していく努力が大事だ」と述べている。政権の屋台骨を支える菅官房長官や自民党の谷垣幹事長については留任させ、石破茂地方創生担当相・甘利明経済財政担当相・岸田文雄外相等も留任させる方針だとされている。来夏の参院選に向けて安全保障のような国論を二分する政策テーマは避け、内閣や党執行部の骨格を維持し経済最優先で政権運営に当たるということのようなのだ。
2015年09月25日
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総務省は携帯電話料金の引き下げ策を検討し年内に結論をまとめることを決めたのだが、安倍首相が経済財政諮問会議で検討を指示したことを受けて、総務省内の有識者検討会で議論して決定したというのだ。これはNTTドコモとKDDIにソフトバンクの「3社寡占状態」を問題視したものだとされているが、この決定で携帯電話各社は対応を迫られそうだという。このため携帯電話事業者3社の株価が急落してのだが、2日間で3事業者の時価総額は2兆円以上減少したそうなのだ。株価に敏感なはずの安倍晋三首相が、携帯電話料金の家計負担軽減が大きな課題だとして、高市早苗総務相に料金引き下げの検討を指示したニュースが流れたためだとされているが安保法制の成立にしか関心がなかった結果だろう。 高市総務相はこの時の閣議後の記者会見で有識者による検討について、「様々なアイデアをいただきたい」と述べていたし、甘利再生相によると携帯通信料が家庭支出に占める割合が拡大しているうえ、携帯通信事業者が3社体制で固定化し「競争政策が働いていないとの指摘もある」として安倍首相が直接高市総務相に指示したという。総務省がまとめた昨年度の電気通信サービスの内外価格差調査によると、スマートフォンの月額料金をデータ通信量2ギガ・バイトのプランで比べたところ、東京は7022円で世界の主要7都市では4番目だったことから家庭支出に占める割合が高いと言い難いとしていたのだ。それでも「家計支出に占める比率が高まる理由」は山ほどあることには間違いがないようなのだ。 私は携帯電話もスマートフォンも持ってないのでよくわからないのだが、「ガラケーからスマホへの移行」に「3Gから4Gへの移行」・「ADSLから光ファイバーへの移行」・「スマホ・タブレット・モバイルルーター」など、1人複数台保有の進行等に伴う1契約当たりの売上高の増加や、小学生から高齢者までといった1世帯における携帯電話利用者数の増加などが挙げられるとされている。電車やバス等の公共交通機関の中や駅・停留所、カフェ・街角などで、通話をする人は激減したものの、誰もがスマホやタブレットをいじっており、こんなにスマホ等をいじりまくっている国民は他にはいないと思うし、まるで「スマホ依存症」とも言うべき状況が我々日本人の行動だといっていいのだろう。 それに伴い我が国のデータ通信量は爆発的に増大しており、携帯電話事業者の設備投資は3社合計で毎年1兆円を優に超えているというのだ。スマホや光ファイバーなどのICTの普及促進はこれまで国策としてきており、経済の成長分野として世界最高水準のICT環境の実現を目指し推進してきていたのだ。その成果が情報通信支出の上昇としてしっかり表れたと言うことができるのであれば本来は評価されてしかるべきものなのだ。それでも携帯電話はいまや重要な社会インフラで、電気にガスや水道といったインフラ産業が利益を出し過ぎると、そのうえで生活している人たちや事業を営む企業は健全な社会活動をすることが難しくなることから料金を下げることは必要なのだろう。 そこで「どうすれば生活における通信費の比率を下げることができるのか」だが、総務省案としては二つの視点を提示しているそうなのだ。一つめの視点がユーザーの多様な利用形態に合わせ料金プランをより多様化させることで、言い換えれば料金のミスマッチを最小化するということのようなのだ。我が国のスマホの料金プランは諸外国に比べて、データ通信のヘビーユーザーに優しくライトユーザーに厳しいプランになっており、総務省によると利用者の月の平均通信量は1・9ギガ・バイトだが、大手3社の一般的なスマホの料金プランは最低2ギガ・バイトであることから、一部の利用者は余計に料金を払っていることになるため、高市総務相は「1ギガ・バイトという料金プランの選択肢があってもいい」と指摘している。 そこでライトユーザー向けの新しい料金プランの投入が望まれるわけなのだが、注意しなければならないこととして我が国の携帯電話業界は大手3事業者による「協調的寡占状態」にあることだとされている。このことからより一層の競争を促進させるため「仮想的移動通信事業者」の参入を促進させる政策を打ち込んでいる最中だというのだが、具体例としてスマートフォンのデータ通信量ごとに「細かく料金設定する多段階化の方法もある」としているのだ。今後通信事業者の間でよりシンプルで分かりやすい料金プランへの移行競争が巻き起こることを期待されているのだが、インフラ産業はさらに自由化するか利益を出し過ぎないように規制する必要があるとされていることなのだろう。
2015年09月24日
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農林水産省が今月の「野菜小売価格緊急調査」でキャベツが1キロあたり206円となり、平年に比べ41%高いと発表したというのだ。今夏の天候不順で育ちが悪く出荷量が減っているためなのだが、他の野菜も軒並み値段が上がり高止まりの可能性もあるとしているという。また先週の関東・東北水害のため収穫時期を迎えていた茨城県内の稲作が大きなダメージを受けたことも明らかになり、農家と消費者の双方にとって頭の痛い秋となっているというのだ。関東・東北地方に大きな被害を与えた台風や8月の猛暑など、今年の異常気象は食卓にも大きな影響を与えており、大手スーパー「イオン」の東北地方の店舗ではキャベツ1玉の値段は178円となってしまい、昨年の同時期と比較すると40円高いという。 流通大手のイオングループでは「夏の日照りに加えて、この前の洪水も影響しているようだ」とみており、全国の小売店470店を訪問し農林水産省が毎週公表している調査結果で価格の高騰を示したという。それによるとキャベツ1キロの値段は206円で、2010年~2014年における9月の平均価格と比べると41%高い数字となっており、キュウリは736円で24%高くトマトも796円で13%高かったそうなのだ。東京都新宿区の青果店ではトマトが1玉で280円となってしまい、店主は「普段は180円前後、安い時は150円くらいなんですけど」と驚いていたそうなのだ。高値の理由は「8月上旬の高気温と最近の長雨でキャベツに虫がわくし、9月に入ると学校給食が始まって需要が上がるし、トリプルパンチですね」と話していたそうなのだ。 農林水産省によると特にキャベツが高いのはこの時期の主要産地である群馬県の嬬恋村で雹が降ったためだとしており、積もった雹がてキャベツの表面が傷み、出荷量が減少したことで、店頭で品薄になったことが原因とされている。農林水産省が行う「野菜小売価格緊急調査」というのは、小売店の価格動向を早く把握するため農林水産省が週1回実施しており、各都道府県の10店舗(合計で470店舗)を対象に、現在はキャベツ・レタス・キュウ・、トマトの4種類の価格を調べ翌週に発表するものなのだ。月に1度の頻度で公表する総務省の「消費者物価指数」よりも速やかに把握できる利点があるとされている。今年は「キャベツ受難の年」だそうで、思ったような収穫量をあげることができずキャベツの値段が高騰しているというのだ。 今回の水害では茨城県・栃木県・宮城県をはじめとした各地で農作物にも被害が出ており、農林水産省は影響について「まだ判明していない」としているが、今後の価格動向の不安定要素となる可能性は十分に考えられる。キャベツおかわり自由のとんかつ定食のチェーン店を展開する和幸商事は価格高騰について、安定供給のため嬬恋村のキャベツ畑と年間契約をしているため「大きな影響はない」と説明している。嬬恋のキャベツ畑は雹に見舞われたが被害は最小限に抑えたとされ、キャベツのおかわり自由を中止する予定はなく「市場で高い時こそ召し上がりに来ていただきたい」と話したそうなのだ。野菜高騰の秋を乗り切る知恵を総合情報サイト「オールアバウト」の節約ガイドに聞くと次のとおりだというのだ。 まずは「値上がりしない野菜を選ぶ」ことで、ジャガイモ、タマネギなど土の下で育つものやハウス栽培の野菜は価格があまり変動しないというのが。次に「カット野菜の利用」ではスーパーなどで売られているものの中では価格に安定感があるというのだ。3番目に「産地直売所の活用」ということなのだが、多少形が悪くても卸売りを通さないため安く手に入るという。「保存型野菜の活用」というjことでは、冷凍野菜はコーンやブロッコリーだけだったが最近はほうれん草なども含まれ使いやすくなっているそうなのだ。トマト缶を使うのも手で生のトマトよりも安いのに栄養価はさらに高いそうなのだ。最後が「廃棄している部分の活用」で、例えばネギの青い部分は捨てている人が多いですが実は栄養価が高いというのだ。
2015年09月23日
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財務省は生活必需品の消費税率を低くする軽減税率制度を導入する場合の試算として、年収に応じた五つの世帯モデルを総務省の家計調査に基づいて示し、年収が最も低い「251万円以下」の世帯の平均人数1・36人は、「酒類を除く飲食料品」に年間約44万5000円を使っており、増税で消費税である2%分の負担が年8470円増える。財務省案の「1人あたり年4000円」が給付されると世帯全体の給付額は年5440円となり負担増分を補えないというのだ。この案に関して大手新聞社の緊急全国世論調査で、消費税率10%時の負担緩和策について聞いたところ、税率はすべて10%とした上でマイナンバーカードを使って、食料品などの増税分を後から給付する財務省案への「反対」が75%に達しるという結果だそうなのだ。 財務省案での負担緩和策は多くの国民にとって増税負担が給付額を上回る見通しで、増税分の給付額に上限を設ける内容となっていることにも「反対」が55%で、「賛成」は30%だったというのだ。負担緩和対象の「酒類を除く飲食料品」の税率2%に相当する負担増分は給付で補えず、一定の給付金がばらまかれる制度となる懸念が大きいのだが、消費税率を10%に引き上げるのと同時に生活必需品などに軽減税率を「導入すべきだ」と答えた人は63%に上り、「そうは思わない」の29%を大きく上回っているそうなのだ。軽減税率を導入すると小売店などの事業者が消費税を納める手続きが煩雑になるとの声もあるが、「商工自営・自由業」の人でも「導入すべきだ」は全体より高い67%に上っている。 そこで政府も消費税率10%への引き上げに伴う負担軽減策として財務省が示した還付制度案について、平成29年4月の増税時の導入を断念する方針を固めたというのだ。マイナンバー制度の活用など制度設計が複雑で国民の理解が得られないと判断したわけなのだが、今後は生活必需品の消費税率を低く抑える「軽減税率」の具体策を軸に議論を進め、年末までに結論を出すとされている。財務省案をめぐっては安倍晋三首相らが財務省幹部から説明を受けており、与党税制協議会での軽減税率の議論とともに財務省案の提示を了承していた。財務省は「軽減税率の代替案として与党から求められた宿題にすぎない」とし、制度設計を提示直前まで一部の与党幹部に限って進めていたというのだ。 与党の税制協議会で財務省案が示されるとマイナンバー制度活用に伴う個人情報の流出や小売店での基盤整備など導入への懸念が続出し、大半の世帯で増税負担をまかなえないなどの欠陥も発覚したうえ、報道各社の世論調査でも財務省案に反対する声が賛成を大きく上回っていたそうなのだ。財務省の原案は軽減税率の適応対象を公明党がかねて主張してきた「酒を除く食料品全般」とし、買い物をする際には10%の消費税は払ってもらい、買い物の内容はマイナンバーカードの記載を使って把握して後から税金控除分を還付する方式としたのだ。この方法なら高額所得者には還付をしない所得制限をかけて税収減を圧縮できるうえ、公明党の求める低額所得者へは痛みを和らげる効果をもたらせるという判断だったのだ。 ところがこのマイナンバーカードを使う方法への反発は予想以上に激しく、スーパーなどの大規模店ばかりか八百屋さんや魚屋さんにまでマイナンバーを読み取るレジを導入するのは大変な作業になるし、売り上げが完全に捕捉されてしまうことへは抵抗感があったというのだ。つまり商店主にとっては売上金を完全に税務署に把握されるよりは、手間がかかっても商品ごとに税額や税率を請求書に記載するインボイス方式のほうが有利だと判断しているようなのだ。消費者にしても買い物内容がみられてしまうプライバシー問題のほか、マイナンバーをカード裏側に記載したマイナンバーカードを四六時中持ち歩くのは紛失や盗難のリスクが高く、非常に抵抗感が強いことから税務省案には反対だというのだ。
