2018年05月29日
悪い想像をすると不安で心臓がドキドキ…こんな私は精神的な病気?
誰しもよくない想像をしてしまうことはあります。しかし、それがもとでパニックになって心臓がドキドキしてしまうというのは今回の相談者さん。これは精神的な病気なのでしょうか。精神科医と心理カウンセラーが答えます。
50代男性からの相談:「リスクについて考えすぎて軽いパニックになってしまいます」
『 人間、誰しも年齢が上がるにしたがって、リスク管理能力が高まるものだと思います。「起こりうる良くないこと」を想定してから事に当たるわけですが、私の場合、それが極端になってきているようなのです。「こんなことが起こるかもしれない」という悪い想定をすると、なんだか、実際にそれが起こったような気になって、心臓がどきどきしてきます。そして、「これが自分にとって命取りになるのではないか」と思い、軽いパニック状態になってしまいます。「そうなったら、もうおしまいだ」と思い、動悸が募ることがしばしばなのです。
単なるマイナス思考のレベルを超えているように思うのですが、これは精神的な疾患と考えたほうがいいのでしょうか。 』
悪い想像で動悸が激しくなるのは病気なのか?
専門家が相談者さんの症状について考えられることを解説してくださいました。
『 事に当たる前から物事の最悪の事態を考えて不安になることを予期不安といいます。予期不安は、パニック障害や社交性不安といった不安障害でよく起こります。(医師) 』
『 最悪の事態を考えてしまうだけであれば、単なるマイナス思考ですが、動悸や息苦しさ等なんらかの症状を伴い、最悪の事態を考えてしまうことで、行動が起こせない等の支障が起こっている場合は、不安障害という病気になります。(医師) 』
『 相談者さんの場合、物事の最悪の事態を考えて不安になり、パニック発作を起こしておられるようですので、単なるマイナス思考というよりは、パニック障害という病気の可能性が高いように思います。(医師) 』
『 パニック障害は、薬で治療することも可能ですが、自分が頭の中で考えた事態が実際に起こったのか? 現実はどうであったのか? を検討させることで、症状が治まってきます。一度、精神科もしくは心療内科を受診されて相談してみられては、どうでしょうか?(医師) 』
いい意味での開き直りが必要になることも
悪い想像を進めて動悸が激しくなるというのは、自分自身の考えの中にどっぷりと浸かってしまっているということ。まずは、基本的な考え方を改革することも大切だと専門家はいいます。
『 リスクを考えていると、想像しすぎて心臓がどきどきしてしまうことがあるのですね。年齢を重ねると、太っ腹になる人と、経験が不安の種になる人がいるようです。いろいろな知識が増えることで、「考えても仕方がない」と考えるか、「本当にそうなったら、対処できるだろうか」と、自分の責任や役割と重ね合わせてしまうようです。どうしてそうなってしまうかは、その人の物事の捉え方によってしまうのですが、あなたの場合には、不安が交感神経を刺激して身体症状として出現してしまうようですね。(心理カウンセラー) 』
『 交感神経が刺激されると、脈が速くなったり、のどが渇いたり、動機がします。これは体の反応なので、病気ではありませんが、苦しいですよね。精神疾患かどうかは、医師が診断することなので差し控えますが、結構同じ症状で悩む人は多く、抗不安薬を服用する方もいます。(心理カウンセラー) 』
『 ですが、抗不安薬を服用しても一時的であり、大切なのは不安を自分でストップをかけることができるかどうかなのです。不安を強く感じる人は、頭の中でいろいろと考えすぎ、空想と現実がごっちゃになってしまう傾向があるようです。(心理カウンセラー) 』
『 不安を感じた時は「そうなったらどうしよう」とその考えを広げるのはやめて、「そうなったときに、被害を最小限にするにはどうしたらよいか」を具体的な対策を考え、実際に対応することで不安にとらわれることは少なくなります。同時に、「なるようになる」と言い聞かせ、命さえあればやり直せないものはないと開き直って頂けたらと思います。(心理カウンセラー) 』
頭の中で起こっていることは、実際に起こっていることではありません。多くのことを考える時間があると、不安要素ばかりを考えてしまうこともあるでしょう。考えるだけでは物事は解決はしません。ましてや、起こっていないことは解決のしようがありません。答えがなかなか見つからない問題を考え続けるのは心に負担がかかってしまうもの。
数学者の中にも、無限という概念にのめり込んで精神を病んでしまった人がいます。常に考え続けなければならないのは、精神に大きな負担になってしまいます。たまには考えるのをやめて、空っぽな頭で時間を過ごすのもいいでしょう。