2013年07月26日
飲酒と喫煙がセットである理由 / 体内で「タバコを吸う → さらに酒が飲みたくなる」という悪循環が生じる
酒を飲みながら、タバコをくゆらせる人は多い。酒好きは、タバコ好き。タバコ好きは、酒好き。どちらが最初に来るかはともかく、酒とタバコはセットであるイメージが強い。だが、どうして酒とタバコってセットなんだ!?
その理由が研究により判明した。背景にはニコチンとアルコールの両物質が脳に与える影響があるようだ。最新の研究によると、タバコを吸うと「快楽」に対する脳の反応が鈍るため、さらにアルコールを求めるようになるという。
・ラットにニコチンを与える → アルコールに対する興味が高まる
米ベイラー医科大学の研究チームはラットを使って、ニコチンとアルコールに対するラットの反応を研究した。研究チームはまず、ラットにニコチンを与えた。その15時間後、完全にニコチンが身体から抜けた状態でも、ラットのアルコールに対する興味が高まっていることが判明した。ニコチンを与えることで、長期的にアルコールに対する興味が高まることが分かったのだ。
・ニコチンは脳の「快楽」に対する反応を鈍くする → もっと酒が欲しくなる
ニコチンを与えるとアルコールへの欲求が高まる背景には、両物質が脳に与える影響がある。アルコールを摂取すると、脳内に「快楽物質」と呼ばれるドーパミンが放出されて、脳は快楽を感じるようになる。同時に、アルコールは「快楽」に対する反応を鈍くするという働きもする。要は、「快楽に対する免疫」がついてしまうのだ。
つまり、前回アルコールを飲んだときに感じた「快楽レベル」に達するためには、さらに多くのアルコールを摂取しなければならなくなる。これが、お酒を飲みだすとハマってしまう理由だ。
研究チームによると、ニコチンはこの快楽に対する反応をさらに鈍くする作用を持つという。ゆえにニコチンを摂取すると、以前体験した「快楽レベル」に達するために、さらにアルコールを必要としてしまうのだ。
・研究者「若いときにタバコを吸い始めると、後にアルコール依存に陥りやすい」
この「ニコチンを摂取する → より多くのアルコールを摂取する」という負のループにはまってしまうと、なかなか抜け出せなくなり、いわゆる「依存状態」になってしまう。また、専門家は「若いときにタバコを吸い始めると、後にアルコール依存症になるリスクが高まる」と注意喚起している。
酒もタバコも、知らないうちに依存状態になってしまうのは非常に恐ろしい。中毒になれば、もはや楽しむためのものではなく、健康を害するものになってしまう。健康のためにも、中毒になる危険性についてはよく理解していた方がよいだろう。