2016年01月27日
「体臭」は人に好かれるため? いやな臭いは求婚の象徴だった!
汗ばむ季節になると気になるのが「体臭」。どんなに清潔にしていても完全に消し去るのは困難で、自分の体臭をストレスに感じるひとは少なくないだろう。
ヒトはなぜ体臭を放つのか? 「フェロモン系」なんて言葉が使われているものの、人間の鼻にはフェロモンを受け止める鋤鼻(じょび)器がないので、本当に作用しているのか怪しい。男性は「かゆみ止め」に使われるステロイド、女性は脂肪族酸を使って性的アピールをしているので、「におい系」のひとほどもてる仕組みになっているのだ。
■「おしっこ」臭で女性にアピール
ヒトが体臭を放つおもな目的は、
血縁の識別
求愛
のためで、
1.は母と新生児で顕著にあらわれ、1時間あれば母親は自分の子を「におい」で識別できるというデータがある。逆に、赤ちゃんの脇に母親のにおいがついたガーゼを置くと、その方向を向いて寝る率が85%と、母子のきずなに大きく関わっていることがはっきりしている。ことわざでは「血は水より濃い」というが、親子を識別する場合は「においは血」よりも濃いと表現すべきだ。
2.は昆虫からほ乳類まで「ほぼ」すべての生き物にみられる現象だけに、人間だけは違うと考えるほうが不自然で、においで異性に刺激を与えることがわかっている。代表は「フェロモン」で、昆虫には日常的な意思伝達にも使うものもいるが、残念ながら人間はこれに当てはまらない。鼻にはフェロモンを受け止める鋤鼻(じょび)器が存在するものの、退化して役に立っていないので、モテるひとを表す「フェロモン系」は成立しない。そこでフェロモンに頼らず、ダイレクトに「体臭」で性的アピールをおこなっているのだ。
男性から女性へのアピールは、かゆみ止め剤で知られる「ステロイド」だ。ステロイドのうち、5アルファ・アンドロステノンという物質はブタが発情することで知られている。これを病院の待合室の一部の椅子にスプレーし、その椅子に男女どちらが座るかを調べたところ、
・女性 … 座る率が高い
・男性 … 座らない率が高い
となり、女性は好むが男性は嫌うことがわかった。ブタと比較するのも気がひけるが、人間の女性にも「好ましいにおい」として作用しているのである。余談だが、5アルファ・アンドロステノンは男性の汗に多く含まれ、尿のようなにおいを放つ物質なので、汗クサいひとほど女性にモテる、とも表現できる。
■「妊活中」はにおいが変わる?
男性に刺激を与えるのは女性器から分泌される脂肪族酸で、揮発性が高くにおいを放ちやすい。このにおいこそが性的アピールのシグナルと考えられているのだ。
これも動物の研究から判明し、発情期のメス・アカゲザルの分泌液には脂肪族酸が増え、そのにおいを「妊活中」の合図に使っている。ヒトも同様に排卵前後は脂肪族酸の分泌量が増えることから、同じ役割を果たしていると考えられているのだ。
「汗クサい」という言葉に反し、体温調整のためにかく汗・エクリン腺は99%が水で、健康なひとならにおいはしない。この水分がバクテリアを繁殖させることがにおいの元なので、清潔な状態を保つことがにおい防止の最重要課題である。
ただし、気にするあまりオーデコロンや香水を多用すると「魅惑のにおい」まで消してしまうので、モテたいひとは体臭を気にしないほうが良いだろう。
・男性はステロイドのにおいで女性にアピールしている
・女性は脂肪族酸のにおいで性的アピールしている、と考えられている
・体臭を消そうと努力すると、せっかくの「魅力」が減ることに…
タグ: 健康
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