2017年02月14日
脳波コピーで素人がパイロットになれる? 超SFの世界が現実に
難しい数学の問題を解こうと思ったら、繰り返し問題集で勉強して、学習を積み重ねるという努力をする。編み物でステキなセーターを作りたいと思ったら、まずは基本の編み方から覚えてきれいに編めるように練習する。
努力や練習をせずに、そう簡単に物事は習得できない。
もっと簡単に何でもできたらいいのに、なんて思うことは誰にでもある。しかし、もし、本当に簡単に習得できてしまう方法があったとしたら…。
□脳波をコピーしただけで素人がパイロットに?
アメリカの航空機メーカー、ボーイング社と自動車メーカーのゼネラル・モーターズ社が共同で所有するHRLラボラトリーズという研究所がある。ここの研究チームが、ベテランのパイロットの着陸のスキルを脳波を介して初心者に習得させるという、まるでSF映画の世界のような実験に成功した。
実験はフライトシミュレーターを使って4日間にわたって行われた。まず、着陸操作を行っている最中の6人のベテランパイロットの脳波を分析した。この脳波を「経頭蓋直流電気刺激」という方法を使って、シミュレーターを使ったことがない初心者の脳の特定部分に刺激を与えた。たくさんの電極が付いたキャップのようなものをかぶるのだ。
□パイロットの脳波でスキルに33%の差
32人が初心者として実験に参加し、全員が電極の付いたキャップをかぶって、4日間、シミュレーターで着陸操作の練習をした。しかし、全員にベテランパイロットの脳波が送られていたわけではない。一部の人には脳波が送られ、残りの人には送られていない。こうして2つのグループのスキルを比較した。
初日には、2つのグループに大差はなかった。しかし、4日目には明らかに差が付いた。脳波の刺激を受けたグループは、そうでないグループに比べて33%も着陸操作の安定性が高くなったのだ。
□脳波コピーで技術や知識を習得 将来の有用性は?
研究チームが行った「経頭蓋直流電気刺激」という方法を使うと、このようにスキルの習得が向上することが分かった。研究チームは、この方法を使えば、試験勉強や語学学習で有効なことはもちろん、外傷などで脳に障害を負った人のリハビリにも使えると考えている。
この技術が一般化される将来はどんな社会になっているのだろうか。
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