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宮本武蔵は、かなり残念な剣豪だったって本当?

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剣の達人として誰もが知っている「宮本武蔵」。マンガや時代劇では「カッコいいひと」として描かれた作品が多いなか、剣豪とは呼びがたい、みっともない記録も残されているのはご存じだろうか?


巌流(がんりゅう)島の決闘では、佐々木小次郎を一撃でたおしたとされているが、とどめをさしたのは武蔵の弟子で、1対1の約束すら守らなかった。これを知った小次郎の弟子は激怒し、復讐しようと血まなこになって探し始めると、身の危険を感じた武蔵は沼田家にかくまってもらい、護衛をつけてもらって逃げた、との記録も存在するのだ。



■あいまいな記録しかない「巌流島の決闘」

宮本武蔵が実在したのは「ほぼ」間違いないが、生年もいくつかの説があり「だろう」としか表現できないナゾの人物である。これもひとえに史料不足からで、武蔵の生涯を特定できる決定的な記録は存在しない。
宮本武蔵は、かなり残念な剣豪だったって本当?
なかでも有名な「巌流島の決闘」を例にすると、

・二天記(にてんき)

・小倉碑文(こくらひぶん)

・沼田家記(ぬまたけき)

の3つに記録されているものの、内容はすべてバラバラで一貫性がない。

多くのひとがイメージする決闘シーンは、

・小次郎は真剣勝負を申し入れたが、武蔵は「木の棒」を使う

・小次郎が刀の鞘(さや)を捨てると、武蔵は「オマエの負けだ」と言う

・武蔵が一撃で勝利する

おおよそこのような内容だが、「鞘を捨てる」は二天記には記されているが、小倉碑文には記載がない。小倉碑文は観光用とも呼べる「碑」なので詳細が記されていないし、二天記は武蔵の号「二天」が由来で、没後にまとめられた伝記だけに史実とも言い切れない。

みんなが知っている宮本武蔵は吉川英治先生の小説であり、巌流島の決闘でさえはっきりしたことがわかっていないのだ。


■弟子とつるみ家老に泣きつく「剣豪」

沼田家記にはおもしろい記録が残っている。決闘シーンを抜粋すると、

・船島(当時は引島、彦島などとも呼ばれた)で武蔵と小次郎が決闘した

・1対1の約束を破り、武蔵は弟子たちを連れて行った

・勝負は武蔵の勝ち。しかし小次郎は奇跡的に蘇生した

・それを見つけた武蔵の弟子が、小次郎にとどめをさした

と、弟子とつるんで「時間差リンチ」、いま風(?)にいえば、タイマン勝負と言っておきながら、仲間とつるんでフルボッコのようなものだから、この記録を正とするなら「かなり残念な剣豪」と表現すべきだろう。

これを知った小次郎の弟子たちは当然激怒し、武蔵に復讐しようとやっきになる。身の危険を感じた武蔵は、門司城の家老・沼田延元(ぬまたのぶもと)に助けを求める。剣の名人のはずが、こともあろうか護衛までつけてもらい他県に脱走していたのだ。

ただし、この話にも別の解釈がある。沼田家記には、この決闘の「そもそも」はどちらの師匠の教えが正しいか「弟子たちの口論」だったとの記録もあり、つまりは私的な乱闘事件だけに、小倉藩が武蔵を拘束〜追放したとの説もあるのだ。

決闘の場となった船島が、現在は「巌流島」として知れ渡っているのもフシギな話で、巌流は小次郎の号なので、敗者の名が冠せられたのはナゼ?なのである。勝者にちなんで宮本/武蔵/二天島が当然に思えるが、武蔵サイドの名をつけられない理由があったと考えると、追放された説も真実味をおびてくる。

いずれにせよ、真相はヤミの中だが、どちらに転んでもかなりカッコ悪い話に思えてしかたがない。


■まとめ

・「沼田家記」には、かなりカッコ悪い宮本武蔵が記録されている

・1対1のはずの「巌流島の決闘」では、武蔵は弟子を引き連れていった

・小次郎は負けたが、奇跡的に息を吹き返した

・武蔵の弟子が、蘇生した小次郎に「とどめ」をさした

・小次郎の弟子からの復讐を恐れ、武蔵は小倉藩の家老に泣きついた






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