2017年12月13日
「よく眠れた」は魔法の言葉 思い込みだけでハイパフォーマンスを発揮
大事なプレゼンテーションや試験を控えた前日。「明日のためにしっかり寝なければ!」と思い過すぎるときほど眠れないということはないだろうか? また、ギリギリまで準備をしていて結局きちんと眠れなかった、なんていうこともあるかもしれない。
そんなとき、「よく眠れた」と思い込むだけでも、寝不足による注意力散漫や情報処理能力の低下を挽回できる。逆に、熟睡したはずでも「よく眠れなかった」と思い込んでしまうと、本来熟睡したときに得られるはずの能力を発揮できないというのだ。
□良質睡眠のプラセボ効果が認知機能に与える影響は?
米コロラドカレッジの研究チームは、思い込みの睡眠の質が実際の認知能力にどう影響をもたらすかを調査した。参加者は17〜21歳の大学生50人。事前学習で、18歳以上は一般的に20〜25%のレム睡眠をとり、それ以下のレム睡眠では認知テストでの成績が低くなるとの説明を受けた。
その後、研究チームは学生たちを2つのグループに分け、脳波測定により、一方のグループには前夜の合計睡眠時間のうちレム睡眠は28.7%、もう一方のグループにはレム睡眠が16.2%だったことが分かったという偽の情報を伝えた。
そのうえで、注意力と情報処理速度を測定する認知テストを、どちらのグループにも受けてもらった。
□「よく眠れた」の思い込みでハイパフォーマンス、好成績に
調査の結果、レム睡眠の割合が平均以上だったと知らされたグループ、つまり「よく眠れた」と言われたグループは、平均以下とされたグループより、認知テストで優れた結果を残した。
参加者自身が昨晩の睡眠の質について述べた自己申告データを考慮しても、結果は変わらなかった。
□思い込みによるモチベーションや不安の増加が原因
実際に体がそう感じていなかったとしても「十分に眠れた」と思い込む。そうマインドセットすることで、なぜ、よく眠れたときと同じくらい優れた認知能力を発揮できるのか、そのメカニズムはまだ解明されていない。
しかし、「よく眠れた=認知テストで高い結果が出る」という期待がモチベーションを増加させ、また、その逆の思考で感じた不安やモチベーションの低下が、認知機能に影響を与えているのではと、研究チームは仮説を立てている。
□「よく眠れた」はハイパフォーマンスのための魔法の言葉。でも…
思い込むだけで寝不足によるデメリットが解消できる。それ自体は驚くべきことだし、ぜひ実生活でも実践してみたいところだ。
しかし実際の健康面を考慮すると睡眠不足は好ましいことではない。そのため、大事なイベントを翌日に控えているのにどうしても眠れないときにのみ活用するべきかもしれない。
よく眠れなかったとしても、十分に眠れたと思い込めば大丈夫。それだけでいつもよりも気が楽になり、むしろ自然に熟睡できることだろう。