2018年10月09日
A群β溶連菌感染症は大人もかかる? 基礎知識と成人に見られる症状
A群β溶連菌感染症って聞いたことありますか? 小さいお子さんのいらっしゃる家庭だと、一度は誰かが罹ったことがあるかもしれません。
一般的に子供に見られる疾患ですが、大人も罹るのでしょうか。また、その場合の症状とは?
要チェック項目
□A群β溶連菌感染症は大人も罹ることがある
□A群β溶連菌感染症は合併症が怖い病気である
□予防するには体調管理が大事である
A群β溶連菌感染症とはどのような疾患なのでしょうか?
一般的に風邪といった場合、その原因はほとんどがウィルスであると言われています。毎年冬になると大流行するインフルエンザもウィルス性の疾患であることはよく知られていることと思います。
インフルエンザと同じような時期に罹りやすい溶連菌感染症は、普通の風邪とは違って、細菌感染によって起こる疾患です。
特に子供がかかることの多い疾患として有名ですが、場合によっては大人にうつってしまうこともあります。溶連菌は細菌による感染症ですが、溶連菌は正確には溶血性連鎖球菌と呼ばれています。α溶血とβ溶血を呈する2つの種類があり、人に感染するのはβ溶血の、A群、B群などです。
そして、溶連菌感染症の多くが、A群によるものといわれています。そのため、一般的に溶連菌感染症といった場合には、A群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性連鎖球菌)を指していることもあります。
A群β溶連菌感染症の症状にはどんなものがあるのでしょう?
喉の痛み
A群β溶連菌感染症は、主として喉に感染が見られるという特徴があります。そのため、咽頭炎や扁桃炎、また、小さく紅い発疹を伴う猩紅熱(しょうこうねつ)といった病気を引き起こすことがあります。
発熱
A群β溶連菌感染症を発症すると、38℃から39度といった比較的高熱を出すこともよくあります。ただし、3歳未満の乳幼児に関しては、あまり熱が上がらないということです。
発疹
A群β溶連菌感染症になると、全身に赤くて小さい発疹が現れたり、「イチゴ舌」といって、下が赤くなってイチゴの表面のようなブツブツができたりします。
食欲不振
喉に咽頭炎や扁桃炎が出来ると、つばを飲み込んでも痛いことがあり、そのため小さい子供は食事を摂るのが困難になることがあります。
その他
高熱にともなう頭痛や頸筋のリンパの腫れ、また腹痛が出ることもあります。急性期を過ぎてくると、発疹が出た場所の皮がむけてくる(落屑=らくせつといいます)が見られるようになってきます。"
大人が溶連菌感染症に罹った場合どんなリスクがある?
特徴的な症状は少ない
国立感染症研究所によると、成人がA群β溶連菌感染症に罹った場合、子供に見られるような典型的な臨床像を呈する症例は少ないということです。
インフルエンザに似た症状
大人がA群β溶連菌感染症に罹った場合、喉の痛みに加えて激しい頭痛や倦怠感、関節の痛みなどインフルエンザと似たような症状が現れます。また、吐き気や嘔吐、腹痛や下痢などの胃腸炎症状が見られることもあります。
大人のA群β溶連菌感染症の厄介なところは、A群β溶連菌感染症がインフルエンザと同時期に流行することです。そのため、大人がかかった場合、インフルエンザの検査をして陰性だったりすると、ただの風邪と診断されるてしまうことがある点です。
喘息
気管支喘息を持っている大人の場合、A群β溶連菌感染症によって、咳の症状が増悪することがあります。また、A群β溶連菌感染症から喘息に移行するケースも見られ、マイコプラズマ肺炎との鑑別が重要となります。
A群β溶連菌感染症の治療はどのように行われますか?
抗生物質の投与
A群β溶連菌感染症は細菌による感染症のため、抗生物質を服用することになります。服用を始めると間もなく症状が消え、子供さんなどはすぐに元気になってしまいますが、10日間ほどは抗生物質を飲みつづける必要があります。
なぜかというと、A群β溶連菌感染症の怖い所は合併症のリスクがある点なのです。合併症としては、心臓弁膜に障害などを起こす「リウマチ熱」や、「急性糸球体腎炎」といった続発症が挙げられています。
外出禁止
A群β溶連菌感染症は「飛沫感染」といって、咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌によって感染することが多いため、保育園や幼稚園、学校などは法律によって一定期間休まなければいけません。
大人が罹った場合は感染を防ぎためにマナーとして仕事などを休むべきでしょう。
A群β溶連菌感染症になった場合に家庭で気をつけること
食事
A群β溶連菌感染症になった場合、咽頭炎や扁桃炎などにともなって喉に痛みが出るので、熱いものや刺激物は控えるようにしましょう。なるべく喉越しがよくて消化しやすいものを与えるようにして下さい。
水分補給
食事がままならない場合でも、水分補給だけはしっかりと行うようにしてください。水分補給も困難な場合はかかりつけのお医者さんに相談しましょう。
普段から体調管理をしっかりしましょう
A群β溶連菌感染症には、インフルエンザのように予防接種などがありません。
感染しないためにも普段から健康状態に気を使って、免疫力が低下しないようにすることが大事です。
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