2015年09月22日
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世界の兵役拒否制度を調べている京都女子大の市川ひろみ教授によると、米国が徴兵制から志願制に切り替えたのはベトナム戦争から米軍が撤退した年で、その後はフランスも1990年代半ばに徴兵制を廃止し、イタリア・ドイツは2000年以降に相次ぎ志願制になったという。「徴兵制の廃止や停止は世界的傾向です。無人機の登場に象徴されるように第二次世界大戦期などとは、戦争のあり方が激変したのです」と説明する。それでもある程度の人員の確保は必要となっていることから、米国の場合は社会保障費や教育費の削減とともに経済的困窮者の入隊が増え、特にリーマン・ショック以降は入隊の年齢制限を緩め若者が増加し、「経済的な徴兵の素地」は着々と整えられているというのだ。 米国で対テロ戦争の帰還兵に聞き取り調査した経験によると、「犠牲者が出ても志願制ゆえに一般の人は『自己責任』と考える。派遣された兵士が百数十万人といっても人口比では1%未満です。多くの人は帰還兵の心の病の問題には無関心でした」と語っている。日本でも「格差」が問題になって久しく、大学生の半数は何らかの奨学金を受給し低賃金や失業による返済滞納も増えている。働いていても生活が苦しい「ワーキングプア」がさらに増えれば、米国のような経済的徴兵制の社会になる恐れがあるというのだ。実際に貧困と自衛隊を結びつけて考えざるを得ない出来事も起きているそうで、インターネット上に「苦学生求む!」というキャッチコピーの防衛医科大学校の案内ちらしが投稿され話題になったのだ。 「医師、看護師になりたいけど…お金はない!こんな人を捜しています」との言葉もあって、作製したのは自衛隊の募集窓口となる神奈川地方協力本部の川崎出張所で、川崎市内の高校生らに自衛隊の募集案内などとともに送付したものだという。自衛隊の募集窓口となる神奈川地方協力本部の川崎出張所は「経済的理由で医師や看護師の夢を諦めている若者に『こんな道もあるよ』と伝えたいと思い、独自に考えた」と説明する。労働問題に詳しい大学教授は「自衛隊に入らないと食べていけないという状況には、すぐにはならないだろう」と断りつつ、「生活苦の学生を狙った『ブラックバイト』が問題化していることも考えると、奨学金免除などの露骨な優遇策をとれば、自衛隊の志願者は増えるのではないか」と危惧している。 防衛医大は幹部候補を養成する防衛大学校と同じく学費は無料で入学後は公務員となり給与も出るが、卒業生は卒業後の9年間は自衛隊に勤務する義務があって、医官などとして最前線に派遣される可能性は当然あり、その間に退職する場合は勤務期間に応じて学費返還を求められるというのだ。ネット上では「経済的徴兵制そのもの」など批判が渦巻いたそうなのだが、ネット上の批判について担当者は「考え方の違いでしょう」と話したという。昨年5月には文部科学省の有識者会議で奨学金返済の滞納が議題に上った際、委員を務めていた経済同友会のある副代表幹事が無職の滞納者について「警察や自衛隊などでインターンをしてもらったらどうか」と発言し、一部の識者らから「経済的な徴兵に結びつく」との声が出たという。 実際に徴兵制という事では検討はされていないが、既に自衛隊には医歯理工系学部の大学3・4年生と大学院生に年間約65万円を貸与し、一定期間任官すれば返済を免除する「貸費学生」制度があるというのだ。有識者の間では「若者の学ぶ機会を広げる奨学金はそもそも無償化すべきだ。国が喜ぶことをすれば返済を免除するという手法は、不当な便益供与で好ましくありません」と話しているという。米国の若い入隊者の多くはこういった学資援助の制度に引かれて志願するそうなのだが、入隊期間などの支給条件が厳しく奨学金や進学資金を満額受給できるのはごく一部だとされ、反対に「経済的徴兵」で傷ついた人たちは「志願兵」という事で社会からも置き去りにされ続けているそうなのだ。
2015年09月21日
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生活保護を受けている世帯の数が過去最多を更新しており、厚生労働省によると生活保護を受給している世帯は今年6月時点で前の月と比べて3400世帯余り増え、全国で162万5941世帯になっているそうなのだ。これは統計を取り始めた1951年以来で最も多くなっており、特に65歳以上の高齢者世帯が特に増加し全体の半数近くを占めていて、厚生労働省は「生活に困窮している単身の高齢者世帯が増加していることが要因のひとつではないか」と分析しているそうなのだ。今の制度は「100年安心年金」という事で年金だけで生活出来るって話だったのだが、世代間格差が大きく「若者が老人に搾取されている」と言われる日本だが、実は先進国間で比較をすると高齢者の貧困率が高く「優雅な老後」とはほど遠いというのだ。 家計収支の赤字拡大の要因は年金の手取り減少が大きな要因であり、消費支出額が増え続けているわけでないことがわかったというのだ。少なくとも現役時代の半分はもらえるはずだったのだが、政権が代わると政府や役人は約束を簡単に反故にするという事のようで、民間保険会社なら大問題になるとことだ。現在の日本の高齢者たちは「優雅に暮らしている」と思われ、年金の世代間格差の議論では「老人が若者から搾取をしている構図」だとされているが、最近では「下流老人」という言葉が流行っているように、高齢者の貧困問題がクローズアップされているというのだ。日本の高齢者の実態によるとOECD34ヵ国を調査したデータでは、日本の高齢者の貧困率は19.4%となっているそうなのだ。 厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば貧困ラインは122万円なのだが、日本の高齢者の貧困率は米国の19.9%とほぼ同レベルで34ヵ国中8番目に高い水準とされ、イタリアは11%でドイツは10.5%となっており、英国やスウェーデンにカナダなどは10%を切っているそうなのだ。現在の中高年の1人暮らしの中には高所得でシングルライフを楽しんでいる人もいるだろうが、その一方で非正規労働のため収入が十分でなく、家庭を持てないという人も相当数いるそうなのだ。つまり1人暮らしの方は2人以上世帯に比べて所得格差が大きいという特徴があって、これからも非正規労働のため収入が十分でなく家庭を持てないという事情で未婚のまま高齢期を迎えた人たちが、貧困に陥るケースが増えることが懸念されている。 貧困に陥る高齢者は保険料を納めてこなかったために年金を受給できない「無年金者」や、厚生年金や共済年金といった「公的年金の二階部分」を受給できないとか、保険料納付期間の不足によって基礎年金を満額受給できないという3つのパターンが考えられるという。そして最低限の生活水準を割り込む場合には生活保護が最後のセーフティネットとして機能しなければならないとされているのだ。貧困率をはじき出す上で前提となる「低所得者」の定義とは、世帯の合計可処分所得を世帯人数で調整した「1人当たり可処分所得」を割り出し、その中央値の半分以下の「貧困ライン」で生活する人々のことなのだが、日本の高齢者の約5人に1人がこの「貧困ライン」以下の所得で生活しているというのだ。 こうした人々が貧困者なのだがこの基準にも異論はあるというのだ。たとえば「子育てをしている若い世代と比べると、高齢者はあまり支出をしないはず」というもので、つまり所得が少なくても若い世代よりは暮らしが苦しくないはずだという考え方もあるというのだ。またこの調査方法では貯蓄つまりストックを見ていないという指摘もされているが、ただほかの統計調査を見るとフローの少ない人は概してストックも少ないという傾向はあるとされ、特に低所得者層ではそうなっているそうなのだ。こうした異論はあるものの一般に国際比較で採用されているのがこの基準だというのだ。過去10年分の数字を並べてみた結果最も影響が大きかったのは、年金収入の減少で支給額は10年前に比べて約10%減っていることなのだ。 意外だったのは消費支出は10年間ほぼ横ばいであったことで、年金収入が減り続けても暮らしぶりはそう簡単に「変わらない・変えられない」ということのようなのだ。さらに高齢者の貧困を細かく見ていくと1人暮らしの高齢者で貧困率が高くなっており、男性の単身高齢者の貧困率は29.3%で女性の単身高齢者は44.6%となっている。1人暮らしの高齢者に貧困が多いのかということでは、女性に関しては、現役時代に就労していなかったり、就労していても非正規という人が多かったりすることが一因だとされている。年金額は現役時代の所得や働く期間を反映するためで、結婚していれば配偶者の年金も合わせて生活していけるが未婚や離婚した女性では、1人きりのまま老後を迎えると貧困に陥るケースが多いそうなのだ。
2015年09月20日
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私もよくやるのだが都会でもJRの駅でカップ酒やビールとおつまみを買い込み、列車のボックス席に収まり帰路につくような経験のある酒客も多いというのだ。ところが東京ではこの半年で状況は少しばかり変わったそうで、東海道線と東北・高崎線とを直通する上野東京ラインの開業によって東京駅が途中駅となってしまい、東京駅での着席が保証されなくなったためだというのだ。横浜や湘南方面へ帰宅するサラリーマンのささやかな楽しみだった「車内飲酒」の文化はどうなるのかという事なのだが、「大まかに言えば、仕事帰りに東海道線で飲む人は減ったように思います」と嘆くのは、「車内飲酒ウオッチャー」の文化人類学者濱雄亮さんで、自身も首都圏の通勤路線に乗り車内飲酒の実態を観察してきたそうなのだ。 その濱さんによれば上野東京ラインの運行が始まった3月以降、帰宅時間帯に東京駅から座れる機会が減り酒を飲む人が少なくなった印象があるという。開業直前は午後6~7時台にはボックス席のある車両にビールや発泡酒などを携えた人が2~3人はいたが、開業後はなかなか見られなくなったというのだ。「待っても座れない」という環境変化が作用しているようで、列車に飲める好条件として「向かい合わせのボックス席があること」や「混雑しすぎないこと」だけでなく、「子どもや中高生が少ないこと」に「駅間が長く比較的長距離の客が多いこと」、などが挙げられというのだ。そのようなこともあって東京駅から座れた東海道線には、古くから「居酒屋電車」を楽しむビジネスマンが多くいたそうなのだ。 日常の車内で酒を飲むのはどこか恥ずかしく後ろめたいということもあって駅間距離や乗車時間も重要で、例えば数分おきに駅に止まる山手線のような路線は客が入れ替わるたびに視線が気になるし、そもそもラッシュアワーなど混雑が激しく飲酒など論外だというのだ。周囲の客の視線次第ではプルタブを開ける手に汗がにじむというのだが、その点ボックス席は座る人と立つ人の視線が交わらず比較的落ち着けるというのだ。加えてボックス席が長距離列車の「表象」として乗客に認識されていることにも着目していりそうなのだ。「ボックス席は旅行をイメージさせ『ハレとケ(非日常と日常)』でいえばハレに当たります。ハレの場だからこそ飲みやすいのではないでしょうか」と語っている。 また紀行作家の故宮脇俊三さんは、ボックス席で駅弁を食べるのは旅の楽しみだが、ロングシートだとわびしいと記しているが、プシュッと迷わず開栓できるかどうかは路線によって大きく異なるというのだ。そうやって遠慮しながら電車で酒を開ける人もつぶさに観察すればいくつかのパターンに分けられるそうなのだ。濱さんの分類によると「サクッと立ち飲み型」は帰宅後の夕飯に備えた食前酒の位置付けだし、「独り2次会型」は飲み会帰りに「もう少し飲みたい」ということで午後9時以降に多いという。「ハレの余韻型」はスポーツやレジャーの帰り道で余韻に浸って飲むタイプで、「腰を据えて一杯型」なら高級なつまみを用意するなど車内飲酒自体を大いに楽しもうとする人々など「居酒屋電車」を楽しむ人の種類が多いそうなのだ。 東京駅の東海道線下りホームにある売店の酒の銘柄は約40種もあり、つまみに至ってはざっと80種もあって品ぞろえは東北・高崎線方面の倍で、これではJRが飲酒を推奨しているようなものだというのが呑兵衛の理論なのだろう。売店はグリーン車の目の前でつまり「飲みたければグリーン料金を払って」というメッセージのようなのだが、実際にグリーン車の飲酒率は高く濱さんの見立てでは「帰宅時は3~4割に上る」というのだ。「前向きのシートが雰囲気を高め、仕事の後の『自分へのご褒美』という気分も盛り上がるでしょう。通勤を旅に昇華させる『積極的車内飲酒』と位置付けられます」と語る濱さんの結論は、東京始発がなくなっても「車内飲酒の需要は不変です」ということのようなのだ。
