2018年07月19日
東京大学が発見 体内時計のリセットと維持に酵素が深く関係!
当たり前のことなので、深く考えたことはないかもしれない。なぜ、1日周期で眠くなったり、目覚めたりするのだろうか。
日の出や日の入りがあるからなのか。1日周期を管理してくれているのは体内時計なのだが、体内時計が365日、毎日狂わずにきちんと動く理由を探ってみたい。
□光の差さない地下室で生活したら睡眠や目覚める時間はどうなるのか
体内時計が毎日ちゃんと動いているのは、外が明るくなったり暗くなったりするからではないかと考えてしまうが、実はそうではない。
光は入らず、朝晩寒くて日中は温かいなどの温度変化もないような、外部環境の変化を遮断した地下実験室で生活しても、1日周期で眠くなったり目覚めたりと、いつもの活動が継続する。
昼間は体温が上がり夜間は下がるという体温変化のリズムもいつも通りなのだ。光がなくとも体内時計は正確に動いていることが分かる。
□しかし体内時計をリセットできるのは光
体内時計を唯一リセットできるのが光だ。
実は、体内時計の周期は正確に24時間ではなく、人によって差があるが24時間より少し長い時間〜25時間なのだ。
ぴったり24時間の地球の自転と、それよりも長い人間の体内時計、その差を縮めるために光が必要だといえる。外の気温が上がって体温も上がったという理由で体内時計がリセットされることはない。温度の変化で体内時計が狂うことはないのだ。
□体内時計に酵素が重要な役割
体内時計のリズムは、体内での化学反応で作られることが分かっている。一般的に、化学反応は温度が高くなると急激にスピードが増す。昼間には体温は高くなるので、周期が速くなってもおかしくない。しかし、体内時計は狂わない。
なぜなのか。実は、体温が上がり反応が速く進もうとすると、それに必要な酵素が不足して反応が抑えられるのだ。このことによって、反応スピードは一定に保たれているというわけだ。東京大学の研究チームが解明した。
□体内時計の研究で将来は時差ボケのない海外旅行に!?
東京大学はさらに研究を進めた。体内時計は温度などで簡単には狂わないが、光の刺激では簡単にリセットされる。この矛盾するような2つの働きはなぜ両立できるのかについて、バクテリアとショウジョウバエの体内時計を使って明らかにした。その結果、一部の化学物質の量が変化して、この化学反応の速度変化を抑えていることが分かった。
体内時計のメカニズムはまだまだ謎が多い分野だが、時差ボケの解消だけでなく、アスリートの記録更新、薬品の開発など様々な分野に役立つことが期待されている。