2017年12月05日
最近こだわりのお店が急増中!ラーメン一杯の「原価」はいくら?
全国のラーメンを食べ歩くラーメンミュージシャン、井手隊長です。
今回はラーメンの値段について考えてみたいと思います。総務省統計局によると、東京都のラーメンの小売価格は2010年時点で平均594円。「思ったより安いかな?」という感覚ですが、チェーン店も含めればこのぐらいの値段に落ち着きます。
最近はこだわりのお店も数多く出てきており、一杯800円/900円というお店も増えてきました。これらのお店は原価にお金をかけている場合が多く、おのずと一杯の値段にも影響してくるわけですが、さてさてラーメン一杯の原価率とはどれくらいなのでしょう?
■ラーメンの原価率は30〜35%
一般的にラーメンの原価率は30〜35%といわれています。たとえば700円のラーメンで原価率30%だと、原価は210円ということになります。原価は主にタレ、スープ、麺、具材に分かれ、それぞれの合計金額で決まってきます。
スープにお金をかけるお店が多いですが、タレに特選の醤油を使ったり、麺を特注にしたりと、それぞれのお店でこだわりポイントはさまざまです。
平均的には30〜35%ですが、原価率が高いお店もあります。特選食材をふんだんに使うことで原価が280円かかっていても、一杯の値段が700円であれば原価率は40%です。通常のお店よりも儲けが少ないわけですから、当然経営は苦しくなってきます。
原価率が高いお店は長く営業を続けていけるのか、このあたりをフードジャーナリストでラーメン評論家の山路力也さんに伺いました。
「お店によって考え方がまちまちなので一概にはいえませんが、“ビジネスとして捉えているか、そうでないか”の差が大きいと思います。
個人的には、商売としてやっているのであれば適切な利益は取るべきだとは思います。原価をかけるなら売価も高く、売価を決めるなら適切な原価で。うまいものを出すためなら儲け抜きでも、という姿勢はお店としてはあまり評価できません」
お店がお店として成り立つためには適切な原価で一杯の値段を決めるのが大変重要だということですね。
■「一杯1000円の壁」について
ラーメン店がミシュランガイドで星を獲るなど、ラーメン界が大きく動いている昨今。ここで考えるのが「一杯1000円の壁」。大衆食であるラーメンが一杯1000円を取れるのかどうなのか、山路さんに伺いました。
「大衆食だから1000円以下であるべきだとは思いませんが、消費者がまず1000円払って食べるとは考えづらいでしょう。ラーメンに対する先入観ももちろんありますが、お店の滞留時間と価格には相関関係があると個人的には考えます。
15分で食べ終わるものに1000円払うのか。もしそれが可能になるとしたらそれは暖簾の重さやブランドだと思います。お蕎麦屋さんと同じですね」
お店としては、1000円以下でおいしいラーメンを提供できるように最大限努力している現状があります。
本当に厳しい世界です。リーズナブルにおいしいラーメンを提供しているお店には必ず工夫が隠れています。それを探りながら食べるのも、またおもしろいかもしれません。
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