2015年09月19日
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関東や東北では台風18号等の影響による記録的な豪雨が続き、茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊し越水による被害が生じた。堤防の決壊や越水は常総市内で数カ所に及んでいるのだが、溢れ出た場所のうちの1カ所は鬼怒川の東側に位置する若宮戸地区にある太陽光発電所に隣接する川岸だったという。鬼怒川により近いこともあって低圧連系した太陽光発電所はフェンスから太陽光パネルまであらかた基礎ごと地面から押し流され倒壊しており、3本ある低圧連系用の電柱のうち1本も傾き、フェンスから太陽光パネルまで基礎ごと元の位置から流されていたという。フレームだけが架台に残りカバーガラスやバックシートが引き剥がされているパネルも多く、コンクリート2次製品による置き基礎は倒れてしまっていたという。 太陽光パネルはソーラーフロンティア製で、泥や草木と太陽光発電システムや防草シートまで一体となって倒壊してしまい、濁流の凄まじさを物語っていたそうなのだ。太陽光パネルは架台に固定されたまま元の位置から流されているものが多いが、一部は架台から外れていたりフレームだけが架台上に残っていたりしているという。川から溢れた水は土砂や草木を巻き込んで流れてくるため、架台やパネルなどには泥や草木がこびり付いており、メガソーラー側には原形をとどめているアレイはほとんど残っていないそうなのだ。低圧連系の発電所よりも川から遠い位置にあるメガソーラーは設置範囲が広いこともあり、洪水の度合いも違うことから場所によって損壊の程度は異なっているそうなのだ。 太陽光パネルは隣り合う形で大きく二つのエリアに設置されていたそうで、川に近い西側は出力50kW弱の三つの太陽光発電所が低圧連系しており、土地区分や連系設備の状況からいわゆる「低圧分割案件」の可能性もあるという。川から遠い東側は高圧連系した出力1.8MWのメガソーラーとよばれる「大規模太陽光発電所」となっていたそうなのだ。水没した部分もある手前のメガソーラーのアレイは倒壊して水没しており、太陽光発電所や周辺の土地だけでなく近隣の地域に水が流れ込んで、太陽光発電設備はほとんど水没していたというのだ。メガソーラーの建設に関しては建設場所が私有地であるにもかかわらず、「鬼怒川氾濫の恐れがある」として近隣住民で最後まで反対していたというのだ ソーラーパネルの水害について複数枚の太陽電池のパネルが接続されたままで飛ばされたり流されたりした場合には、接続活線状態のままなら日射を受けて発電してしまい高い電圧や電流が発生するため、周辺にロープを張るなど関係者以外が不用意に立ち入らないような対策を実施することが必要だとされ、被害を受けた太陽電池パネルは絶縁不良となっている可能性もあり、接触すると感電する恐れがあることから触れないようにして、復旧作業等でやむを得ず取り扱う場合でも素手は避けることが必要だというのだ。この太陽光発電所に関して自然堤防の役割を担っていた丘陵部を、太陽光発電所の施工時に切り崩したことが、越水を引き起こした要因の一つとなった可能性があると複数の一般メディアが報じている。 自然堤防の役割を担っていた丘陵部は太陽光発電所の西側にあたる場所で、自然堤防を削られていたというのだ。現地で見ると掘削後に積んだ土嚢と周囲の自然堤防の高さの差は相当に大きく、人工の堤防がない場所のため自然堤防を削ったことによる洪水の危険性を周辺住民が国土交通省へ通報していたそうなのだ。常総市議会などでこの問題について指摘されていたとしており、これに対し削られた部分に土囊を積み上げて処置していたが住民の一人は「これは人災だ」と訴えたという。昨年3月ごろから常総市や国土交通省の担当者らに「生命や財産を失う不安があった。それらを守る権利が国民にはある」といったそうなのだが、常総市の職員に「何かあれば自己責任で逃げてください」と切り捨てられたというのだ。
2015年09月18日
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茨城県常総市の鬼怒川の堤防が決壊しどれだけの範囲が浸水したかを国土地理院が推定したところ、合計で約40平方キロメートルだったそうで、常総市を中心に東西に最大4キロで南北に最大18キロの範囲に広がり、地図上ではこの範囲の中に住宅や店舗など約2万棟の建物があるという。国土地理院が航空機を使って撮影した画像から推定したとされ、堤防が決壊した日は約21平方キロメートルだったが、下流方向に浸水が進んで翌日には約31平方キロメートルに拡大していたそうなのだ。それでもポンプ車による排水などが進み昨日は約15平方キロメートルに縮小していたそうなのだ。今回の豪雨で常総市を中心に合計で約40平方キロメートルの範囲で浸水し一部は隣の下妻市やつくばみらい市にも広がっていたという。 「おにぎりが届いて本当に助かった」と語る被災者なのだが、記録的な豪雨で大きな被害を受けた茨城県や栃木県などには、食料品や毛布など様々な支援物資が届き避難所で一息つく被災者も多いという。素早く支援に動いたのは独自の流通網を持つコンビニ大手や総合スーパーで、セブン&アイ・ホールディングスは被災翌日の朝7時に被害が甚大だった茨城県常総市の避難所10カ所におにぎり6千個を届けたという。翌日には新たに1万個を届け肌着や靴下・毛布など計約7千点も配ったというのだがこれらはすべて無償だという。セブン&アイ本社にプロジェクトチームが立ち上がり被災地の自治体などと連絡を取りながら、必要な物資や数量を決めていく方法をとっているというのだ。 おにぎりは近隣の生産工場から集め通常の配送用トラックを被災地に向かわせるのだが、コンビニやスーパー大手の多くは自治体と緊急物資に関する「災害協定」を結んでいるという。無償で物資を提供する一方で行政サイドには危険地帯の道路を迅速に通してもらい、被災地でのコンビニストアの営業を続けられるメリットなどがあるというのだ。この方式は東日本大震災でコンビニ各社は社内の防災マニュアルを見直し、災害時の「初動」について研究してきたというのだ。今回の水害でローソンは協定先の宮城県に連絡し洪水被害のあった大崎市内の小学校に物資を運ぶことを決定し、その2時間後には仙台市内の物流センターから10トントラック1台が、カップ麺2千個と飲料水等を届けたというのだ。 「過去の震災では物資が余ることもあった。本当に必要なものを届けることが大切」とするのはイオングループで、おにぎりなら4千個から120個まで自治体の要請ごとに細かく選別して被災地に届けたそうなのだ。歯ブラシや簡易トイレに生理用品などの生活必需品のリクエストにも対応するそうで、復旧支援のボランティアの派遣も検討しているという。コンビニ各社だけでなく他にも、冠水で数十人が取り残された常総市のスーパー「アピタ石下店」を持つユニーグループ・ホールディングスや、ファミリーマートなど地域のインフラとなった流通企業が続々と支援しているそうなのだ。阪神淡路の大地震では「山口組」が行った住民への支援を、今はコンビニ等各社が積極的に行っているというのだ。 それに反して水害に襲われた茨城県常総市内で空き巣の被害が相次いでいるそうで、茨城県警常総署によると十数件の被害が届けられており、被害に遭った人たちは「水害に追い打ちをかける行為で許せない」と憤っているというのだ。常総市の会社員男性は25時間ぶりに戻った自宅の窓ガラスが割られているのに気付いたというが、室内は荒らされタンスにあったはずの財布がテーブルに置かれ現金1万円が抜き取られていたという。2軒隣のパート女性も自宅ドアがこじ開けられ現金やバッグにパソコンが消えていたそうなのだ。防犯のため浸水した住宅に戻る住民もいるそうで、浸水を免れた2階で暮らす住民は「水道も電気もだめで、トイレも使えない。でも、空き巣に入られないためには仕方ない」と語っているという。
2015年09月17日
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企業が同じ職場で派遣労働者を使える期間の制限である最長3年を、事実上撤廃する労働者派遣法改正案は国会の本会議で賛成多数で可決されてしまった。成長重視の安倍政権は「多様な働き方」を促すため労働基準法改正を狙っており、一部の高所得者の労働時間規制を外すことが柱で「正社員」が規制緩和の標的になってくる。改正案への反対を表明してきた派遣労働者たちは「人生を踏みにじられた思いだ」と悔しがりつつ、今後も学習会や集会を開き派遣労働者の雇用安定をアピールし続ける意向を示している。現行の派遣法は企業が同じ職場で派遣労働者を受け入れることができる期間を、通訳など専門26業務は無期限としているが一般業種では最長3年と定めているのだ。 改正案はこの専門26業務を廃止して派遣期間の上限を一律に3年に設定するが、労働組合などの意見を聞いて人を入れ替えれば派遣労働者を使い続けることが可能になるのだ。施行は施行日などが修正されたため今月末となっているが、労働基準法改正案は今国会に提出されたものの、野党側の批判は強く今国会での成立は見送っている。それでも政府は次の国会に向け強い意欲を示しており、法案の柱は「高度プロフェッショナル制度」という成果型労働制の導入だとされている。残業手当を支払うなどの労働時間規制が外れるため「残業代ゼロ法案」との批判があるのだが、政府のいうこの法案の対象者は専門性が高く年収「1075万円以上」の高給取りに絞られるそうなのだ。 当初は例外的に認めていた労働者派遣制度が今は原則自由になるなど派遣法は規制緩和を重ねてきており、労働界には「将来、対象が大幅に広がるのではないか」との懸念が強い。これに対し経済界は強く期待しており、榊原定征経団連会長は記者会見で「労働時間に縛られず、成果で評価される制度だ。将来は業種を広げる方向で検討してほしい」と述べたという。 また本国会では同じ職務の労働者に同じ賃金を支払うことなどを求める「同一労働同一賃金法案」が自民党・公明党などの賛成多数で可決成立した。派遣法改正を巡っては厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会で原案が練られており、審議会には派遣会社の役員がオブザーバーとして参加したが、派遣労働者はメンバーに選ばれず議論に加わっていないという。 派遣労働者はユニオン等の労働組合への加入者が少なく、労働者同士が集まって話し合う機会も少なかったが、派遣法改正案の国会審議を機に日本労働弁護団などが集会参加を呼びかけると、多くの派遣労働者が集まり「雇い止めにあった」とか、「専門業務以外の仕事ばかりさせられている」と実態を訴えたというのだ。問題を共有する中で「不安定な雇用で声を上げられなかったが、現状を変えたい」との声が上がり、派遣労働者10人が「派遣向上フォーラム」を発足させると、弁護士らの支援を受けて国会議員を訪ね改正案反対を訴えた。今後は学習会や集会を開催し雇用を守る方策も模索するというが、「法律も行政の仕組みも派遣労働者を守る仕組みになっていない。黙っていないで現状を伝えなければ」と語っている。 また「労働契約申込みみなし制度」が施行目前で事実上骨抜きにされるなど、派遣労働者からは失望の声が上がっている。この「労働契約申込みみなし制度」というのは派遣労働者の待遇改善策の一つで、期間制限を超えるなど違法派遣があれば労働者を受け入れている派遣先企業が、派遣労働者に直接雇用の契約を申し込んだとみなす制度という。派遣先が違法と知りながら受け入れていた場合に適用されるのだが、派遣業界では派遣労働者が使いやすくなることを見越したような営業の動きが出ている。ある派遣会社は企業向けに派遣労働者の「低コスト」をアピールしており、コスト削減重視の姿勢では改正案で義務付けられた派遣労働者への教育訓練などが行われない恐れが強いとされている。
