夕刻から雨が降り出して、バスからは何も見えない。
なんとなく、皆様うとうとし始めたその時、
「スーツケースが落ちてる!」と声がした。
そちら側の席にいた人はみな窓ごしに暗闇の中の路面をじっと見ている。
「また落ちた!」 「拾わにゃ、早く止めてぇ! !」
添乗員Yはやっとこの時窓から路面を見た。
「あんた、見てるより先に、バス止めて拾わにゃ、よその車につぶされる!」
男性陣が雨の中、降りて行く。
「相当前から落ちてたんちゃうの」
誰一人戻ってこないし、ずーっと先まで行った様で姿すら見えない。
親切なドイツの青年が2-3個のスーツケースをバイクに乗せて持ってきてくれた。
「ありがたいわぁ、でもこの人、どこから来たん?ずっと先やないの?」
20分くらいして男性陣の姿が見え始めた。
暗がりの中でも破損しているスーツケースが見える。
Yはしきっているようだが、信用できない。
自分で降りて確認しなくては。
男性陣と私だけ自分と連れのスーツケースを確認した。
「これで、全部ですね」とYが言う。
どうして、これで全部だと言い切るのかわからない。
「元々何個あったんですか?落ちたのも、残っているのも数えて確認してください」
珍しく言ってしまった。このまま走り出して、ホテルでまた誰かのスーツケースがないのは我慢できない。
ブダペスト インターコンチネンタルのパ… July 6, 2008 コメント(6)
エリザベートの愛したcafe Gerbeaud July 5, 2008 コメント(8)
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