2018年09月24日
眠っている中で学習することも夢ではない!?睡眠学習の可能性
「寝ているだけで賢くなれたら良いのに!」とそのような夢のようなことを思いながらうたた寝をしていたのは筆者だけではないはずだ。誰しもが一度は考え、そしてあきらめてしまうこの願いが、もしかしたら実現するかもしれない。
その鍵を握るのが、2012年8月にイスラエルの研究チームがNatureに発表したある研究だ。そのタイトルは「How to learn in your sleep(睡眠中に学習する方法)」だ。
今回は、この研究の内容と、そこから発見されたことについて紹介をしていく。誰しもが夢見る内容について期待を膨らませつつ読んでいただきたい。
□睡眠時に学習テストとは!?どのような方法で実験が進められたのか?
この研究は、イスラエルのワイツマン科学研究所のAnat Arzi 氏らによって行われた。
Anat Arzi 氏らは55人の参加者に対して、睡眠中に2種類の「におい」を嗅がせた。このにおいというのは、シャンプーのような良いにおいと腐った魚や肉のような悪臭である。
続けてそれぞれのにおいに対応した「音」を聞かせることで、「におい」と「音」の関連性を植え付けたのだ。そして起床後に「におい」と「音」の組み合わせについてテストをすることで、睡眠時に学習ができているのかを確認したのだ。
□睡眠時の学習にはノンレム睡眠が最適!
結果はというと、彼らは起床後のテストで正しい組み合わせを選ぶことができた。さらにここで見つけられた面白い発見がある。
それは学習をしたタイミングがレム睡眠かノンレム睡眠かによって学習の定着状況が異なっていたのだ。なんとノンレム睡眠の間に学習した人たちは、起床後も完璧に組み合わせを思い出すことができたのだ。
ノンレム睡眠は、記憶を強固にするための基本となる睡眠と言われている。このことからも、眠りながら勉強するためには、ノンレム睡眠が理想的な状態であると言える。
Anat Arzi 氏らは「この研究を通して、睡眠時における脳のメカニズムだけではなく、植物状態や昏睡などの意識変化に対しても調査を行いたい」と述べている。
□睡眠時における学習の期待から治療への期待へ
これまで「夢ではないか」と思われていた内容について大きな一歩が踏み出されたように思える。この研究が進展していくことで、 学習機能に障害がある人の治療改善はもちろんのこと、意識障害のある人が外部とのコンタクトを取れる日がやってくるかもしれない。また体調の関係で机に向かって学習することが難しい人が寝ながら学習できるようになれば、これまでに受けられなかった教育的なサポートが受けられるかもしれない。
しかし、実用までには越えていかないといけない壁は多く存在する。今後、このような研究を通して教育や治療への応用が1日でも早くなされることを期待している。
タグ: 健康
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