2015年09月16日
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いよいよ採決間近となった安全保障関連法案の議論で「徴兵制復活に道を開くのではないか」と追及を受ける と、安倍晋三首相ら政権幹部は「絶対、あり得ない」と必ず断定調で反論するのだが、経済的な事情から貧困層の若者が自衛官の道を選ばざるを得ない「経済的徴兵制」への懸念が語られ始めているというのだ。また「格差社会では徴兵制は必要ありません。志願兵はいくらでも、経済的徴兵制で集められるのですから」というのは、米国社会に詳しいジャーナリストの堤未果さんなのだが、貧困から抜け出し人間らしい生活をするためにやむなく軍に入隊する実態を、経済的徴兵制に追い込まれた若者の例を紹介して、「経済的徴兵制」あるいは「経済的な徴兵」と米国では呼んでいることを本に書いている。 その本によるとイリノイ州のある若者は「この国で高卒では未来がない」と、無理をして大学を卒業したが職がなかったというのだ。残ったのは奨学金約5万ドルの返済と在学中の生活費に消えたクレジットカードの借金約2万ドルだったというのだ。アルバイトを掛け持ちして返済に追われたがそんな生活を変えたいと軍に入隊したのだが、入隊したのは国防総省が奨学金返済を肩代わりする制度があるためだという。米軍には他にも除隊後の大学進学費用を支給する高卒者向けの制度もあるそうで、若い入隊者の多くはこういった学資援助の制度に引かれて志願するそうなのだが、入隊期間などの支給条件が厳しく奨学金や進学資金を満額受給できるのはごく一部だというのだ。 世界の兵役拒否制度を調べている京都女子大の市川ひろみ教授によると、米国が徴兵制から志願制に切り替えたのはベトナム戦争から米軍が撤退した年だというのだ。またいくらハイテク兵器が発達しようが敵地を占領するには地上戦は欠かせないことから、大勢の兵士が総力戦にかり出されるような事態はなくなったが、軍隊は若い兵士をどうしても一定数確保する必要があるというのだ。米国の場合はここで経済的徴兵制が機能するということになるそうで、社会保障費や教育費の削減とともに経済的困窮者の入隊が増え、特にリーマン・ショック以降は入隊の年齢制限を緩め若者だけでなく中年の兵士も受け入れており、「経済的な徴兵の素地」は着々と整えられているというのだ。 また自衛隊の定員は陸・海・空合計で約24万7000人だが、実際の人員は2万人以上少ない約22万6000人だといわれている。少子化の影響もあり人材確保は常に課題となっており、特に若手が担う下位階級の2士・1士・士長は定員の74%しか確保できていないという。防衛大学校では集団的自衛権を巡って憲法解釈が変更された昨年度、任官拒否者が前年の10人から25人に急増しているそうなのだ。そこで高知市にある私立高知中央高は来年度から普通科に「自衛隊コース」を新設し、「自衛官養成」に取り組む方針を決めたというのだ。授業に現役の自衛隊員やOBが指導に携わるそうで、私立高知中央高校によると自衛隊コースの定員は未定だが現在の普通科の定員160人は増員しないというのだ。 私立高知中央高校の近森正久理事長は「安全保障関連法案を巡り自衛隊のイメージが悪くなっているが、入隊者の減少は国家の一大事。人材育成の必要がある」と説明している。自衛隊コースでは1週間の授業30時間のうち6時間を自衛隊関連に充てる。自衛隊が訓練に採用している銃剣道を4時間、自衛隊の歴史や活動に関する座学を2時間実施する予定で、その他の授業は普通科と同じだというのだ。3年時には希望者に自衛官の採用試験対策も行い、消防士や警察官などの採用試験にも対応するという。今年の4月にコース設置を決め5月に自衛隊高知地方協力本部に協力を要請し快諾されたというが、「把握している限りでは他に例がなく、全国初ではないか」と話しているそうなのだ。
2015年09月15日
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菅官房長官は記者会見で2017年4月の消費税率の8%から10%への引き上げに合わせた負担緩和策について、「与党での議論を見守りたい」と述べ慎重に検討する考えを示したそうなのだが、自民党と公明党は与党税制協議会の会合を再開し、財務省原案を含めた検討を始めるが調整が難航するのは必至だという。これに関連し公明党の山口代表は与党が目指す軽減税率制度の導入を麻生財務相が「面倒くさい」と否定したことについて、「どのような仕組みにするのか明らかにならないまま、発言が誤解を招くようなことになってはならない」と述べ不快感を示したという。特に公明党は生活必需品の税率を低く抑える「軽減税率」導入を強く主張してきただけに、「国民に説明がつかない」と反発しているそうなのだ。 自民党の野田毅税調会長は自民党の非公式幹部会で財務省原案について、「そういうことでわれわれは考えている」と述べ、与党による検討委員会を経て党内手続きを進める考えを示したそうなのだ。自民党では以前から標準税率である10%と軽減税率となる8%の税額を事業者に計算させて、仕入書等を発行させるのは「事務負担が大きすぎる」と否定的な意見が強かったとされている。それだけに一律10%の税額を徴収する案は事業者の負担が軽くなるため「良い知恵だ」などと評価する声が出たという。一方の公明党の非公式会合では所属議員から「消費者の負担軽減につながるのか」とか、「食料品など生活に関わるものだけは非課税にするのではないか」といった異論が出たというのだ。 軽減税率の導入はもともと所得が低い人の負担感を減らすことが目的のため、上限を設けることで所得が高い人が高級品をたくさん買ってより多く税の軽減を受けることに歯止めをかける狙いがあるというのだが、国民の多くにとって税率2%分の金額が戻ってこない仕組みとなるようなのだ。このため公明党は昨年の衆院選で軽減税率導入を公約に掲げて戦っただけに、店頭で軽減税率の適用を受けられる方式を望む声は根強いとされているのだ。自民党と公明党の税制調査会は非公式会合をそれぞれ開き、消費税率を2017年4月に10%に引き上げた際の負担軽減案について財務省から説明を受けたというのだが、公明党の幹部は会合後「財務省は宿題にきちんと答えてくれた」と評価していたという。 軽減税率の導入をめぐる与党の話し合いは来週にも再開される見込みで、与党である公明党の幹部は「消費税の負担が軽減されるひとつの形」として大筋で了承する方向だというのだ。自民党と公明党の税調幹部は酒を除く飲食料品の2%分を購入後に消費者に還付する財務省原案を大筋で了承する考えだが、公明党の一部には異論があるため丁寧に説明し理解を得ていく方針だという。これは今年の5月に始まった自民党との協議は難航したことで、枚ナンバーカードでの利用や、20万円分の消費税しか還付されないことなどに対して公明党が納得しなければ、消費税率引き上げ時の導入に間に合わなくなる恐れもあることから、公明党も最終的には財務省案を容認する方向だというのだ。 消費税率を8%から10%に引き上げるのに合わせて財務省が検討しているマイナンバーカードを活用した負担緩和策に懸念が強まっているというのは、酒類を除く飲食料品を購入した消費者に税率2%相当の金額を後から給付するため、財務省は買い物時にその金額の情報をカードに保存する方式を想定している。マイナンバーカードには国民すべてに割り振られる12桁のマイナンバーと名前や住所などの個人情報以外に、各種のデータを自由に読み書きできるICチップが搭載され、この機能を使い酒類を除く飲食料品を買う時に2%分の金額データをチップに保存するというが、小売店への情報端末の配備や行政の事務負担増など課題は山積しており、社会的な混乱は避けられないとみられているという。
2015年09月14日
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生活に欠かせない「命のインフラ」である上水道事業は、設備の老朽化に加え人口減少による収益の悪化や料金値上げという悪循環に直面しているそうなのだ。水道料金の値上げが各地で相次いでいるようで、老朽化で水道管などの維持改修費がかさむ一方、人口減で料金収入が減り水道事業の収益が悪化しているという。家庭の水道料金は20年で約2割上がり自治体間では10倍近い料金格差もあるという。広域的な水道統合で収益の改善を図る動きも出ているが課題も多い。日本水道協会によると今年4月の水道料金の全国平均は、家庭用で月20立方メートル使用とすると3196円で過去最高になっており、総務省の消費者物価指数の統計でみると、2014年の水道料金は1995年に比べ2割超上がったというのだ。 この値上げ率というのは原発事故等で大幅値上げとなった電気代の上げ幅の約1割よりも大きいというのだ。さらに今年に入り大幅な値上げに踏み切る自治体が相次ぎ、北海道美唄市は今年の10月から水道料金を一律30%上げるというのだ。水道料金の値上げは全国的なもので、4月には宮城県栗原市が平均14%アップしており、埼玉県飯能市12%に香川県丸亀市が10%値上げしたそうなのだ。静岡県東伊豆町も7月の納期分から25%値上げしており、地域間の料金格差も大きいそうなのだ。水道協会によると月10立方メートル使用の家庭用料金では最高の群馬県長野原町が3510円なのに対し、最低の兵庫県赤穂市は367円となんと10倍近い開きがあるというのだ。 水道事業は給水人口5001人以上の「上水道」と5千人以下の「簡易水道」に大きくわかれ、厚生労働省によると上水道が1401事業で、簡易水道は6105の事業があるそうなのだ。水道料金というのは人口が密集していたり、水質の良い水源が近かったりする地域は料金を安く抑えられる半面、人口が分散している地域では水道管の経路が長く維持改修費が多くかかり高額になるというのだ。特に人口減で料金収入が減るとどうしても値上げせざるをえない状況があるそうなのだ。県全体の水道事業の統合をめざしている香川県が昨年秋に試算したところ、今後も市町で単独経営を続けた場合には、現在2倍近くの香川県内市町間の料金格差は2043年に約4倍に広がるという結果になったそうなのだ。 全国的にも値上げの傾向は強まりそうで、新日本監査法人などの試算によると人口減に伴い98%の事業体で値上げが必要となり、その約半数が現在より30%以上の値上げになるというのだ。とくに北海道や東北で値上げ率が高くなる見通しだという。水道事業は市町村単位で運営するのが原則で料金はかかったコストによって決まるのだが、河川や地下水などの水源から遠ければ水道管の経路も長くなり、水質が安定しない河川では地下水に比べ水をきれいにする薬品代も高くなるのが一般的となっている。節水型都市づくりを進めている私の住んでいる松山市では需要抑制を目的として、使用量が多くなるほど料金単価が高くなる逓増型の料金体系をとっているのだ。 この水道料金の値上げラッシュの事態に厚生労働省の担当者は、「日本の水道は安すぎるので、値上げすべき」というのだ。政府が進める「水道の完全民営化」と「水道料金値上げ」の詳細と外資を含めた民間企業の水道事業の参入についてでは、このような事態に何の危機感も抱いていないというのだ。私が住んでいる松山市は日本で初めての外国企業の水道事業受託となっているのだが、水道料金の値上げについて「民営化は市の職員がやるよりも人件費が削減されコスト削減になるので、水道料金は下がることはあっても上がることはない。一部地域で段階的に値上げはしていくがそれは地域の統廃合で、割安だった地域の松山市の水道料金を、松山市の標準に合わせていくだけだ」としているのだ。
