2019年11月01日
若い頃より飲めない…加齢によりお酒が弱くなるのはなぜ?
年齢を重ねていくうちに「お酒が弱くなった」と感じたことはありませんか?
20代のうちは朝まで飲んでも二日酔いなんて滅多にならなかったのに、30代になって以前の酒量が飲めなくなったり、悪酔することが増えたと感じる人は多いようです。
忘年会シーズン突入前に、お酒が弱くなってきたと感じる原因や悪酔いしない為の対策を、医師に教えていただきました。
お酒の強さはどうやって決まる?
悪酔いのメカニズム
1. アルコールが胃や腸で吸収され、血液中に入ります。
2. 血液は全身をめぐり、脳の細胞に働きかけて意識をもうろうとさせたり気分を変えたりします。
3. 血液に乗ったアルコールが肝臓を通過する際に、アセトアルデヒドという物質に変えられます。
4. アセトアルデヒドはさらに分解され、最終的に水と二酸化炭素になります。
5. アセトアルデヒドが体内に溜まると気分が悪くなり、頭痛や顔が赤くなるといった悪酔い状態になります。
お酒が強い人が持っている「ALDH」とは?
悪酔い物質であるアセトアルデヒドを、無害な物質に分解するのが、肝臓の細胞と、胃粘膜にもわずかにあるアルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ、ALcohol DeHydrogenase: ALDH)です。
このALDHが強力なほど、アセトアルデヒドを早く大量に分解できるので、酔いにくく、酒に強いということになります。ALDHは人によって少しずつ構造が違い、強力なALDHを持っている人もいれば、弱い人も、ほぼALDHがない人もいます。
これは両親から受け継いだ遺伝子と、遺伝子にどのような突然変異が生じるかによって決定されます。
つまり酒の強さは基本的には生まれつき決まっている能力なのですが、胃腸でどの程度吸収されるかや、どの程度飲酒の習慣があるかによっても変わってきます。
お酒が弱くなる原因
アルコールを吸収する胃腸の問題と、アルコールを分解する肝臓の問題に加え、疲労やストレスの関与も考えられます。
胃腸
胃がからっぽの状態、もしくは胃粘膜にただれなどがある状態でアルコールを飲むと、吸収が早くなり、酔いやすくなると考えられます。
また、胃炎や加齢などで胃粘膜が薄くなると、胃でのアルコール分解が少なくなります。
肝臓
肝臓は、その半分以上を切り取っても、残りで機能がまかなえると言われているほど、機能に余裕がある臓器です。
肝臓の機能低下でお酒が弱くなるということも考えられますが、その場合は肝臓の機能が半分以下に落ちている重度の状態と考えられます。
お酒が弱くなった時に出る症状
・顔が赤くなりやすくなる
・少ない酒量で眠気が出る
・翌日の二日酔いになりやすくなる
加齢によりお酒が弱くなるのはなぜ?
加齢によって全身の機能が落ちます。胃腸や肝臓の機能低下があればお酒は弱くなります。
若い頃は水で薄めた安い酒を飲んでいたのが、年を取ってお金に余裕が出て、濃い酒をつまみなしで飲むようになったというような、飲酒スタイルの変化も関係してるかもしれません。
男女で違うお酒の強さ
概して女性は男性より酒が弱いとされますが、これは体重や体液の差に加え、女性ホルモンがALDHの働きを抑制する為と言われています。
お酒が弱くならない為の対策
胃を空にせず、食事をしながらゆっくり飲むようにします。お酒を飲む日に備えて、疲労を貯めず睡眠を取るようにしましょう。
今の自分のアルコールの強さを正確に反映する検査数値はありません。体にとってはアルコールは毒です。無理をしてまで飲むとか、多く飲めるように努力するというのはあまりおすすめできません。
人それぞれお酒の強さには差があることを理解し、無理に他人にお酒を勧めたり、酒を豪快に飲むかどうかで人を評価しないようにしましょう。
タグ: 健康
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