ニジンスキー,魅惑のバレエダンサー,関連の人々,セルゲイ・ディアギレフ,ミハイル・ミハイロヴィチ・フォーキン他

カテゴリ：本＆心系の話と人物像コラム

宙に静止した美少年,ニジンスキー,関連人々,伝説の薔薇の精,美を追求して燃え尽きた人々_ニジンスキー編,魅惑のバレエダンサー：ニジンスキー,関連の人々,セルゲイ・ディアギレフ,ミハイル・ミハイロヴィチ・フォーキン他

燃え尽きた天才バレエダンサー「ニジンスキー」その2

美を追求して燃え尽きた人々＿No.4＿ニジンスキーその2

1911年、『薔薇の精』上演。瞬間、皆の息が止まった。伝説の奇跡！
驚異的な高い跳躍。そして、それは、空中で完全に静止した！

天才バレエダンサー、ニジンスキーは、蒼く輝いて、そして壊滅的人生を遂げる。
まさにシューティングスター。蒼く蒼く燃え尽きて。彼の世界は怖美しい！異次元の世界。

Shooting star*_Vaslav Fomich Nijinsky

死亡は満60歳だが、29歳で人生廃人同然の宿命を。1890/3/12～1950/4/8（4/8＝イースターの日

■驚異的跳躍力。その上、あくまで格調高く、されど官能的な独特の振り付が人々を魅了。
男性に魅惑的、官能的といった形容は普通あてはまらないが、彼は別。中性的独特の世界。
曳き込まれる！怖美しい！異次元の世界。

■妻はハンガリー人のバレリーナ、ロモラ・デ・プルスキ。
■脚光を浴びたのは、ロシア・バレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフの実力。それは全く否定できない。
氏との出会いがなければ彼は埋もれた存在だったかもしれない。同氏は、彼を見抜き、育てた恩人。
・・・ところが、ここに苦しみが、そして戦争が彼を苛む。
■運命は、29歳で廃人同然の宿命。

ニジンスキーが舞い散る後半生：ニジンスキー本人の前に、「重要な周囲の人々」

1 ＿ミハイル・ミハイロヴィチ・フォーキン

◇1880年4月23日～1942年8月22日、◇（露国）振付師、バレエ教師、◇ニジンスキーより10歳上
◇ニジンスキー同様、セルゲイ・ディアギレフが運営する「バレエ･リュス」のメンバー
◇1912年、「バレエ･リュス」とニジンスキーの知名度が鰻上り状態の最中、
彼だけは、突然の抗議脱団＝辞表を叩いて消え去ることになる。
- ◇1911年、ニジンスキーが脚光を浴びた『薔薇の精』上演の際の振付は、ニジンスキー自身で
  はなく、先輩格である彼、フォーキン自身の手腕によると自負する故、穏やかでない。
  日向のニジンスキーと、影武者のフォーキン状態ではあるが、この段階では歪みは極度な
  ものではなかった。ところが
  ▼
- 1912年、6月8日に初演の『ダフニスとクロエ』と、『牧神の午後』の際、
  ニジンスキーによる 『牧神の午後』 が熱狂的な大反響となり、 フォーキンの存在は皆無状態 。
  上演順位を始め、各プログラムに於いても経営者であるディアギレフと揉めていた矢先の事。
  ディアギレフが原石から磨いた若いニジンスキーは、彼の期待を裏切ることなく見事輝いて、
  そして、なんといっても従順。
  
  その一方、ニジンスキーより10歳年上のフォーキンは経験豊かなればこそ、ディアギレフの右腕
  だったのだが、そろそろ鼻につく点も否めない。
  
  しかも、この後、ニジンスキーは、大反響どころか壮烈スキャンダルに発展。保守的紙面が、
  斬新な当上演を「とんだ見世物！」と痛烈に非難。対して、ディアギレフの怒りたるや半端でない。
  猛烈な反撃に出た。
  