2015年09月13日
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厚生労働省は「児童福祉司」の増員と国家資格化の検討を始めるそうなのだが、一線の職員の増員と専門性を高め増え続ける児童虐待の対応強化を図るという。併せて児童相談所が担っている児童を保護する機能と親子を支援する機能を分け、それぞれを拡充する方策も検討するそうなのだ。近く開く厚生労働省の専門委員会報告書にも盛り込まれる方向なのだが、この児童福祉司は児童福祉法に基づき都道府県や政令指定都市に一部中核市の児童相談所に配置され、児童虐待や非行について相談・指導にあたる職員だとされている。大学で心理学などを専攻し福祉業務に1年以上従事するなどした児相の職員に資格があるのだが、全国の児童福祉司は2013年度で2771人となっている。 児童福祉司は児童相談所に置かなければならない職員で、児童福祉法第11条第1項によって児童相談所長が定める担当区域により、児童の保護その他児童の福祉に関する事項について相談に応じ専門的技術に基づいて必要な指導を行うという。児童福祉司の担当区域は児童福祉法による保護を要する児童の数や交通事情等を考慮し、人口概ね10万人から13万人までを標準として定めることとしているが、全国の児童相談所の207カ所が対応した相談件数は2013年度が7万3802件で、10年前の2万6569件に比べて3倍に増えている。一方の児童福祉司の人数は2771人で10年前の1733人に比べて1・6倍にとどまることから、「更に相談が増えるかもしれず、対応できるか不安」といった懸念も寄せられている。 また厚生労働が夜間・休日の電話対応を調べたところ、児相職員が対応しているのは53カ所で守衛など相談業務に関係のない人が対応する児相が50カ所もあったという。そこで厚生労働省は今年度から夜間や休日に電話対応する非常勤職員の人件費補助を、夜間はこれまでの2人分から4人分に休日は1人分から2人分に増やしたが、要員不足が解消できるのか不透明な状況だとされている。このため独自の対策をとる自治体もあって、東京都は7月から当面の間平日午前9時〜午後5時に都内全域からかかる相談電話を、臨時職員4~5人と指導役の職員1人を配置した新宿区の都児童相談センターで一括集約して受けることにし、虐待通報と判断すれば管轄の児童相談所につなぐというのだ。 また児童福祉司の従事年数が10年を超える職員がいる大阪市などの自治体がある一方、私の住んでいる愛媛県のように2~3年で配置換えになる自治体もあり、地域格差も指摘されていたことから、専門性を高めて格差解消を図るため児童福祉司の国家資格化を検討することになったそうなのだ。国家資格には介護福祉士のように現在は指定養成校を卒業すれば取得できるものがある一方、社会福祉士など国家試験を合格する必要がある職種もあるという。厚生労働省は資格要件などについて専門委などで検討する方針で、児童相談所の専門家が対応する相談や通報を促して児童虐待を防止するという。もっとも受け手の児相側の要員不足も懸念され課題を抱えたままのスタートとなるとの指摘もされている。 一般社団法人「日本子ども虐待防止学会」児相職員の増員などを求める提言書を厚生労働省に提出しており、提言では要員が不十分な中で通報が増加すれば、結果として緊急性が高いケースに十分対応できないことになりかねないと指摘している。初期対応にあたる児童相談所と市町村の職員の増員だけでなく、一線の職員の増員と専門性を高め増え続ける児童虐待の対応強化を図るというのだ。都道府県に1カ所ずつ一括して電話を受けるコールセンター設置なども考えられている。また虐待する親から子を保護する機能と家族を支援する児童相談所相の機能について、担当職員を分けたり組織を分けたりして分担することで、対応強化を図ることも検討しているそうなのだ。
2015年09月12日
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東京オリンピック・パラリンピック組織委員会がエンブレムの使用中止を決めたことを受け、下村文部科学大臣は「国民が明るい展望を持てる施策を進めることが重要だ」と述べたそうなのだが、7月のプレス発表直後からベルギーの劇場ロゴに酷似していることが発覚して、佐野氏の他の作品でも盗用疑惑が浮上していたのだが、発表から1か月あまりで白紙撤回に追い込まれたという失態を犯してしまったのだ。下村文部科学大臣は「エンブレムの問題もありましたがぜひ、2020年に向けて国民すべてが明るい展望になるような施策を政府一体となってやっていくということが大変重要でありまして、そういう意味での流れをこれからしっかりとさらに作って参るよう努力して参りたいと思います」と語っている。 新国立競技場に続き公式エンブレムも白紙撤回された問題を受け、政府・与党内では、組織委の森喜朗会長や武藤事務総長の責任を問う声が広がっており、遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣はエンブレムの使用中止を巡る責任問題について問われ、「組織委員会と審査委員会、デザイナーの佐野研二郎氏、三者三様に責任があった」としたうえで、自らの責任については明確な責任を示さなかったそうなのだ。自民党幹部や政府関係者によると自民党幹部や五輪関係者らが佐野氏の盗用疑惑が浮上して以降、エンブレムを差し替えるよう組織委に再三にわたって警告していたという。五輪関係団体幹部らは独自にデザインアートに詳しい識者から意見を聴取していたとも言われている。 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会職員の間にも「今後のエンブレム使用は厳しい」との判断に傾き、水面下で使用をやめるようとした動きはなったようだが、森氏と近い関係にある武藤氏らが「1回決めたものを撤回すると、国際的な信用問題になる」と聞く耳を持たず、事態は悪化したそうなのだ。最後は武藤敏郎事務総長がデザイナーの佐野氏とエンブレムのデザイン審査委員代表を務めた永井一正氏の3人で緊急会談し、佐野氏は盗用を改めて否定したが永井氏は「一般の国民から理解はなかなか得られないのではないか」と諭したというのだ。武藤氏によると「五輪のエンブレム制作が長年の夢だった」という佐野氏は、「模倣だから取り下げるということは、自分は納得できない」と最後まで盗用疑惑を否定したというのだ。 それでも最後には「取り下げて五輪を成功させてほしいという気持ちの方が強くなっている」とも話し最終的には同意したそうなのだ。巨額の整備費が批判され計画見直しとなった新国立競技場問題に続く前代未聞のトラブルで、東京五輪のイメージ悪化は避けられそうにないことは間違いないが、元総理の森氏は五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の総工費膨張問題でも、全面見直しに向けた最大の障壁だったそうなのだ。森氏自身が関与してきたラグビーW杯日本大会も運営や事務手続き上の不手際から、ラクビー大国の南アフリカなどからラグビーW杯日本大会の返上論が出ているそうなのだ。また「新国立とエンブレム問題のダブルパンチ。組織の一新が必要だ」との声が強まっている。 ベルギーのリエージュ劇場のロゴに酷似していると指摘されても、組織委は「問題ない」と繰り返し主張していたし、劇場側が国際オリンピック委員会を相手に使用差し止めを求めて地元裁判所に提訴した際も、相手を非難する声明を発表していたのだ。新国立競技場に続き大会のシンボルが白紙撤回される異常事態に武藤氏は、「新しいものを作っていくのが、我々の責任」と述べており、遠藤五輪担当大臣も「大変、私も深刻に受け止めておりますし、今後、こうしたことが起こることがないように組織委員会との連携協力をしっかりと進めていきたい」と語ってはいるが、エンブレム白紙撤回の波紋は五輪・パラリンピックの開催地となる東京都やスポンサー各社にも一気に広がっているのに、責任の所在は不明確なままなのだ。
2015年09月11日
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11月にも上場するとみられる「ゆうちょ銀行」の規制緩和をめぐる議論が、ヤマ場を迎えているそうで、先月に開かれた郵政民営化委員会で、「ゆうちょ銀行」の預入限度額引き上げなどについて議論を本格化させたそうなのだ。現在の「ゆうちょ銀行」の貯金額は通常貯金・定額貯金・定期貯金などなのだが、財形定額貯金などは除いて1人1000万円までしか預けられない制度になっている。これを自民党はこの9月末までに2000万円にするとし2年後までに3000万円へ引き上げ、条件が整えば完全に撤廃すべきと政府へ申し入れていた。政府は郵政民営化委員会へ審議を要請しており、郵政民営化委員会は議論を始め今年の7月には意見を広く募集したというのだ。 それから1カ月以上が経ち提出期限までに意見を提出した12団体と、日本郵政グループから直接意見を聞く場が委員会で設けられたのだが、全国銀行協会や全国地方銀行協会・第二地方銀行協会・信託協会・全国信用金庫協会・全国信用組合中央協会・農林中央金庫など既存の民間金融機関の団体は、いずれも1人1000万円という限度額引き上げは「認められるべきではない」とか「当面棚上げすべき」・「当面引き上げるべきではない」と反対を表明したそうなのだ。「ゆうちょ銀行」の貯金残高は177兆円で預け入れ限度額のない民間銀行最大手「三菱東京UFJ銀行」の124兆円をすでに大きく超えており、これ以上「ゆうちょ側」におカネが流れるのは避けたいという思惑があるというのだ。 一方で全国郵便局長会や日本郵政グループ労働組合など「ゆうちょ銀行」関係者は、「利便性向上と高齢者など弱者の救済」とか「経営の自由度の確保」などの観点から、限度額の引き上げや早期撤廃が必要との意見を述べたという。7月の3週間で寄せられた意見の総数は1395件だったそうなのだが、そのうち個人が1345件で団体が50件だった。この意見はすべて郵政民営化委員会のホームページ上にアップされており、個人1345件の意見は大半が「限度額の撤廃」あるいは「限度額引き上げの実施」を求めているそうなのだ。個人の属性は明示されていないが「郵便局長として意見する」とか、「小さな町の郵便局長をしております」といった郵便局長によるものが少なくないそうなのだ。 郵便局は全国に2万局以上あり、日本最大のコンビニであるセブン-イレブンの店舗数約1万8000店強を大きく上回っていることから、その組織票の力は強いといわれてきた。50の団体の意見は分かれているそうで、金融機関団体や郵政関連団体のほかは地方自治体や地方商工会がほとんどというのだが、その内容を分類すると限度額の引き上げや撤廃、業務拡大を求める団体が22で、反対あるいは慎重な検討を求める意見の団体が28だったという。和歌山県日高川町長や新潟県南魚沼市長など自治体の長は、総じて限度額の引き上げ・撤廃を主張しているそうなのだ。興味深いのは商工会議所の意見が二つにわかれている点で、北海道などは三笠市商工会が反対だが、夕張商工会議所は限度額の撤廃を要望しているという。 ただ各地の商工会議所をまとめる全国組織・日本商工会議所が、「慎重に対応する必要がある」と求めているだけに大半の商工会議所は引き上げに慎重だという。こうした両極端の議論を、どうまとめるのかということなのだが、先月に行われた民営化委員会後の会見で限度額引き上げの必要性を問われた増田寛也委員長は、「それは申し上げられない。ノーコメント」としながらも、大改悪となった郵政民営化以前から委員を務めていた経験と照らして「昔に比べると民間金融機関団体のニュアンスは変わってきていると思う」と感想を述べたそうなのだ。限度額を引き上げるとすれば政府が政令を決めて、正式に民営化委員会の意見を聞くということなのだが、政府にはそういう手続きに入るという様子はないみたいなのだ。
