2016年12月02日
悪夢はうつ病の前触れの可能性大 どうすれば悪夢を見ないで済むか
夢を解明しようという挑戦は昔からあった。オーストリアの精神分析医ジークムント・フロイトは著書「夢診断」で、私たちの無意識がどんな夢になるのかを詳細に分析している。どんな夢を見たかを分析し、夢で心の中を探ろうとしたのだ。
では、悪夢はどうして見るのだろうか。どんな意味があるのだろうか。悪夢はどんな人がどんなときに見るのか、そんな問いを科学的に研究した論文が公表された。
□悪夢を見やすいのはどんな人か
フィンランドのトゥルク大学、認知神経科学センターのニルス・サンドマン氏らは、悪夢を見る原因となるものを探る調査をした。
2007年と2012年の調査では、フィンランドの成人25〜74歳の約1万4,000人が参加し(うち53%が女性)、約45%は過去30日間に時折悪夢を見ていた。また、約50%は悪夢を見ていないと述べた。そして、約4%(女性約5%、男性約3%)が、過去30日間に頻繁に悪夢を見ていたという調査結果だった。
また、重度のうつ病患者の約28%と、不眠症の人の約17%は、頻繁に悪夢を見ることも分かった。
さらに分析した結果、悪夢の危険因子として最も強いものは、不眠、疲労、および「自己に対して否定的な態度」をとるうつ病の症状だと結論付けた。
□なぜ悪夢を見てしまう? 悪夢と不眠、負のスパイラル
そもそも悪夢と不眠は、負のスパイラルに陥りやすい関係にある。
不眠の場合は、眠りが浅いレム睡眠が多くなる。悪夢は深い眠りのノンレム睡眠の時よりもレム睡眠時に見やすいため、不眠だと悪夢を見る確率が上がってしまうのだ。
そして、悪夢を続けて見てしまうと、悪夢を見るのが怖くなり、寝るのが怖くて眠れなくなる悪夢障害になることもある。不眠と悪夢が負のスパイラルに陥り、抜けられなくなってしまうのだ。
□夢は昼間の体験を映し出す?
夢は昼間の体験を脳が整理する際の副産物である、という説が有力だ。そのため、昼間がポジティブで楽しいものであれば、夢もポジティブな夢が多くなり、昼間がネガティブで暗いものであれば、夢もネガティブな悪夢を見やすくなるのだろう。
□悪夢で「うつ」が診断できる可能性も
サンドマン氏は、「悪夢とうつ病の関連性が最も強いことが分かる。悪夢は、抑うつ発症の早期診断指標として使える可能性がある」と述べている。
悪夢はうつ病とは深い関係にあるため、何度も繰り返し悪夢を見る場合は、うつ病の前兆と診断することができるようになるかもしれないのだ。自分の精神状態は、自分ではなかなか把握しづらいが、悪夢を見るかどうかは自分で分かるため、うつ病になりかけているのに気付ける可能性もあるだろう。
□どうすれば楽しい夢を見ることができる?
悪夢や不眠、疲れ、うつ病の負のスパイラルを断ち切るには、悪夢の要因を取り除いていけばよい。昼間はポジティブ思考を心掛け、できるだけ休養をとり、リラックスして眠れるようにするのが一番だ。
ネガティブ思考は癖になっている場合もある、思考は自分でコントロールできるので、意識してポジティブに考えてみよう。
そして寝る前は、ゆっくり入浴して楽しいことを考えながら、リラックスして眠ろう。ベッドで横になりながらその日にあった嫌なことを思い出すのはやめたい。少し努力してでも、楽しかったことを思い出しながら眠ろう。
それでも、もし悪夢を見てしまったら?……すぐに二度寝をするか、すぐに別のことを考えると、どんな夢だったか忘れられるようだ。悪夢は、できるだけ早く忘れてしまおう。
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