梶原平馬二人目の妻と倅,会津家老「梶原平馬」根室の墓石SERIES＿No.23,お家の体温差,戊辰が背負うもの ,弟「武川信臣」に係る死の全容1

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武川信臣,梶原平馬、遅れて聞き知った弟「武川信臣」の死に係る全容＿その1

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会津家老「梶原平馬」＿根室の墓石SERIES＿No.23

一族の『戊辰時に於ける過去の相違』から生じる体温差：梶原平馬の実家「内藤家」と山川家

考察おまとめ表
上記おまとめ表頁内の「 調べてみた結果と考察 」に関するソースを、順次溶きながら書いてゆきます。

平馬、遅れて聞き知った弟「武川信臣」の死に係る全容＿その1

初めから読む No.22

あたかも、泥沼の泡。弟「武川信臣」の死の全容が判然とした。
処刑死なれば、いたしかたあるまい。それが戦。
しかし、これは一体なんなんだ！彼の処刑は、10月9日だった！
10月9日とは、既に、会津は降伏しているではないか！！

会津の落城は、9月22日。
なんたるざまよ！一体、なんの為に！なんたる死に様よ！
思わず、平馬は唸った。

初め、平馬は、極めて冷静に、この悲報を受け止めていた。藩が第一。藩主第一。
藩の為、あやつは、あっぱれ、男の最期を飾ったのだ・・・。

弟の武川信臣（関連：内藤兄弟ご参照）は、江戸の彰義隊に、約80名を引き連れ、
参加していた。別働隊幡随院分屯「信意隊」と称して、隊長となっていた。彰義隊が
敗れた後、生き残りは、佐々木源四郎の宅に潜み、次なる動きを諮るやいなや、
垂れ込みによって、突如、宅に官軍が襲撃。そこで、捕縛されたのだった。

・・予感はしていた。・・
否、寧ろ、意識は、知っていたにも等しい。情報が錯綜混迷の末期から、遮断の経緯。
所詮、火の無い所に煙は立たぬ。噂とて、噂にも根拠は、あるだろう。
なんといっても、その時、敵を食い止めようと、玄関先で討ち死を為したのは、
内藤一族の血が絡む手代木家、勝任の弟、佐々木源四郎だったのだ。
ここまでの情報は、極めて早期に入手していたのだった。（ No.16 ご参照）

しかし、その死に様を聞くに及んで、平馬は、腸が煮えくり返った。

拷問は惨忍を極めたという。算盤稜木（※）に正座させられて、腿には巨大な石が積み重ねられ、
石抱きの刑に処せられたという。一刀のもとに斬首ならずや、なんの為の拷問！
会津家老、梶原平馬の弟である旨を、吐かせようとしたと言われる。
されど、信臣は、連日、この苦痛に耐え続け、口を割らなかった。
「己は、桑名藩士、川村兼四郎じゃ！知らぬ、存ぜぬ！」 一点張り。

実質、正体は割れていた。他藩士達が、彼を呼ぶ時、「藩相」と呼んでいた。主要な者の身内で
あるは明確。それが会津家老、梶原平馬であろうことも完全に目星つけられていた。
吐かせれば、なかなかの手柄。仮に吐いて屈したとすれば、あえて生かして、
降伏謝罪の勧告状発信元に仕立て上げる。それで、要の平馬が折れて、会津が屈したとすれば、
これは、大手柄どころの騒ぎでない。天下の大英雄。維新の神様クラスで大威張り！

ところが、結果として、それは、夢物語。なかなかいいタイミングで、早めに
捉えたはいいが、ついに、何の役にも立たない獲物。

それどこか、この若者は、官軍にしてみれば、実にしぶとい。強情たるや、並でない。
皮膚が張り裂けて、鮮血が流れ出ようと、「知らぬ！存ぜぬ！」の一点張り。

糾問する側との根気比べは、むしろ、責める側が苛立ち焦る。早期の手柄どころか、
これでは、手柄は逃して、先に死なれたでは万事埋没。獲物が獲物にならぬ！！

※ 算盤稜木：拷問用の座板 。
算盤稜木苦痛度を増加させる為に、木片の側面ならずや、辺の部分を真上に、稜木をギザギザ状態に
並べて作った座板。ここに容疑者を正座させる。さらに腿に石を積む。
（断面は、■■■■■■ではなく、あえて痛みを増加させる為に、こんなかんじ→◆◆◆◆◆◆◆）

ついに、「骨砕け肉裂け流血淋漓たり」

武川信臣は、骨肉に、稜木が食い込み、肉が張り裂けて、肉片が散切れ、骨が露出。血みどろだった。
それでも、吐かぬこの強情者ともなれば、ついに敵は手段を講じた。

吐かせて獲物にならぬなれば、罪を堂々の理由に、酷刑に処するまでのことよ！

憎しみが、処刑決行に繋がったともいえる。前頁のとおり、理由さえ立てば、
この時期、処刑に係る末端権限の設定は曖昧。「生殺与奪権」は、ぐちゃぐちゃ。
各藩、各派閥ごとに見解がばらばら。力関係。力がある者を取り込めば、断行できる。

若いながらも、気骨なら人一倍の「武川信臣」。
薩長の手口の汚さを痛烈に非難した。
「御維新とやら、皇国の君をのたまうは、口先ばかりではないか！」

この時期、不敬罪という言語はまだ存在していないが、薩長の非難を「君の冒涜」に、
置換すれば、忽ち、処刑理由は、充分事足りる。そして、・・・