2016年03月03日
洗濯機の「洗い」時間を長くすると、かえって汚れるって本当?
家事のなかでも意外とタイヘンなのが「洗濯」。まとめて洗おうとため込んだら、汚れが染みついて落ちなくなった!なんて失敗は誰もが一度はあるだろう。
「洗い」の時間を長くすれば、しつこい汚れも落とせるのか? 洗剤には「再汚染防止剤」が含まれ、溶け出した汚れが洗濯物に戻るのを防いでいるが、長時間洗い続けると効果が薄れ、逆に衣類を汚す原因となる。洗剤を減らしても同じことが起きるので、頑張ってもケチってもキレイに洗えないのだ。
■繊維に「汚れ」が戻らない理由
洗濯物の汚れを洗剤液に「移動」させるのが洗剤の役目なのは、いまさら説明する必要はないだろう。汚れのヒドいものを洗うと洗剤液がよどみ、こんなにキタナかったのか!と驚いた経験が一度はあるはずだ。
ここで落ち着いて考えて頂きたい。洗剤液に溶け出した汚れは、なぜ繊維(せんい)に戻らないのか? かりに絵の具を溶かした水につければ、洗濯物もその色に染まってしまうように、洗濯中は「汚水」に浸されたようなものだから、キレイになるのは不自然である。これは再汚染防止剤と呼ばれる成分が含まれ、汚れが戻るのを防いでいるからだ。
再汚染防止剤としてよく使われるのが非イオン界面活性剤(かいめんかっせいざい)と陰イオン界面活性剤だ。
非イオン界面活性剤は洗濯物の繊維と汚れの周囲を小さな水の粒で取り囲む。どちらも表面に水の「バリア」ができた状態となるので、接触しても汚れが戻らないのだ。陰イオン界面活性剤も繊維/汚れの両方にとりつくところまでは同じだが、マイナスの電位を高め反発しあうようにする。磁石の同極がはじき合うのと同じ原理で、繊維に近づくことすらできなくなる。なにげなく使っている洗剤も、キレイな状態が保てるように工夫がなされているのだ。
■洗剤は「推奨量」を厳守!
「洗い」を長時間にすれば、さらにキレイになるのか? 答えはNoで、再汚染防止剤の効果が薄れ、かえってキタナくなってしまうのだ。
製品によって差はあるものの、洗濯時間と洗浄率のおよその関係は、
・15分 … 60〜75%
・30分 … 75〜80%
・45分 … 60〜75%
とのデータがあり、15分以上洗っても劇的な洗浄率アップにはつながらない。30分を超えると逆に汚れが戻ってきてしまうので、逆効果でしかない。もしキレイになったか不安だったり、徹底的に洗いたいときは、15分間の「洗い」+脱水を2セットおこなうほうが得策だ。
洗剤を減らしても同じ現象が起き、汚れが落ちないだけでなく「里帰り」が増えてしまう。「そんなの汚れていないから」と洗剤を減らしてしまうと、汚れが落ちにくい+再汚染が増えるのダブルパンチで、汚れ落ちが急激に悪くなる。
メーカーの推奨する洗剤量で洗ったときの洗浄率を100%とすると、
・半分 … 洗浄率80%
・1/4 … 洗浄率55%
と急激に落ち、逆に増やしても、
・1.5倍 … 洗浄率110%
・2倍 … 洗浄率120%
程度で、たしかに洗浄率は高くなるが、洗剤の消費量に見合った効果は得られず、やはり洗い直すほうが効果的と言えよう。
洗濯時間も洗剤の量も、メーカーが研究を重ねた結果の「値」だから、当てずっぽうで増減しても時間とコストのムダづかいになるのでご注意を。
・洗剤には、汚れが戻らないように「再汚染防止剤」が含まれている
・「洗い」を長時間続けると再汚染防止剤の効果が薄れ、汚れを付着させる原因になる
・洗剤の量を2倍にしても、洗浄率は2割ほどしかアップしない
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