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2024.11.23
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『華僑二世徐翆珍的在日』という本を、手にしたのです。
神戸には南京町という観光名所ができているが、華僑にはわりと寛容な気風があるわけでチョイスした次第です。




徐翠珍著、東方出版、2020年刊

<出版社>より
日本に生きた「在日華僑」の闘いの記録。
日本の植民地政策の残存の象徴でもある「国籍条項」「外国人登録法」「入管法」をめぐる闘いの一つの結果として、外国籍公務員第一号となる。その他、指紋押捺拒否や「思いやり予算」返還訴訟、靖国訴訟などを提訴、「非暴力・反戦反差別平和」を理念に活動を続けている。

<読む前の大使寸評>
神戸には南京町という観光名所ができているが、華僑にはわりと寛容な気風があるわけでチョイスした次第です。

rakuten 華僑二世徐翆珍的在日


神戸の定時制高校を経て大坂の西成区に移った後も著者が受けた辛苦を、「第2章 国籍条項」で見てみましょう。
p17~19
<西成で 黙っていては、中国人として生きられない!>
 1970年、結婚し大阪の西成区に移りました。初めて多くの在日韓国・朝鮮人、あるいは私と同じ、在日中国人が日本社会の様々な偏見や差別によって同化を強いられていることを知りました。
 それぞれの民族性が肯定的なものとしてではなく多くの場合は否定的なものとして扱われていること、日本人学校に多くの在日韓国・朝鮮人や、在日中国人の子どもたちが在籍していることにそれまで気がつきませんでした。在日中国人であることを主張して生きていながら、より多くの在日中国人や同じような歴史を持ってこれまで歩んできた在日韓国・朝鮮人が日本社会でどのような状況の中で生きているのかさえ知らなかったことに初めて気づかされました。

 こうして、この西成で民族差別を実感していくことになります。
 それでも私は、「貧乏ったれ」であったがために生きにくかった在日中国人社会からこの西成に移り、まさに水を得た魚のように「貧乏ったれ」を堂々と肯定的に生き始めることが出来たのです。

 西成に移った私はまず、仕事を探し始めました。自分の住む地域近辺のすべての保育所、幼稚園に保母としての採用を打診して回りました。結局どこからも良い返事がありませんでした。近所の工場で数ヶ月働いている間にある民間の保育園から連絡があり、面接に行くことになりました。

 履歴書を持参し、家からすぐ近くにある大阪社会福祉法人キリスト教社会館めぐみ保育園に出向いて行きました。キリスト教の牧師である園長は私の履歴書を見ながら「来て下さい」と話し正式職員として採用となりました。1970年11月19日のことです。
 しかし「名前は徐では読みにくいので」という理由で、私の連れ合いの苗字である林を日本語読みの「はやし」と読んで「はやし先生で」と条件がつきました。良心的な園長とは言え、外国人の人権には、まだまだ疎かったのでしょう。

 私はやっと仕事をみつけたのに、情けなくなりました。自分の名前が「ダメだ!」「日本名にしろ」と言われるなんて、情けなくて、悔しくて、こんなことは初めてでした。
 私はそのまま、そこに就職しました。でも、どうしよう。、「はやし」なんかで生きていける筈がないのに、と内心思っていました。
 私はずっと中国人として生きてきました。でも、この西成に来て、初めて黙っていては、中国人として生きられなくなることを思い知らされていくことになるのです。

 就職してすぐに私は、「はやし」として紹介されたのですが、1ヶ月もたたないうちに私は職員や子どもたちみんなに「はやし」ではない、在日中国人だから「リンです」と主張しました。
 71年1月から「リン」となりました。徐(ジョ)ではなかったけれども、私は少なくとも中国人であることを取り戻したのです。私は中国人保母として在日韓国・朝鮮人が半数近くも在籍するこの保育園の子どもたちの前にやっと堂々と立つことができたのです。

 1970年の時点ですでにめぐみ保育園の公立への移転計画が持ち上がっていました。1971年7月1日には民間保育園から大阪市立長橋第三保育所に変わり、園長は大正区の新しい民間保育所に委託されることが決まりました。
 私たち職員は、この保育所が市立になってもそのまま残る人と、大正区の新保育所に移る人と、それぞれ自由意志で選択することとなり、大阪キリスト教社会館職員組合を通じて具体的交渉に入りました。

 私が、在日中国人であることもあってか、在日韓国・朝鮮人の保護者たちともつながりができ、オモニ(お母さん)たちと民族差別の実態や子どもたちへの思いなどを話し合えるようになりました。家庭訪問などを通じて、在日を生きてきたオモニ(お母さん)・アボジ(お父さん)たちの被差別の実態などを聞かせてもらいながら、私はここで多くのことを学び、私のやることをやっと見つけたような気がしていました。


『華僑二世徐翆珍的在日』1 :私の原点―闘いの軌跡





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Last updated  2024.11.23 00:03:09
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