2018年06月15日
不登校原因の多数がコレ。子どもが精神疾患なんて…と考えないで
2012年の内閣府調査によれば、不登校児童は小中高合わせて約17万人にもなるという。
不登校は、単純に子どもの学校に対する嫌悪感や不安感が原因だと考えがちだが、不登校の背景には実にさまざまな理由がある。身体面に現れた症状が不登校の理由と決めつけてしまうと、受診先として精神科を検討することもなく、発見と治療が遅れることがある。そのため、院内での連携が進んでいる総合病院の受診が勧められている。
□不登校児童を理解するための5つの評価項目
不安・無気力感・学業・いじめ・友人関係——不登校の原因は多種多様だ。
適切な診断・支援のために、不登校を評価する際に推奨されているのが「多軸的評価」だ。多軸的評価とは、以下の5つの側面から児童の傾向を詳細に分析する評価方法である。
・第1軸:背景疾患があるか
・第2軸:発達障害があるか
・第3軸:学校や友だちに対する児童の姿勢
・第4軸:不登校の経過状況
・第5軸:環境
□精神疾患や発達障害も不登校の原因に
もし不登校が続く子どもが精神疾患や発達障害を抱えていたとしたら、感情論ではこの問題は解決しない。
わが子の不登校の原因が、まさか精神疾患や発達障害だなんて……と思う人もいるかもしれない。しかし、ある調査によれば不登校児童106人のうち43%が適応障害、35%が不安障害、12%が身体表現性障害を抱えていたという。
□「子どもの精神疾患なんて」という先入観で診断・治療が遅れることも
不登校は、小学校高学年と早い時期から増加し始め、中学校でその数はピークに達する。
そして、心身ともに発達中のこの時期、不安感や恐怖感のような精神的症状の表現や認識ができないことも多く、併発した身体的症状を対処するために病院を受診するというケースが一般的だ。
さらに、「子どものうちから精神疾患なんてあり得ない」という親の先入観もあり、初めから精神科を受診するケースは少ないようだ。
例えば、全般性不安障害の患者には過剰な不安感に加えて、頭痛・体の震え・吐き気・悪寒など、さまざまな身体症状が見られる。内科を繰り返し受診しても原因は分からず、精神疾患の発見と治療が遅れた結果、不登校の解決にも遅れが生じてしまうのだ。
□子どもの不登校 内科や外科から精神科の受診にたどり着くことも
不登校児童やその家族が、初めから精神疾患も考えに入れて精神科を受診することは、恐らく多くない。
そんななか、こうした子どもたちが精神科を受診するためには、身体的疾患を診療する内科や外科などの身体科が窓口となり、精神疾患の可能性も考慮して精神科の受診を勧めることが必要となるだろう。
□不登校なら総合病院へまず足を運んでみるのも手
不登校児童に対しては、たとえ身体科を受診したとしても、医師は精神疾患の疑いも念頭に置いて診断すべきだとされてはいるが、科の垣根を超えた連携が進む総合病院だと、よりいっそう迅速な診断と治療に結び付きやすいのだ。
「不登校なんて気持ちの問題だから……」と安直に考えず、まずはその背景にあるものを疑ってみてほしい。子どもが身体・精神症状を訴えていたら、病院を受診することで適切な診療を受けられ、今までどうすることもできなかった不登校を根本から解決にする糸口になるかもしれない。