「皆さん、次はピラミッドが綺麗に見渡せるパノラマに行きます」
車中、皆、ぐったりしていて誰も答えられない。
「皆さん、脚、笑ってますか? 明日には泣けてくる」
えー! そんなこと言わないでよっ。
「ラクダに乗れます。乗りたい人いますか?」
(はーい!)
「ど、どうしたの? 乗るの?」
(乗らないの?)
「じゃ、乗っておこうかな」
母はまさか超怖がりの私がラクダに乗るなんて予想してなかったようだ。
おそらく、この機会を逃したら、私は一生ラクダに乗るまい。
そもそもいつも膝上スカートなのでそんな選択肢はなかった。
(トルコのラクダは汚すぎたし)
ラクダについてはブログで散々怖い目にあったのを読んでいたけれど、ワイロさんが一緒なんだから、なんとかなるだろう。
乗るぞ!
皆様、これがギザの三大ピラミッドでございます。
ヒエログリフでもピラミッドは△
ピラミッドの向こうがビル郡って言うのも、ちょっと味気ないけど。
まんなかのピラミッドの内部探検を果たした身としては感慨深い。
ラクダは1人$2(← 家族で眼鏡さん の時は$1だったそうな)
ワイロさんがたくさんいるラクダの中から知り合いらしいお兄ちゃんのところに行ってお金を払った。
「皆さん、お金は払いましたから、チップをくれと言っても払わないでください」
きたきた、やっぱりあるのね、そーゆーこと。
私は一番先に呼ばれた。
ラクダは座っているんだけど、鞍は高くて私の顔近くまでの高さがある。
の、登れない・・
と思った瞬間、お兄ちゃんの屈強なかったい手で荷物のように持ち上げられ、あっと言う間に私は鞍にまたがっていた。
ほう。
鞍の前のまんなかに直径15cmくらいの木の根みたいなつかまるところがある。
ラクダはそれが普通なのか、つんのめるように、ガバーっと立った。
(ぎゃーーーー! ! 落ちるぅーーー!)
乗ってる方からすると、いきなり地面の上に投げ出されそうなくらい前のめった後、急にすっごい高さまで持ち上がる感じで怖いったらない。
一歩一歩のたびにすごーくカクンカクンするので、落ちちゃいそう・・
(ぅうゅーぅ゛ぅ゛うー)←私が本当に恐怖を感じてる時の叫び声はこう聞こえるらしい。
で、一歩、また一歩と(ぅうゅーぅ゛ぅ゛うー)の声にワイロさんがびっくりして
「大丈夫ですから、お母さんももう乗りましたよ」
振り返ると鉄人の母は顔色ひとつ変えず、にこやかにラクダにまたがっていた。
恐くないのか?
また一歩、一歩と進んで行く。(ぅうゅーぅ゛ぅ゛うー)
どんどんワイロさんから離れて行くじゃないのー、遠くまで連れてかれて古館伊知郎みたいに「金出さないと、ラクダ走らせるぞ」なんて脅されたらどうするの?
(きゃー、ワイロさんー、遠くに行きたくないって言ってくださいー。私遠くに行きたくないー)
ワイロさんはアラビア語で何かお兄ちゃんに叫んでくれた。
ラクダは止まった。
「カメラ、カメラ」お兄ちゃんの弟子が撮ってくれた写真。
すると予想通りお兄ちゃんが「バクシーシ」と言う。
(ワイロさーん、チップよこせって言ってるんですけどー)←告げ口
ワイロさんはまた何か叫ぶとラクダは元の位置に戻って座った。
これがまた、すごい勢い(乗ってる身には)で座るもんだから、怖い、怖い。
で、また、降りられない、自分では・・・
今度は背後からお兄ちゃんがまたガバッと持ち上げてくれて、ラクダ体験は終わった。
あー、怖かったけど、満足したー。
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