  自バレエ団のプライド、そして主力商品であるところのニジンスキーを、いうなれば安物の男扱い
  された事は絶対に許せない。この人物が動くと猛烈に強い。
  【彫刻家：ロダンによる支援】 に持ち込む。
  彼は、ロダン（かの有名な彫刻家！）にも助力を求め、紙面上の反撃。ロダンといえば、
  泣く子も黙る大芸術家。彼が語った。
  「古代の格調高き彫刻芸術が、現世に突如出現した奇跡のごとく、これぞ誠の芸術！」と絶賛。
  専門分野の知識が文章の布石として特効薬の価値をなす以上、たちまち人々は、
  またしても熱狂。そのまた反論も出たり、ロダンも突っつかれる被害を被るやらドタバタが
  生じたものの、どうやら、軍配はディアギレフ。論より証拠、ニジンスキーの人気は空前の大ヒット。
  ▼
実力も知識も誰にも負けない。フォーキンのプライド。しかし、人々の意識の中埋もれた。
フォーキンの決断は早かった。同年1912年、早々に立ち去った。
とはいえ、1914年、再び復帰。原因は、1913年のニジンスキー電撃結婚事件で、
ディアギレフ大激怒＝ニジンスキー夫妻の解雇。しかし補填ならず、咲かず跳ばず低迷、再退職。

各国転々の時期を経て、最終アメリカで永く活躍。
辛い経験をしたが、結果としては、永く活躍。そこそこ安定を得たことになる。

2＿フランソワ＝オーギュスト＝ルネ・ロダン

■フランソワ＝オーギュスト＝ルネ・ロダン、
■1840年11月12日～1917年11月17日（フランス）■ 死77歳、
■ロダンとニジンスキーの関連については、
・上記の1＿ミハイル・ミハイロヴィチ・フォーキンの 【彫刻家：ロダンによる支援】 項ご参照

3＿セルゲイ・ディアギレフ

■ 1872年3月31日（ユリウス暦3月19日）～1929年8月19日

ニジンスキーを開花させたバレエ・リュスの経営者。名実共露国屈指の芸術プロデューサー。
ニジンスキーにとって恩師。されど二人は・・・！（詳しくはNEXTニジンスキー本人コーナー
突如、鳥篭から飛び出して、電撃結婚のニジンスキーに激怒、団追放。
新婚早々失業の二人。自力で立とうとしたニジンスキーは失敗の連続。結局、再び世話をする。
経営者として優れた人材が必要だった営利のみとは限らない。
許したい。許せない。しかし放置できない。だからこそ憎い。苦渋。
しかし、気がついたら、結局呼び戻していた。（この辺については人それぞれ捉え方様々ながら
- この人物は、美少年を食い物にしてしまう悪い小父さんとは捉え憎い。磨けば輝く者には、
  惜しげなく注ぎ込む。数多く芸術に触れさせる機会を豊富に与え、知性的面も肌で感じて
  体得させて、感性も完璧に指導。鬼の稽古ばかりでなく、心底尽くして広範囲に及ぶ援助
  指導。その姿は献身的に近い。あたかも妻が夫に尽くすがごとく。カリスマ経営者であり、
  手腕も強烈。敵出没なれば、日頃の温和な表情は即座に急変する。突如、猛烈将校に化けて
  闘って勝つ。強い。（上記、ミ 1＿ミハイル・ミハイロヴィチ・フォーキン枠ご参照）
  『牧神の午後』上演後のスキャンダル事件の際、猛然と戦った姿は壮烈。
  
  しかしながら、日頃温和な容姿＆表情。 若い芸術家達は皆、岐路に立つ時、彷徨える子羊 。
  満ち溢れる知識と経験、そして慈しむがごとく暖かな眼差し、子羊達は皆、彼に救われた。
  ニジンスキーも、発端はその「思慕の思い」・・・と思われる。（複雑に発展するが・・・）
- ■鳥篭を飛び出した小鳥■
  
  ニジンスキーは籠を飛び出した小鳥のごとく。虜の宿命から放たれた。即！結婚。
  前年、1912 『牧神の午後』 上演後のトラブルを沈下させてもらえたのは、誰のおかげだ！
  今日の名声は、誰のおかげだと思ってるのだ！
  怒りは半端でなかった。セルゲイ・ディアギレフは、新婚のニジンスキー夫妻を速攻で解雇。
ここから、ニジンスキーの「彷徨い人の悲哀」が展開される。
（詳しくはNEXTニジンスキー本人コーナー
セルゲイ・ディアギレフは、1929年8月19日、水の都、ベニスに死す。
誉高いバレエ・リュスは、彼の死により、無念解散となった。しかしここで育った者達が世界で
活躍＆優れた技能を伝播。やはり、 ディアギレフの力は偉大だった。歴史上の巨匠に他ならない。