2018年09月03日
原因不明の長期疲労「慢性疲労成症候群」原因は腸内細菌だった?
眠れない、頭や関節が痛い、疲れて活動できないなどの症状が6カ月以上続き、検査でも明確な異常が見られない場合「慢性疲労性症候群(CFS)」と診断されることがある。
これまでは心の問題とも考えられてきたが、最新研究により、「腸内細菌」という生物学的原因にスポットが当てられた。CFSの検査や治療技術の発展が期待されている。
□慢性疲労性症候群(CFS)患者の腸内環境を調査
米コーネル大学の研究チームが、慢性疲労性症候群(CFS)に悩む患者と健康体の人では腸内細菌の状態に違いが見られるかを調査した。
CFSだと診断された48人と健康な成人39人の便と血液を採取し、腸内に存在する細菌と炎症の有無について分析を行った。なお、ここで言う「炎症」とは、免疫システムとして体を守るはたらきをする物質「炎症性サイトカイン」や、活性酸素などが増加している状態のことを言う。
□慢性疲労性症候群(CFS)患者は腸内細菌の種類が少なく、免疫が過剰反応
調査の結果、慢性疲労性症候群(CFS)患者の便は、CFSでない健康な人の便より腸内細菌の種類が少なく、抗炎症作用を持つ細菌の数も少なかった。
また、患者の腸内で発生している異常が原因で細菌が血液中に侵入し、それが過剰な免疫反応を引き起こしていた。
十分な睡眠を取った後ですら疲労感が抜けない、筋肉や関節が痛む、頭痛や胃腸が不調といった慢性疲労の症状は、免疫の過剰反応によって引き起こされているという研究結果もある。
□慢性疲労性症候群(CFS)の診断や治療技術の今後の発展に期待
腸内環境の変化が病気の原因なのか、病気によって腸内環境が変化したのか、現時点ではまだ判断できない。
研究チームは今後、腸内の菌類やウイルスが、慢性疲労性症候群(CFS)を引き起こしている可能性のある細菌と関連しているか、さらに調査を続けるという。
現在CFSは、患者の臨床症状から診断しているに過ぎないが、研究チームはいずれ、腸内細菌や炎症の状態からより確実な診断が可能になるだろうと示唆している。CFSの原因が、特定の細菌や炎症を起こす物質だと判明すれば、病気の根本的な治療も可能になるかもしれない。今後、研究がさらに発展することをぜひとも期待したい。
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