2018年10月12日
キレる若者やキレるオジサン…。 実は寝不足が原因だった?
かつて若者の犯罪が相次いだ時期、新聞の見出しなどに「キレる若者」の文字をよく目にした。「むしゃくしゃしてやった」。キレて事件を起こした加害者の若者はこのように供述する。
キレた背景は事件によってさまざまだが、実は、加害者の若者らは睡眠不足だったのではないか。こんなことを臆測させる調査結果が明らかになった。
□睡眠時間の長さで感情は変わるのか?
米シンシナティ大学医学部の研究チームは睡眠時間が感情に与える影響について調査した。
14歳から17歳の健康な男女97人を対象に、睡眠時間が6時間半を連続5日間、その後2日間空けて次の5日間は睡眠時間を10時間取って過ごしてもらった。参加者には、緊張しているか、悲しみはあるか、怒りはあるか、元気か、疲労はあるか、集中力はあるか、そして眠気はあるかについて、毎日報告してもらった。
□睡眠不足だと悲しみ、怒りの感情が増える だからキレる?
調査の結果、6.5時間に睡眠時間が制限されていた場合、悲しみ、怒り、眠気が増大することが分かった。
こうした悲しみや怒りの感情を持ったままでは社会生活や学校生活に支障をきたしてしまう。よい睡眠を取ることで回避できる問題なので、しっかり睡眠を取ってほしいと研究チームは述べている。
キレて事件を起こした若者らが睡眠不足だったのかどうか気になるところである。
ちなみに、アメリカの国立睡眠財団が推奨している14歳から17歳のティーンエージャーが取るべき睡眠時間は8〜10時間ということだ。日本の中高生らも、勉強や習い事で忙しい毎日を送っているだろうが、ぜひ実践していただきたい。
□キレるのは若者だけではない 60代、70代のオジサンも
“キレる若者”の見出しが躍っていたのは2000年前後のことである。
最近では、キレているのは若者ではなく、60代や70代のオジサンたちのようだ。オジサンたちが「かっとなってやった」と事件を起こす。キレるのは若者だけではないのだ。
実際に上で紹介したアメリカでの調査と同じような調査で、10代の若者でなく成人男性全般に年齢幅を広げた場合、5日間連続で睡眠不足になると不安な感情が高まったり、抑うつの傾向が高まったりすることが分かっている。情緒が不安定で感情が変化しやすくなるという。
□十分な睡眠が犯罪を減らす?
「かっとなってやった」「むしゃくしゃしてやった」と供述する加害者には、今後は睡眠時間を聴取した方がいいのではないかと思ってしまう筆者だが、それはさておき、どの年代でも睡眠不足が続けば、感情が不安定になりキレやすくなることが分かった。
日本人はただでさえ睡眠時間の短い民族といわれている。こんなに寝たら寝すぎではないかと思うぐらいが、日本に平和な世の中をもたらしてくれるのかもしれない。