2018年09月13日
「1日2リットルの水を飲め」はうそ?!この話には続きがあった!
きれいなモデルが1日に2リットル水を飲んで、スマートさや美肌を維持しているという雑誌記事や、病気を予防するためにも1日2リットルの水を飲む必要があるというような健康情報が、世の中にはあふれている。
「1日2リットルの水を飲め」という説は、もはや神話のように信じられているが、実はこの説には続きがあるのはほとんど知られていない。本当は、1日2リットルもの水は飲まなくてもよかったのだ。
□1日2リットルの科学的な根拠はある?
「コップ2リットルの水を飲め」という説は広く信じられているが、その説の根拠は1945年に米医学研究所食品栄養局が、「人間には1日に約2.5リットルの水分が必要だ」と推奨したリポートだと思われる。
しかし、FNBのリポートの続きには「2.5リットルの水分の大半は、調理済みの食品に含まれている」とも書かれている。この続きの部分については多くの人が理解していないようだ。
そのため、根拠とされていたものはレポートが正しく読まれていないための誤解であり、1日2リットル飲むことの科学的な根拠はないということになる。
□日々の食品に含まれる水分は意外と多い
私たちは3食の食事やおやつで、意外と多くの水分を摂取している。それというのも、油や砂糖などを除くほとんどの食品には、多かれ少なかれ水分が含まれているからだ。
牛乳やいちごは90%以上が水分。りんごやぶどう、オレンジなどは80%以上が水分であり、肉類やソーセージは50%程度、パンやチーズは30%程度の水分が含まれている。水分が少なそうなケーキやビスケットにも20%程度の水分がある。
それに加えて、朝はみそ汁を飲んだり、スープを飲んだりする。昼食で温うどんを食べたりすれば汁を飲む。夜も、吸い物を飲んだり、食後にお茶やコーヒーを飲んだりすることが多い。
コーヒーは脱水状態を助長するという説もあるが、科学的には事実ではないことが証明されている。
□必要な水分量には個人差が大きい
そして考慮すべきなのは、性別や年齢、国や地方によって必要な水分量が変わってくるということだ。ヒトは体の約60%が水分だといわれている。体重が多ければ、必要になる水分量も増えるので個人差が大きいともいえる。
また、アメリカやヨーロッパと日本の気候は異なるため、必要な水分量も変わってくる。国内について考えても、夏か冬かによっても、必要な水分量は変わるのだ。
□日本人に不足しているのはコップ2杯の水?
厚生労働省によると、日本人の水分の摂取量は多くの人で不足気味であり、平均的にはコップの水をあと2杯飲めば、1日に必要な水の量をおおむね確保できるようだ。(厚生労働省は『水と健康ハンドブック』から引用している)
1日にコップ2杯を目安にして摂取するようにすれば、飲みたくないのに必要量以上にノルマのように水を飲む必要はない。健康な人が必要量以上に水分量を増やすことで、さらに健康になるという科学的な証拠はないし、肌が潤ったり、しわが目立たなくなったりするという科学的な証拠もないからだ。
□上手な水分補給の仕方
運動したときや熱中症が心配される季節、脳梗塞や心筋梗塞などの病気の予防をすべき場合には、いつもの量では足りなくなるため、通常の量に加えて必要な量を追加して飲む、という臨機応変な飲み方が無理のない飲み方だろう。
また、水は水分補給には最適な飲み物だが、水のままでは飲みにくいと思うときには、お茶や水分の多い果物などでも水分補給としては問題ない。日頃ラーメンなどの単品メニューが多い人は、水を飲む代わりにトマトや果物などを食べることで、栄養と水分の両方を摂取することもできるだろう。