2015年09月10日
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消費税率を8%から10%に引き上げる際の負担緩和策として財務省が検討している原案に、所得の多い少ないに関係なく給付に一律の上限額が設けられることが明らかになった。消費税率を10%に引き上げる際の負担軽減策の財務省案が明らかになり、2017年4月に税率が10%に引き上げられるのにあたりほぼ全ての飲食料品を軽減対象とするというのだが、複数の税率を設けると事業者の経理処理が複雑になるためいったん10%の税率を課した上で、払いすぎた税金分を後から支給する方式を導入する方向だというのだ。財務省案は納め過ぎた税を後から戻す還付ではなく給付金を国民に配る形をとるみたいで、財務省は来週の与党税制協議会に提示して自民党と公明党が議論を進めるという。 自公両党は軽減制度を来年度の与党税制改正大綱に盛り込み、政府は来年の通常国会に関連法案を提出する予定なのだが、これまでの与党の議論では軽減税率を適用する線引きとして「酒を除く飲食料品」や「生鮮食品」に「精米」の3試案を検討してきたそうなのだ。財務省原案によると2017年4月の増税時に外食を含む「酒類を除く飲食料品」について、2%相当額を後で給付するとしており、買い物時等に金額のデータを共通番号制度のマイナンバーカードを通じ政府が新設するデータセンターに保存し、たまった金額を後から支払う方針なのだが上限額を設定するのは、財務省が消費増税の負担緩和策にともなう財源をできる限り抑えたいためだというのだ。 政府は消費税率の10%への引き上げに際して生活必需品の税率を低くする軽減税率が導入された場合、酒を除く飲食料品の2%分を購入後に消費者に戻す案を検討しているが、還付する金額の上限を年間で1人4000円にすることを検討しているというのだ。政府が検討しているのは酒を除く飲食料品の購入時にいったんは税率10%を支払うが、同時に2%分相当の「軽減ポイント」をマイナンバーカードにためて一定のポイントがたまったら、いつでも携帯電話やパソコンのサイトで申請し自分の銀行口座にキャッシュバックすることができるという新しい仕組みだというのだ。ただし1人あたり年間4000円のキャッシュバックを上限とするで、酒を除く飲食料品について年間で1人20万円までが税の軽減対象にするということなのだ。 消費税率を10%に引き上げる際の負担軽減策をめぐる財務省原案が、自民党と公明党内に波紋を広げているのは、マイナンバーカードを活用した財務省原案への懸念が政府・与党内で広がっているためだというのだ。特に公明党は生活必需品の税率を低く抑える「軽減税率」導入を強く主張してきただけに、「国民に説明がつかない」と反発しているそうなのだ。自公両党は昨年12月の衆議院選挙で、軽減税率導入をそれぞれ政権公約に盛り込んでいた。特に公明党は「いまこそ、軽減税率実現へ。」と選挙ポスターに明記し、軽減税率を前面に掲げて選挙戦を戦っていたのだ。それが今回の原案は財務省と与党のごく一部の幹部だけで調整が進められ、多くの与党議員には「寝耳に水」の出来事だったというのだ。 公明党幹部は「財務省案の説明は受けていない」とした上で、「一度10%で払うのでは『痛税感』の緩和にならない」と語っているが、財務省原案はいったん飲食料品に10%課税しのちに税率2%相当分を給付するため、負担と給付に時間差が生じるというわけなのだ。政府高官は「国民の理解を得ないといけない。決め打ちせず、色々な意見を踏まえて検討していくしかない」と強調しているが、増税分の2%を全額給付するには年間約1兆3000億円の財源が必要となることから、給付を一定額で打ち切れば財源は大幅に抑えられるというのだ。給付上限額は年間4千円程度を想定しており、その場合の財源は数千億円程度とみられ税率2%分を全て戻すのに比べ半分程度で済む計算だという。
2015年09月09日
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サントリーの「ノンアルコール飲料レポート2015」によると、「ノンアルコール飲料」の人気が拡大しているそうなのだ。私の周辺でも飲み会があって車の運転という事になると、「ウーロン茶」か「ノンアルコール飲料」となってきているのだが、「ノンアルコール飲料」の認知率は96.6%で月1回以上飲むという人の約7割が「3年前より飲用量が増えた」と回答したというのだ。酒類メーカー各社が販売しているこの「ノンアルコール飲料」とは、「アルコール分が含まれない、もしくは1%未満のアルコール分を含むアルコールテイストの飲料」というもので、日本の法律では清涼飲料水に分類されている。飲酒運転への罰則が強化されたことに伴って「ノンアルコール飲料」の需要が高まっているため飲食店での販売も増加傾向にあるそうなのだ。 酒類に分類されるアルコール1%という基準を下回ってはいるが、アルコール分を含んでいる場合が多々あり、飲んだ量によっては飲酒運転となる可能性があるので注意が必要である。酒類販売業免許が不要で20歳未満への販売や提供だけでなく、20歳未満の購入や飲用も法律上では特に問題はないが、あくまでも20歳以上が飲用することを念頭に開発されており、未成年者の飲酒を助長する恐れがあるなど混乱やトラブルを招きかねないため、未成年者への販売は推奨されておらず大手チェーン店を中心に販売を自粛するところもある。また同じ理由で未成年者が購入しにくいようにお酒の売り場に陳列する場合も多いというのだ。大手コンビニでは「ノンアルコール飲料」の購入時に年齢確認ボタンを押す必要があるそうなのだ。 正確には「ノンアルコール」ではない場合は減ってきているが酒類に分類されるアルコール1%という基準を下回ってはいるが、アルコール分を含んでいる場合があり、お酒に弱い体質の場合や大量に飲んだ場合は酔うことがあって、未成年者やお酒に弱い人・妊婦の飲用は十分注意を要するとされている。昼間から飲めるとか自動車の運転を気にしなくていいなどの利点があるが、「仕事中も気軽に飲める」ものとしては賛否両論あるようだ。ネット上ではノンアルコールビールを仕事中に飲むことについての議論が盛り上がっているそうなのだ。女性向け掲示板サイトに、同じ職場の50代男性が仕事中にノンアルコールビールを飲んでいることについての愚痴が寄せられたそうなのだ。 泊まり勤務がある職場で男性は夜勤の際にお茶代わりにノンアルコールビールを飲んでいるという投書もなされており、投稿者は「仕事中にビールという名前の飲み物を飲むのはありえなくないですか」と多くの女性は疑問に思っているようだ。投稿者の職場にはアルコールチェッカーがあり、男性は内勤なのでチェッカーを使わなくてもいい立場だが、「ノンアルコールだからいいじゃんというなら昼間の仕事時間にも飲めるはずです。 それを夜中にだけ飲むのは飲んじゃいけないという意識がどこかにあるはず」という点も引っかかっているようだ。酒の代替品として飲まれている点を考慮すれば不適切、あくまでアルコールを含まない清涼飲料水という点に着目すれば適切ということになるということなのだろう。 また「特定保健用食品」の許可申請をしていたノンアルコール飲料2製品について、消費者庁は「不適切」との答申を覆し、「特定保健用食品」の表示を認めることにしたそうなのだ。ノンアルコール飲料としては初の「特定保健用食品」が誕生することになりそうなのだが、なぜノンアルコール飲料の「特定保健用食品」申請に難色が示されていたのかということなのだが、これらの清涼飲料水がわざわざ「ノンアルコール」と分類されるのは、味やパッケージなどが既存の酒に近いからであるだというのだ。法律上は未成年が飲んでも構わないのだが「飲酒を始めるきっかけになる可能性」を考慮だれており、いくら「酒は百薬の長」とはいうものの酒自体が「特定保健用食品」として認められないことを考慮されていたようなのだ。
2015年09月08日
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各省庁の来年度度予算の概算要求が8月末までに出そろったというのだが、私の所属している建設業界ではやはり公共事業の行方が気になるところなのだ。国土交通省は安全・安心と経済成長を重視しそのために必要な公共事業費は安定して確保するとの方針の下、2年連続で6兆円を超える金額を計上したという。国土交通省が発表した概算要求では一般会計予算に今年度当初予算と比べて15%増の6兆6791億円を計上しており、このうち公共事業関係費に16%増の6兆93億円を要求しているそうで、いずれも今年度の要求額とほぼ同規模だとされている。また東日本大震災復興特別会計予算には13%増の7398億円を計上しており、遅れている復興に力を入れていくようなのだ。 安倍内閣が掲げる「地方創生」に対応して地方の交通ネットワークや建設業の担い手確保などに関する政策を盛り込んではいるが、やはり東京五輪の関連政策なども大きく加えられているそうなのだ。安全・安心に関する主な項目は東日本大震災以降、国土交通省の目玉政策となった防災・減災対策やインフラの老朽化対策の推進で、今回も頻発する水害や土砂災害などの自然災害に対応する目的で、ダム再生や河川堤防の整備といった治水対策を中心に5984億円を計上しているという。桜島や箱根山で噴火の懸念が高まるなど注目を集める火山災害への対策についても盛り込んでおり、今年の8月に閣議決定した国土形成計画による「国土強靭化」は終わりそうもないみたいだ。 インフラの老朽化対策には4769億円を要求しており、自治体の取り組みを支援する防災・安全交付金は17%増の1兆2853億円となるようなのだ。道路施設の定期点検の義務化を受けて本格化する橋梁やトンネルの点検を後押しして、経済の再生や成長に関しては三大都市圏の環状道路に空港や港湾へのアクセス道路の整備などによる物流ネットワークの強化に3779億円を要求しているそうなのだ。整備新幹線には本年度当初予算と同じ755億円を計上しているそうで空港の機能強化も推進するようなのだ。羽田空港では国際線と国内線の両地区を結ぶトンネルの整備やC滑走路などの耐震化に498億円を積んでおり、345億円を要求した那覇空港の滑走路増設事業では護岸工事や埋め立て工事を進めるというのだ。 新幹線整備や空港の改築といった大型インフラの新規整備だけでなく、既存のインフラとの連携や活用を強調したのも今回の概算要求の特徴で、「ETC2.0」とよばれる次世代版ETCで収集したビッグデータで急ブレーキが多発する危険箇所を抽出・改善したり、スマートインターチェンジで工業団地などの民間施設と高速道路を直結したりするという。これらの項目はインフラ整備が物流の効率化や民間投資の誘発をもたらし、長期にわたって経済を成長させる効果として国交省が掲げる「ストック効果」を重視した政策だというのだが、来年度の予算編成を読み解くうえでもう一つ欠かせないのがインフラ整備の新たな指針だとされ、今月に閣議決定を目指す「第4次社会資本整備重点計画」などに沿って今後の政策が動いていくという。 農林水産省は今年度当初予算と比べて14.8%増の2兆6497億円を要求しており、公共事業関係費は18.7%増の7826億円とするようなのだ。農業農村整備事業に3372億円を投じ老朽化した水利施設の長寿命化などを進め、地震や集中豪雨への対応のほか海岸防災林の保全などを含む治山事業には717億円を計上している。環境省は東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う除染作業で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備費に1346億1600万円を要求し、このうち14億2800万円は減容化や再生技術の開発に使うというのだ。政府は福島県双葉町と大熊町に中間貯蔵施設を建設する方針で、発生する汚染土などは約1600万~2200万m3に達するとみられているそうなのだ。
