2017年09月12日
BMIで肥満度計る、はもう古い?肥満大国アメリカの最新算出法とは
自分が低体重なのか普通なのか肥満なのかを知りたいとき、BMI(Body Mass Index、体格指数)は体重と身長から肥満度を手軽に算出できるのでとても便利だ。
日本でもおなじみだが、BMIはWHO(世界保健機関)が定めた世界的な体格基準であり、世界中で使われている。だが医師が肥満のリスクを判定する目安として使うには、いろいろ問題もあるようだ。
アメリカのクリーブランド・クリニックの研究者らによると、BMIだけでは筋肉と脂肪を区別できないため、体脂肪率などの肥満問題が表面化しにくいという。
腹囲や人種も考慮して、肥満のリスクを的確に認識できるようアメリカの内分泌や心臓病、肥満に関する各学会などが制定した3つの新たな肥満度判定分類を活用しながら、多面的に判断するべきだと医師たちに勧めている。
□肥満に悩むアメリカ ボートが沈み飛行機が傾く!?
アメリカは肥満に悩んでいる。
カリフォルニアのディズニーランドが人気アトラクションを大改装したのは、肥満客でボートが沈む事態が頻発したためだといわれている。
航空会社が肥満客の搭乗を拒否してニュースになったり、体重による雇用差別を禁止する条例を制定したりするなど、肥満はアメリカで深刻な社会問題になってきている。
□肥満大国アメリカではジャンクフード税も
ついには肥満や糖尿病の抑止のために、西部のアリゾナ州など3州にまたがる先住民居留地ナバホ自治区では2015年4月からジャンクフード税が導入された。
肥満や糖尿病を減らすためにも、予防や個々の対策が急務とされているのだ。
□BMIの算出方法 BMI=22が理想的
予防や対策のためには、肥満のリスクのある人を的確に見つけることが必要とされる。今まではBMIがその便利な指標として使われてきた。
BMIの算出方法
BMI=体重kg÷(身長m×身長m)
男女とも、このBMIが22の時に、高血圧、高脂血症、肝障害、耐糖能障害等の有病率が最も低くなる。そこでBMIが22となる体重を理想としたのが、標準体重だ。
適正体重= (身長m×身長m)×22
□BMIでは把握しきれない肥満リスク そこで登場した新基準とは
しかし、BMIの基準では肥満と判断されない人がいたため、AACE(米国臨床内分泌学会)やACE(米国内分泌学会) の2つの学会は新しい肥満度判定分類を作った。
OMA(肥満医学協会)やAHA(米国心臓協会)、ACC(米国心臓病学会)などの心臓や肥満に関する学会のガイドラインも合わせると3つのガイドラインができている。
□ACCE/ACEの肥満度判定分類と治療法
ACCEとACEの2つの学会では、肥満のときに発生する合併症(高血圧、高脂血症、腰痛など)の有無を加えた5つのカテゴリーを作った。リスクの低い順番に次のようになる。
?@標準体重(BMIが25以下)
?A過体重(BMIが25〜29.9で、合併症がない)
?B肥満ステージ0(BMIが30以上で、合併症がない)
?C肥満ステージ1(BMIが25以上で、軽い合併症がある)
?D肥満ステージ2(BMIが25以上で、重い合併症がある)
?Cと?DはBMIが低くても、より危険だと判定されている。
そして医師による肥満治療の方針は、人種による調整を行った上でBMIを評価する。次に肥満の合併症を漏れなくチェックして判定する。学会推奨の肥満調整法を基に治療計画を立てるべきだとしている。
□肥満リスクの早期発見には全体を見るアプローチが大切
若いアスリートと高齢者では、同じBMIでも筋肉量や体脂肪率が大きく異なることがある。また人種によっても、適切な体脂肪率が違うことが分かっている。年齢や人種を考慮しないで診断するのは適切でないようだ。
またBMIが正常でも、代謝的に肥満や過体重である人を見つけるためには、腹囲測定をするのが有効なようだ。
「腹囲は、内臓脂肪の状態を表す目安となる。米国では3人に1人といわれるメタボリック・シンドロームを見つけるのに役に立つ。」と、研究者のチェテイン氏は述べている。
研究者チームは、医師らにはBMI基準だけを基に考えるのではなく、広い見方をしてほしいと主張している。
インターネットなどで、人種や年齢、自覚症状などを打ち込めばすぐにより的確な肥満リスクが出てくる…そんな未来のBMI指数計算表が出てくるのが待ち遠しい。
タグ: 健康
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