幕末の雪の結晶研究者,土井利位『雪華図説』と『続雪華図説』No.5

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【幕末総合玄関】＜ 幕末の「雪の結晶」研究者の最期＿雪の結晶＿土井利位＿雪華の男No.5

幕末,雪華に散った男,土井利位の『雪華図説』＆『続雪華図説』

白い雪に見惚れた男が巻き込まれた「黒い渦」

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動乱幕末、時世と裏腹、真っ白な雪に魅了された一人の男の話の続き。
顕微鏡で発見した雪の結晶の姿。『雪華図説』を残した人物の素顔。

その名は、 土井利位 （としつら）。土井利位の軌跡と、非常に気になる謎の終焉。

土井利位（大炊頭と呼ばれる）：寛政元年5月22日（1789）～嘉永元年7月2日（1848）享年60歳。
・・＜【重臣】：鷹見泉石：天明5年6月29日（1785年8月3日） - 安政5年7月16日（1858年8月24日））

■誕生：寛政元年(1789)
：三河国刈谷（愛知県刈谷市：古河藩土井家の分家筋）に誕生。実父、土井利徳の四男。
■養子IN：文化11年(1814)：下総古河藩へ
：古河藩主土井利厚（第3代土井家古河藩主）の養子となる。利位25歳時。
■藩主着座：文政5年(1822)
：土井利厚（＝養父）死去。土井利位、第4代古河藩主となる。下総古河藩の第4代藩主。土井家宗家11代。
■寺社奉行時代：文政8年(1825)~天保5年(1834)
寺社奉行就任＆辞退＆再任。
・第一回：文政8年（1825）~文政12年（1829）
・第二回：文政13年（1830）~天保5年（1834）【※ 文政13年＝天保元年
- 天保3年(1832『雪華図説』刊行これは、上記、寺社奉行時代のこと。
  土井利位は官位から大炊頭と呼ばれる。その為、下枠第三者の「北越雪譜」出版によって万民にこの情報が
  広まり、雪の結晶模様は「大炊模様」として、漆器の絵柄や、女性の着物柄に流行する。
■大坂城代時代：天保5年(1834)~ 天保8年(1837)
： 「大塩平八郎の乱（天保8年（1837年））」を鎮圧
■京都所司代時代：天保8年(1837)~天保9年(1838)
：（1837）：「北越雪譜」出版（鈴木牧之による）ここに、雪の結晶図も添付され、万民に広がる。
この雪の結晶図が、土井の『雪華図説』に基くのはいうまでもない。土井は大名につき、収益目的の販売でも
なければ万民に刊行したではなく、あくまで「私版」。（鈴木牧之とは、魚沼郡塩沢在住の仲買商＆質屋。
■老中に就任：天保10年（1839
■ 『続雪華図説』の発表：天保11年(1840

水野
首座

天保11年（1840~
天保14年（1843

水野忠邦
首座

第一次水野在任期間：1837～1843だが
水野首座は：1841~1843（罷免：天保14年閏9月13日）迄

9
土井
首座

天保14年（1843

土井利位
が老中首座

1843年（天保14年閏9月13日～水野復活（1844）迄
水野忠邦を追放

弘化元年（1844
※天保15年
＝弘化元年

5月：
大奥火事

水野の後、土井が立つも力不足。 大奥火事の後、資金繰り失策。
将軍家慶怒り、水野復籍。復籍＝1844年（弘化元年6月21日）
天保15年（1844年）、老中を辞任。老中首座は僅か8ヶ月

