2017年02月11日
「朝は食欲が…」はNG! 朝食を食べないと脳出血のリスク36%増
朝はどんなに忙しくても、朝食をとらないと肥満や高血圧につながる恐れがあると言われている。
□朝食を食べないデメリット
朝食抜きのデメリットはほかにもある。
例えば、朝食をとらないと、午前中に体や脳を動かすためのエネルギーが足りなくなる。集中力を欠き、体温も上がらず、だるさや眠気が続くため、仕事も勉強もはかどらない。
また、食べ物が胃腸を刺激しないため、便秘にもなりやすい。
このように、朝食抜きが体にも社会的評価にも悪影響を与えることはよく知られているが、今までは命を落とすほどの影響があるとはされていなかった。
□朝食を食べないと脳出血リスクが上がる
ところが、大阪大の磯博康教授と国立がん研究センターなどの研究チームによると、朝食抜きは脳出血のリスクも上げるという。朝食をとらないことと脳出血の関連性が確認されたのは、世界で初めてだそうだ。
脳出血は命の危険がある重篤な症状で、命を落とさなかったとしても、脳機能に大きな影響を与える病気である。しかし、朝食を抜いただけで、なぜそんな危険な病気にかかるのだろうか。
□朝食を食べないだけで脳出血のリスクが36%も上がる
磯教授らによると、朝食を食べないと朝の血圧が上がるため、朝食を食べる回数が週2回以下の人は、毎日食べる人に比べて脳出血の危険性が36%高まるそうだ。
研究チームは、全国8県の45〜74歳の男女8万2772人を対象に、1995〜2010年にかけて追跡調査を行った。この間、脳出血を発症したのは1051人。調査開始時に確認した朝食回数が週に0〜2回だった人は、毎日食べる人に比べて、脳出血を発症する率が36%も高かった。また、朝食を抜く頻度が高いほど、リスクは高くなったという。
□高血圧は脳出血を招きやすい
脳出血は脳内の血管が切れる病気だ。ちょうど水道のホースが切れるように、切れた部分の周辺に血液が流れ出す。切れた部分から先には血液が届かないため、脳細胞が栄養不足、酸素不足に陥って、細胞が死んでしまう。
血管が切れる原因は、年齢や体調などによってもろくなった血管に加わる圧力だ。高い血圧の力に耐えられなくなると、血管壁が切れて出血する。
□心筋梗塞や脳梗塞のリスクは上がらない
脳出血を含む脳の血管の病気を、まとめて「脳卒中」と呼ぶが、朝食抜きの人は、この脳卒中のリスクも18%高くなる。しかし、その中でも脳梗塞だけで比較すると差は見られなかった。磯教授は「脳梗塞は脳出血に比べ、高血圧の影響が小さいためではないか」と述べている。
脳梗塞は、体内にできた血の塊である「血栓」が、血流に乗って脳内の血管まで送られ、血管をふさいでしまうことによって起きる。血栓が原因なので、脳出血に比べて血圧の影響を受けにくい。
□肥満だと朝食抜きで心筋梗塞リスクも高く
ちなみに欧米の場合、朝食抜きの人は心筋梗塞のリスクが高くなる。心筋梗塞は、血栓が心臓の血管をふさぐことによって起きるが、原因は欧米人特有の肥満であり、血圧のせいではない。しかし、日本人でも、肥満体型の方は例に漏れない。十分な注意が必要だ。
□朝食を食べて高血圧リスクを下げよう
冒頭で述べたように、朝食を抜くと肥満や高血圧にもつながる恐れがある。血圧が上がる原因の多くは、朝食抜きによる空腹がもたらすストレスなどで、なかでも、早朝の血圧上昇は脳出血に至るリスクを招きやすいという。
朝食を食べるだけで脳出血リスクを下げられるのである。朝食で1日の始まりのエネルギーを補給すれば、日中の仕事や勉強に効率よく取り組める。そのうえ、重大な病気の危険も回避できるのだ。朝食を食べる習慣、明日からでも始めてみてはいかがだろう。