2018年11月19日
朝が弱い若者 怠け者だからではなく多くが病気だった?
思春期の若者が朝起きられないのは、彼らが怠け者だからではなく、成長期に多く見られる「起立性調節障害」かもしれない。
起立性調節障害では、自律神経のバランスが崩れ、朝起きられなかったり、日中に倦怠(けんたい)感を感じたりする。むげに彼らを叱ることが心の病気につながってしまうこともあるので、まずは起立性調節障害について正しく理解し、周囲が一体となって彼らをサポートしていくことが大切である。
□クラスに数人も!? 起立性調節障害の可能性あり
中学生や高校生の頃、朝起きるのがとても辛かったという人も多いだろう。特別、学校に行きたくない理由があるわけではないのに、どうにもこうにも朝起きるのが辛く、親にたたき起こされる毎日だったという人もいるはずだ。
そんな人はもしかしたら、起立性調節障害だったのかもしれない。
起立性調節障害では、めまい、立ちくらみ、倦怠感、動悸(どうき)、息切れ、睡眠障害、食欲不振、腹痛や頭痛など、実に幅広い症状が現れる。成長期の子どもの5〜10%の割合で見られるといい、これは結構な割合である。クラスに2、3人は、いつも朝から眠たそうな人がいたものだが、彼らはもしかしたら起立性調節障害だったのかもしれない。
□朝が弱い若者 ただのストレスや怠けではない
起立性調節障害は自律神経失調症の一種で、実際に体に異常が起きている状態である。
ただのストレスや怠惰な気持ちからくる症状ではないため、自分の気の持ちようや努力ではどうすることもできない「病気」なのである。
原因は、成長期の急激な体の変化によってホルモンや神経のバランスが崩れることによるものだ。
最近では、起立性調節障害に対する理解が少しずつ進み、家庭や学校など周囲のサポートが必要だという認識が持たれつつある。しかし、現在のサポート体制が十分かというと、そんなことはないだろう。起立性調節障害を知らない人も多く、「怠け癖がついている」「気がたるんでいる」などと言われることも多いのが現状だ。
□若者に多い起立性調節障害 周囲の協力が必要
保護者や教師などの周囲の人が、起立性調節障害に対して理解していないと、誤解が子どもをますます苦しめてしまう。そうした子どもは家にも学校にも逃げ場がなくなり、より強い精神的疾患になってしまうこともある。
本人の話をよく聞いたうえで、一緒に解決策を考えるスタンスが必要である。大人たちは、若者が朝起きられないのは彼らが決して怠けものだからではなく、彼らの体内時計はそのようにできているということを、しっかりと理解しておく必要があるだろう。
起立性調節障害の子どもに対しては、まずは大人かいたずらに動揺せず、協力していくことが大切だ。また、バランスのよい食事や運動の習慣などにより生活習慣を少しずつ改善していき、生活リズムを整えていくことも必要である。