土井利位
が老中辞任

水野
首座

弘化元年6月21日（1844）～
弘化2年9月（1845

水野忠邦
復籍~罷免

水野復籍。→第二回目の罷免：出羽国山形藩に追放。1851年死亡。

【A項】＿気になる謎の1848年7月：本人死亡の7月、翌月8月次代「利亨」も死亡。

嘉永元年4月（1848

土井利位隠居
4月25日
▼

1844年に老中を辞任した土井利位は、
嘉永元年（1848年）4月25日、隠居。養子の利亨に家督譲る。

土井利位死去
7月2日死去。

隠居して僅か2ヶ月
嘉永元年（1848年）7月2日死去。享年60歳。

▼
土井利亨死去
（としなり）
8月24日に死去

第5代藩主になったばかり の土井利亨は、忽ち8月24日に死去。享年37歳。
(土井利亨：下総古河藩第5代藩主。土井家宗家12代。文化9年(1812)生。
越前敦賀藩主_酒井忠蓋の次男。土井利位の養子。）
・跡は、利亨の養子の土井利則が継ぎ、第6代藩主。

安政5年（1858

鷹見泉石死亡

最良の重臣「鷹見泉石」：死亡。安政5年7月16日（1858年8月24日）

1845年、老中を辞職した藩主「土井利位」だが、長年の功労を讃え、
加増を受けて330石となり暮らす。
しかし、 翌1846年に免職。古河に隠居 。
1858年、古河長谷町の隠居屋敷にて死没。享年74。

【B項】 ＿【他藩バージョン】気になる謎の1848年7月：藩主の隠居＆死亡＆次代も死亡の例

土佐藩

嘉永元年（1848

1848年の7月は奇妙

山内豊熈
13代藩主死亡
7月10日

豊熈は第12代藩主の山内豊資の長男。
嘉永元年（1848年）の参勤交代で江戸に出た直後の7月10日死去。
享年34歳。跡を弟で養嗣子の豊惇が継いだ。

山内豊惇
14代藩主死亡
9月18日

豊惇は第12代藩主の山内豊資の次男。9月6日に家督を継ぎ藩主となるも、
忽ち2週間足らずの9月18日に25歳で死去。尚、この件は翌年まで隠蔽された。
山内容堂（豊信）が継ぐ。
・山内容堂は「山内豊著（12代藩主の山内豊資の弟）」の長男

上の【A項】ご注目 ＿気になる謎の1848年7月：本人死亡の7月、翌月8月次代「利亨」も死亡。

真意は謎。重臣の「鷹見泉石」交友関係は No.4 のとおり、蛮社の獄絡み人脈多い。水野辞職に
追い込んだ時、最大の原因は水野の方針、「上地令」反対だが、土井は、蛮社の獄に係る処置が
過激すぎる旨指摘。しかし、上記のとおり、水野は追放の身。蛮社の獄のお頭ともいうべく存在
の鳥居耀蔵も丸亀に追われ、無関係。
自分の隠居前に、長年の功労者「鷹見泉石」を泣く泣く免職に追い込まねばならぬ訳も何事か？
いずれにせよ、本人死亡の僅か一ヶ月後に、新藩主になったばかりの養子が、
37歳の若さで死亡は奇怪な話。
11代_徳川家斉に押さえられて、将軍デビューが45歳の家慶だが、
黒船到来騒動（嘉永6年（1853年）6月3日）の19日後の同月、6月22日まではご存命。
土井親子死亡の頃、在位は彼。1851年には、薩摩藩代10代藩主島津斉興に対して、お由羅騒動
の後、茶器を贈呈して「そろそろ、茶の湯でもやっておけ。」とばかり隠居すべきを迫るが、
この場合は、上記のとおり斉興も身から出た錆。
さて、動乱幕末、時世と裏腹、真っ白な雪に魅了された一人の男、土井利位は、
何やら、黒々とした泥土に埋もれて冥土入り。
1844年の辞任時（上表内の【9番ご参照】）に於いて、原因は、早急なる資金掻き集め策の失敗。
大奥の大火事。復旧には巨大な金額の捻出が急務。だいたい、こーゆー話は、押して毟るか、
泣かせて奪うか、腹黒い駆け引き、引き換え条件で抽出させるかしない限り、全うには無理。
汚職、癒着、袖の下で水野を叩いた男に、それができるわけはない。知恵袋の重臣、鷹見泉石と
いつもどおりの二人三脚をもってしても失策となれば、やはり、土井利位は、黒いモノに素質が
なかったのだろう。