2015年09月07日
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全国的に問題となっている認可保育所などに入れない待機児童について、大手新聞社が20の政令指定都市と東京23区に聞いたところ、合計で約7千人いることがわかったそうなのだ。これは前年より16%減ったそうなのだが、各保育所等の定員増などが一因とみられる。ところが入園できないのに待機児童に数えられない「隠れ待機児童」を集計すると計約3万人おり、国と一部の自治体が公表する待機児童の数は実態と合っていないとして、親たちから不信の声が上がっているそうなのだ。このため認可保育施設に入れない待機児童を減らすため、厚生労働省は定員19人以下の「小規模保育」の整備を促す検討に入ったそうで、整備費の補助や賃貸料の支援制度を来年度予算の概算要求に盛り込むというのだ。 各自治体の認可保育施設に申し込んだ人の数から、実際に入れた子どもの数と厚生労働省の定義で待機児童とされた人数を引いた数を「隠れ待機児童」として、大手新聞社が集計したところ計3万人だったという。「隠れ待機児童」の内訳は「保育施設に入れずに育休等を延長した」とか、「自宅でインターネットなどを使って求職中」といったものだけでなく、「認証保育所など自治体が補助をする認可外施設に入った」や「空きのある保育施設があると自治体が通えると判断したが、入らなかった」などのケースだという。国の定義からは外れるが私的な理由で保育所を利用したいが、実質的に入所できていない子供たちに対する取組みについては、さまざまな取組みを行い入所待ちの児童数を減少させる方策をとるというのだ。 待機児童の多くは敷地の確保が難しい都市部といわれていることから、定員19人以下の「小規模保育」の整備が都市部を対象に想定しているそうなのだ。私の住んでいる松山市では本年4月の待機児童数は昨年の40人から0人になり、待機児童ゼロを達成しているそうなのだ。待機児童は認可保育所に入園申込みをしたが入所できていない「入所待ち児童」から、国の定義に基づき保護者が就職活動中である場合や、私的な理由で特定の保育所のみを希望している方などを除いたもので、その数が松山市では今年は0人になったというのだ。なお入所待ち児童数も昨年の262人から224人の38人減になっており、限られた財源の中で国の基金等を活用し、市長公約の一つである待機児童を解消に努めてきたというのだ。 松山しては4年前から認可保育所で320人の定員増を行ったほか、家庭的保育事業や商店街保育事業の実施により45人の定員増と、事業所内保育施設の設置補助により232人などを行い、合わせて597人の定員拡大を図ってきたそうなのだ。政府のほうも「待機児童解消加速化プラン」で2017年度末までの5年間で保育施設の定員を40万人分増やし、待機児童をなくす目標を掲げているそうなのだ。ただ就職活動中などの世帯を含む入所待ちの児童数が数百人いることは認識しているそうなのだ。それでも入園申込者数が110人増加した中で、入所待ちの児童数をゼロにさせることができたそうなのだ。それでも施設の整備は進んでいるが入所希望者は増え続け、待機児童は都市部を中心に2万1千人を越えているそうなのだ。 小規模保育は定員20人以上の認可保育所より少ない敷地面積で整備できることから、保育所や認定こども園を対象とする整備費補助の枠を拡大し、新たに小規模保育も対象に加える計画だという。またビルの一室やマンションの1階部分に賃貸で運営している施設も増えていることから、新たに設ける賃貸料の支援制度などに19億円の予算を来年度は要求するそうなのだ。来年度に約6万9千人足りなくなるとされる保育士の確保策も強化するそうで、就学前の子がいる保育士の早期復帰支援や、資格を持ちながら働いていない潜在保育士の再就職支援を新規事業として概算要求に入れるという。また家庭的保育の拡充などに取り組むことによって待機児童の受け皿の確保を図っていく計画だというのだ。
2015年09月06日
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昔自民党の長老が「85歳以上生きるのは事故のようなものだから、事故には保険で対応することが必要だ」と言っていたのだが、長生きが「リスク」と言われるようになってきている。日本で80歳以上の高齢者は昨年の9月時点で964万人と前年から35万人増加しており、そのうち90歳以上は私の母親を含めて、172万人で前年比11万人増えているという。つまり日本は「人生90年」の時代に入りつつあるというのだ。喜ぶべき長寿社会を迎えたはずなのに、高齢者を取り巻く環境は厳しさを増している模様で、特に老後に生活が困窮するケースが急増しているという。生活保護受給世帯は今年5月時点で162万と過去最多を更新したが、その約半数の79万は高齢者世帯が占めているそうなのだ。 高齢者の生活保護受給世帯この1年で4万世帯増加しており、母子世帯や障害者世帯などと比べるとその伸びは突出しているそうなのだ。今後も高齢者人口の増加と比例して生活が立ち行かなくなる世帯も増え続ける可能性が高いとされている。まずは貯蓄額を増やすための家計の見直し、そして会社員であれば定年後にいかに過ごすかが大切で、なぜなら老後の家計は基本的に「赤字」になるからだというのだ。昨年度の総務省の家計調査によると年金暮らしの高齢夫婦無職世帯の収支は平均で月6万1560円の不足となっており、年間では約74万円の赤字だとされている。この分は貯蓄で補填していることになるわけなのだが、65歳でこの状態だとすると、90歳までの25年間で約1850万円の不足になる計算だという。 その間に病気になったり住まいのリフォームなど大きな出費が必要になったりすれば、さらに不足額は増えることになるし、しかも現状の月約6万円の赤字は戦後の苦しい暮らしを経験しつましい生活を送る高齢者も含まれているというのだ。今の50代や40代が老後を迎える時には家計の赤字額がさらに増えているというのだ。若いころにバブル景気を経験した「消費は美徳」世代が年金暮らしに入ったからといって、生活の質を大きく落とせる人は少ないと予想されており、すでに高齢夫婦無職世帯の赤字額は年々増え続けているという。「バブル世代の老後資金に3500万円は必要」との試算もあるというのだが、こうした状況を見越して老後資金を十分確保しなくては高齢者の生活保護受給世帯となってしまうというのだ。 しかし50代や40代の家計はそれほど楽ではないといわれており、特に負担が大きいのが教育費だとされている。私立大学の進学費用は入学金に授業料を合わせて平均約112万円がひつようであり、国立大学でも約82万円必要となるというのだ。20年前と比べるとそれぞれ1.6倍に2.2倍増だという。しかも晩婚晩産化で子供が大学を卒業する時期が50代後半というケースも多く、そうなると老後資金はなかなか貯まらないというのだ。さらに住宅ローンを定年退職後まで払い続ける人も多く、近年の低金利状況だと借入額も膨らみがちだという。先ほどの高齢者の家計調査では住居費は平均1万6000円ほどで、年金生活に入ってから住宅ローンを抱えていると家計の赤字額はその分増えることになるというのだ。 月給や賞与があり意識しなくてもキャッシュフローが回っている会社員の場合、貯蓄から赤字補填をしなければならない老後の生活はイメージしにくく、貯蓄が十分に貯まらなければ働き続けるという選択肢も考えなくてはならにという。しかし定年後の再雇用は収入が大幅に下がるし病気になるなど体調を崩せば働くこと自体できなくなるというリスクもあるのだ。必要な貯蓄でよく言われるのが3000万円なのだがこれだと結構ギリギリで、65歳で定年を迎え90歳で寿命を迎えたとすると25年間生きるわけだから、月々の取り崩し額は10万円になるというのだ。定年を迎えてからもいろいろとおカネは必要で、しかもいずれも金額的にはかなりまとまった額になるはずことも考えておく必要がるというのだ。
2015年09月05日
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今年度内の開通を目指して工事を進めている首都圏中央連絡自動車道の境古河インターチェンジとつくば中央インターチェンジ間で、盛土によって軟弱地盤が想定以上の圧密沈下を起こしていることが分かったというのだ。常磐道の路面が橋脚付近と盛り土部分で高さが異なり波打っている現象が見られ、素人目にも大きく沈下していたことが分かるというのだ。国土交通省関東地方整備局は特別委員会を設置して軟弱地盤対策を検討するため、公告していた9件の関連工事の入札手続きを中止したそうなのだ。国土交通省関東地方整備局では開通時期について「委員会の意見も踏まえて検討していく」としているが、工事の遅れによって年度内の開通は難しくなりそうだという。 国土交通省関東地方整備局によるとこの夏以降既に盛り土が済んだ箇所で想定以上の沈下が目立ってきたそうで、常総インターチェンジ内に建設した本線の橋では、橋台の背面と盛り土との間に12cmほどの隙間が生じているという。事前のボーリング調査で軟弱地盤であることは把握しており、サンドコンパクションパイルなどの工法によって対策を講じてきたが、当初の想定を超える速度で沈下が進んでいるそうなのだ。そのため入札公告した工事について当初設計のまま進めると同様のトラブルが生じる恐れがあることから、いったん手続きを取りやめて対策を再検討することにしたそうなのだ。首都圏中央連絡自動車道は「圏央道」と呼ばれ、整備事業は国土交通省と高速道路会社が共同で進めているそうなのだ。 首都圏中央連絡自動車道の境古河インターチェンジとつくば中央インターチェンジ間では、盛土などの工事を国土交通省が行い舗装や標識などの工事は東日本高速道路会社が担当しているそうなのだが、ちなみに常総の旧地名は「水海道」とよばれていたことから、水に縁があると考えてもおかしくはないということのようなのだ。古河もまたしかりで江戸時代末期以降「鬼怒川の水は尽きるとも、その富は尽くることなし」と称されるよう、鬼怒川の河川水運によって周辺地域の中核都市として発展した都市で、昭和後期からは隣接する県南地域の発展とは裏腹に衰退するが、古川市中心部にある五木宗のレンガ蔵や鍵屋河岸倉庫などの建築物に周辺地域の中核都市であった名残を見ることができるというのだ。 このため東京都心から鉄道や高速道路などを利用して1時間弱とアクセスしやすく、緑や歴史的建築物などが多いため、映画やドラマを中心としたロケ地として利用されることが多いそうなのだ。「水海道(みつかいどう)」というのはかつての河港で元は渡船だったのだが、明治23年に架橋された豊水橋のやや下手に古い渡し場の跡も残っており、そのあたりが渡しだったというのだ。旧地名の由来は諸説あるが16世紀ころの文書には「水かへと」とあり、水とのかかわりが深い土地柄で、鬼怒川と小貝川が近接する沖積低地とローム層の洪積台地よりなっているそうなのだ。私の好きな三遊亭圓朝の「真景累ヶ淵」では、「これからダラダラと河原へ下りまして、渡しを渡って横曾根村へ着き」というところもあるくらいなのだ。 工事に先立っての調査で「砂礫が多そうだとか、丈夫な岩盤が広がっているな」というような目安はつけられても、地盤の不等沈下まで知るのは難しいと思うのだが、地盤の強度等の測定なら弾性波探査の伝わる速度を計測するなど別の技術が必要ではなかったのだろうか。一般的には高い水圧のかかっている砂礫層からの突発的な湧水などについては、事故を警戒して入念な調査をするようなのだが、「あのへん一帯は強固な岩盤だね」と分かった場合にはわりと油断しそうなのだ。まさか工事に差し支えるほどに不等沈下するとは思わなかったということのようなのだが、業界紙の記事を読んでいても当該地区の弾性波の伝播速度をピンポイントで計測した記録があるとは考えにくいのだ。
