2016年12月28日
女性は心停止時の救命措置が受けにくい? 体格の違いが原因か
心停止を起こした女性が、その場に居合わせた人から救命措置を受けられる確率は、男性より低い——そんな驚きの結果を、国際女性デーだった2016年3月8日、欧州心臓病学会が発表した。
発表の根拠となったのは、仏ジョルジュ・ポンピドゥー病院のニコール・カラマ博士が実施している研究で、2011〜2014年の間に、病院以外の公共の場で心停止を起こした1万1420人のデータを分析している。
分析の結果、心停止を起こした人のうち40%は女性で、男性に比べ、心停止時に周囲に誰かがいる場合が多かったが、実際に自動体外式除細動器(AED)や心肺蘇生法による救命措置を受けた人は、男性が70%に対し、女性が60%となっていた。生存している状態で病院に搬送された人も男性は26%、女性は18%となっている。
女性が救命措置を受ける比率が低くなっている原因について、カラマ博士は、「女性のほうが華奢に見えるため、強く心臓を圧迫する心肺蘇生法を実行することを躊躇してしまうのではないか」と推測している。
また、心停止した人の多くが、数日前から失神やめまい、動悸、胸の痛みと息切れなどの症状を起こしているが、「女性は冠動脈疾患を起こしにくく、心停止も起きないだろう」という思い込みから、当事者が病院に行かず放置してしまったり、病院に行っても、医師による適切な検査が受けられていない現状があるという。
カラマ医師は、「周囲の人はもちろん、女性自身も自分に心停止リスクがあるということを理解し、十分に注意してほしい」とコメントしている。発表は欧州心臓病学会公式ウェブサイトでニュースリリースとして発表された。こうした発表は、学術誌に掲載されるまでは予備的な研究とみなされる。
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