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アルコールは睡眠の質を下げる アルコール依存症と不眠にも深い関係

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寝付きが悪いから軽く寝酒でも……。確かに寝る前にお酒を飲むとぐっすり眠れる気がするが、そんな軽い気持ちの飲酒は「疲れがとれた気がしない」の原因になるかもしれない。

アメリカで行われた調査によると、アルコールは疲れに応じて眠るという体の自然な睡眠システムを損わせ、睡眠の質を低下させるのだという。


□睡眠をコントロールする2つのシステム
ほ乳類の睡眠をコントロールしているのは、「睡眠恒常性維持機構」と24時間を刻む体内時計「サーカディアンリズム」という2つのシステムだ。

睡眠恒常性維持機構のメカニズムは、ほとんどの細胞から生み出され細胞機能の制御や調節に関係する「アデノシン」という物質が関係している。「アデノシン」は、昼間の活動時にその量を徐々に増やし、眠りに落ちた後、また徐々に減少していく。このアデノシンが増加すると、睡眠や記憶と関わる「前脳基底部」の覚醒を促す神経細胞のはたらきがブロックされるため眠気を感じ始め、このブロックが解除されると眠気が収まり目覚められる。

もう一つのサーカディアンリズムは、アデノシンの増加・減少によって引き起こされる覚醒と睡眠のタイミングを決めている。

この2つのメカニズムが作用することでぐっすりと眠れ、効果的に疲労を回復させられるのだ。


□すぐに寝付けるが、浅い睡眠で中途覚醒も
これまで、アルコールはサーカディアンリズムを狂わせることで眠気を導くと考えられていた。しかし、米トルーマン記念退役軍人病院の研究グループによる調査により、アルコールがアデノシンの量を増加させ、覚醒を促す細胞のはたらきを抑えることにより眠気を感じさせることが判明した。

アルコールを摂取したラットやマウスはすぐに寝付き、睡眠の前半部分のノンレム睡眠の質と量が向上する。しかし、後半になると前半部分のツケが回りノンレム睡眠の質が損なわれるため、途中で目覚めたりするなど睡眠が阻害される。

今まで形成されてきた体内リズムがあるため、そのリズムに反して早く眠ってしまうと夜間や早朝に突然目覚めてしまうのだ。


□アルコール依存と不眠の関係
また同研究グループは、アルコール依存のラットに不眠症状が見られるのも、睡眠恒常性維持機構が損なわれていることが原因だと言う。

寝付くまでに時間がかかったり睡眠時間が短くなる症状は、断酒を始めたアルコール依存の回復初期に特によく見られるのだ。逆に、不眠症状をなくすために寝酒するようになり、アルコール依存症になるケースも少なくないので注意が必要だ。

確かにアルコールには寝付きをよくする働きはあるものの睡眠を維持しようとする機能を阻害する。

研究者は、睡眠導入を目的として摂取すべきではないと警告している。寝付きが悪い、途中で目覚めてしまうなどの問題を抱える人は、アルコールに頼るのではなくかかりつけ医師や睡眠の専門医に相談し、より適切な解決方法を提示してもらうべきだろう。




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