2015年09月04日
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特定の人種や民族への差別をあおるヘイト・スピーチを禁じる「人種差別撤廃施策推進法案」について、自民党と公明党の与党は今国会での採決を見送る方針を固めた。与野党はヘイト・スピーチを問題視する姿勢では一致したが、「表現の自由」とどう両立させるかで折り合えなかったというのだ。ヘイト・スピーチの定義は確立していないが、関連する国際人権条約を参考にすれば、「人種・民族・言語・宗教・国籍・世系・性別などに基づく差別や敵意に憎悪の表明とその煽動および暴力の煽動」ということになるそうなのだ。このようにヘイト・スピーチの対象範囲は広く表現形態も多様なのだが、国際的にみて日本は関連法の整備が遅れていることから「人種差別撤廃施策推進法案」の成立が待たれていたのだ。 自民党と公明党は国会内で民主党など野党が出した「人種差別撤廃施策推進法案」について協議したが、出席した自民党議員の一人は「何がヘイト・スピーチか、誰が認定するかが難しい」と語り、今国会中は与野党合意せずに採決に至らないとの見通しを示した。拷問禁止や表現の自由などに関する国連人権規約委員会は日本政府に対し、ヘイト・スピーチなど人種や国籍差別を助長する街宣活動を禁じ犯罪者を処罰するよう勧告しており、現行法では名誉毀損罪・侮辱罪・威力業務妨害罪等の刑事法規制が存在するが、集団に対する名誉毀損や侮辱は成立しないとされており、ヘイト・スピーチに対する国内法規制は存在しないし、日本の現行法で対処できるのは被害者が特定できる場合に限られているのだ。 「ヘイト・スピーチは特定の国籍や人種・民族などへの憎しみをあおる差別的言動で、過激な言葉で敵対心を表現することから「憎悪表現」と翻訳されている。国会でも問題になっており「ヘイト・スピーチは許されない」との考えは自民党・公明党・民主党をはじめ与野党で一致していたというが、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いを巡り自民党銀が反対し与野党の溝は埋まらなかったというのだ。菅義偉官房長官も記者会見で特定の人種や民族への憎悪をあおり立てるヘイト・スピーチについて、政府として全国規模の実態調査に乗り出す考えを明らかにし、「何件あったか、具体的に何が問題になったか、しっかり調査していくべきだ」と語っていたそうなのだが無駄になってしまったようなのだ。 国連の人種差別撤廃条約は日本を含む177カ国の締約国に処罰などを求めており、欧州では法律で規制している国も多いという。日本は憲法が保障する「表現の自由」を重視する姿勢からヘイト・スピーチ自体を取り締まる法律はないが、国連の人種差別撤廃委員会は在日韓国・朝鮮人へのヘイト・スピーチ問題でも責任ある個人や団体を捜査し、必要な場合は起訴するよう勧告しているのだ。国連の人種差別撤廃委員会の勧告となる「最終見解」の中でヘイト・スピーチの表示など外国人への差別をあおる行為が広がっているとし、「差別や暴力を誘う人種的優位や憎悪を助長するプロパガンダをすべて禁止すべきだ」と提言して、日本政府に対し犯罪者を処罰するルールを整備するよう促しているのだ。 そこで政府も東京五輪・パラリンピックや来年の伊勢志摩サミットなど世界的なイベントを控え、早急に対策に取り組む必要があると判断したというのだ。また国会でも有志議員が「個人の基本的人権に対する重大な脅威であるのみならず、差別意識や憎悪・暴力をまんえんさせ社会の基盤を揺るがす」とした要望書を菅義偉官房長官に手渡し、人種差別の解消に向けた基本法の整備を含む人種差別撤廃政策の策定などを政府に求めていたというのだ。それでもヘイト勢力との関係も濃厚でほとんどの極右組織に幹部として関わりのある安倍首相のもとでは、「人種差別撤廃施策推進法案」の国会での採決を見送りが行われたことで、課題を先送りにしたということのようなのだ。
2015年09月03日
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昨年の訪日外国人観光客は1300万人を超え今年はすでに1000万人を突破しているそうなのだが、これは昨年を上回るペースとなっているそうなのだ。この訪日外国人観光客に対してはカジノを設置することで、経済効果や訪日外国人観光客の呼び込みの起爆剤になるとの声も多くの国会議員の中にあるというのだ。今国会では安保法制の議論に耳目が集中しほかの法案の審議状況はなかなか伝わってこないのだが、アベノミクスで成長戦略の一つとして位置づけられている「カジノ」を推進する法案である「IR推進法案」は、先の国会でも成立確実といわれていたそうなのだ。ところが突然の衆議院解散で廃案となってしまい、今国会でも安保法制の審議を優先するなどの事情から成立は見送られることになったそうなのだ。 このようにカジノを解禁する統合型リゾート推進法案の成立を目の前にして、地方自治体間でカジノを誘致する動きが活発化しているそうなのだが、カジノをめぐる議論は深まっているとは決して言えないそうなのだ。統合型リゾート推進法案の成立に関してもっとも積極的に動いているのは大阪市で、橋下徹市長は2011年のダブル選挙でも2014年の出直し選挙でも、大阪経済の起爆剤としてカジノを誘致することを盛んに主張していたそうなのだ。また松井一郎大阪府知事も大阪臨海部の夢洲にカジノを核として統合型リゾートIRを誘致することを表明しているというのだ。こうした積極的な誘致のかいもあって新聞などでは「大阪市と横浜市がカジノ当確」と報道されているといわれているようなのだ。 カジノの誘致をめぐっては東京都も相当に力を入れていたそうで、石原慎太郎元都知事は年1000万円のカジノ調査予算を計上していたほか、2002年には都庁展望室でカジノを疑似体験するプレイベントを開催していたのだ。これは自治体関係者や企業関係者に専門家など招待者を限定したもので一般人は入場できなかったという。石原元都知事のカジノ政策は後任の猪瀬直樹都知事にも受け継がれ、猪瀬都知事のときは特区で企業関係者や研究者などが一堂に介する学術会議を開催するイベントホール、博物館・美術館といった学術振興施設、スポーツイベントを開催できる競技場や体育館といったスポーツ施設などを一体的に集約する総合施設を整備し、それに合わせてカジノを設置することを推進していたそうなのだ。 石原・猪瀬両都知事はカジノを誘致しようと猛アピールをしていたのだが、2014年に就任した舛添要一都知事は「私にとって優先課題ではない」と、これまでの都知事とは一歩引いた発言をしているというのだ。発言だけを見ると以前よりもカジノに関しては消極的な印象が否めないそうなのだが、「カジノ誘致に関してはギャンブル依存症やマネーロンダリング、青少年への悪影響の部分がきちんと議論されていません。そうした負の部分を政府はどう対処するのか」 と対策を政府にも要望しているそうなのだ。舛添都知事もカジノの有用性には着目しており、決してカジノ誘致に否定的というわけではないそうなのだが、都のトップが指摘している問題点を放置するわけにはいかないようなのだ。 これまで東京都のカジノ担当部署は知事本局だったそうなのだが、舛添都知事は組織改編をおこないそれに伴って、知事本局は政策企画局に改組されたという。抱えていた事業はできるだけ担当部局におろす方針になったため、東京都のカジノ政策は港湾局が担当することになったというのだ。都市整備局や建設局ではなく港湾局が担当する理由は、これまで「東京のカジノはお台場エリアにつくられる」ことを前提に話は進んでいたことによるという。お台場の青海エリアに広大な都有地があり、そこがカジノをはじめとする統合型リゾートの有力地と見られているからというのだ。都の担当者は「国が法案を成立させない限り、東京都はカジノについて動きようがありません」というのが正直なところのようなのだ。
2015年09月02日
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やっと少しは涼しくなってきたとはいえ今年も本当に蒸し暑い夏で、今の日本の夏はもはや亜熱帯と言えるくらいのようなのだ。蒸し暑さを測る指標として湿度が一般的なのだが、湿度には相対湿度と絶対湿度があるというのだ。その相対湿度と絶対湿度の違いと加湿や除湿の考え方を専門家に聞いてみると、相対湿度で見てみると湿度の高い夏も乾燥を強く感じる冬とはさほど違いが無いというのだ。また東京ととにかく蒸し暑いと言われる関西の代表的な都市の相対湿度を比較してみても、相対湿度を見るとどの都市も1月が最も乾燥していて7月が最も湿っているというのだ。ただ東京の場合は1月の相対湿度が49%で、7月が73%とわずか24%の倍率にして1.5倍程度しか変わらないそうなのだ。 実際には冬は加湿が必要で夏は除湿が必要なのは周知の事実なのだが、相対湿度は同じ水分量でも温度が高くなれば低くなりますし低くなれば高くなります。要するに温度によってころころ変わる本当にフラフラした指標なのです。空気中にどの程度の水分が含まれているのかを的確に表す指標が絶対湿度と呼ばれるもので、空気1m3中に何g含まれるかを表すものは「g/m3」、空気1kg中に何g含まれるかを表すものは「g/kg」、空気1kg中に何kg含まれるかを表すものは「kg/kg」というように3つの単位で表示するというのだ。そこで空気1m3の重さを知っておく必要があるそうなのだが、これは温度が上がるにつれて軽くなっていく。常識として「1m3=1.2kg」と覚えておくと良いそうなのだ。 この数字は想像よりはるかに重い数字だと思ったのだが、記事の中でも「水1m3が1tであることを考えると、その1/1000というのは妥当な重さであることも理解しやすいかと思います」と解説されていたのだ。東京で見てみると最も乾燥しているのは1月で全国と変わらないのだが、最も湿っているのは8月になっているというのだ。実際に都市圏では最も蒸し暑く感じるのも8月だといわれており、その両者の湿度差がなんと5.6倍にもなるという。つまり人間の乾燥・湿りの感覚に近いのは、相対湿度よりも絶対湿度に比例すると言えるというのだ。それと同時に発砲されたデータによると、大阪の夏がいかに蒸し暑いのかがよくわかるというのだ。それと東京が関西に比べて冬の乾燥度が強いことも読み取れるそうなのだ。 「アメリカ暖房冷凍空調学会」が規定している夏・冬それぞれの快適範囲というのがあって、夏と冬で快適範囲が異なるのは着衣量の差によるというのだ。夏も冬も絶対湿度が12g/kgとなるところが快適範囲とされているが、これは気温が27℃だとしたら、対湿度55%程度になるというのだ。日本で一般的に使われているルームエアコンでは温度をこれ以下に下げることも簡単なのだが、相対湿度は60%くらいが限界になっているそうなのだ。日本人は欧米人よりも比較的蒸し暑さに強い傾向がみられるので、私は絶対湿度の上限は13g/kgでも構わないと考えられているそうなのだ。それでだいたい相対湿度は60%くらいなので家庭にあるエアコンでもなんとか実現できそうな数字となっているそうなのだ。 健康という概念を取り入れてみると、一般に湿度はよく「40~60%を保ちましょう」と言われますがこれでは正確さに欠けるそうなのだ。もう少し正確に言うと「夏は60%を切りましょう」で、「冬は40%を切らないようにしましょう」というのが良心だそうなのだ。夏に関してはダニやカビの繁殖抑制の観点からこの数値が妥当なのだが、しかし冬の場合はインフルエンザなどのウイルス抑制の観点から言うと、40%を超えていれば良いというものではないそうなのだ。ただしどちらもそれだけやっておけば完結するというレベルではありません。夏と冬の両方とも理想的な状態まで持って行こうとすると、やはり加湿や除湿は必要となるそうなのだが、夏と冬の両方ともに効果がある対策として、潜熱の交換率が高い「全熱交換換気システム」だというのだ。
2015年09月01日
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