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カテゴリ：戦国から江戸初・中期人物談話

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茶の湯と戦国侍＿No.7

織田信長と「松永弾正久秀と平蜘蛛」,その壮絶終焉＿その1

茶器と、織田信長＆周辺人物の逸話＿戦国時代の人における「茶釜」のステータス価値
■茶人の素顔と裏の顔＆その壮絶終焉【織田信長,柴田勝家,松永弾正久秀,滝川一益,秋月種実,千利休】
■史実に登場する有名なプレミア茶器と茶釜【平蜘蛛,姥口,九十九髪茄子,珠光小茄子,楢柴の肩衝】

はじめから読む： No.1 ＜前頁から読む： No.6

名茶釜「平蜘蛛」の実話

この名茶釜「平蜘蛛」の最期の持ち主は、松永久秀。歴史資料表記は、主に松永弾正。
さて、この「平蜘蛛」ですが、そのラストは、持ち主「松永弾正」に殉死？した形であります。
誰にも惜しまれる幻の名茶釜は、天正5年（1577）10月10日、生駒の空に飛び去って消えた！！

松永弾正久秀とは侍ですが、千利休の師匠の弟子。即ち、茶の湯世界でいえば、千利休と同格。
利休を呼ぶのに、「先生」と言わない。「おい、利休君！」と言ったかどうかは知りませんが、
いわば同格、同級生。即ち、彼は茶の湯、ウルトラ達人。

今日の感覚でいえば、「あっ！そう、お茶の先生か！」かもしれませんが、前述延々（ No.1 ~No.4）
のとおり、当時における茶の湯達人とは、並大抵の頭脳ではありません。凄い男！最先端の男と
言っても過言ではない。茶の湯達人の頭脳は、世界情報豊富に留まらず、サイエンス男！でもありました。

その男、松永弾正久秀のラストは壮絶！恰も、活火山大噴火のごとく！城もろとも大爆発！！
それは、自ら、大量の火薬を仕掛け、爆烈死！を実現したのだった。

ラストに彼が篭った城は「信貴城」。この城は、奈良県生駒郡平群町にあった。
彼は当時の中、サイエンスのスペシャリスト。当然、火薬知識も並じゃない。いわばプロ。
そのプロ自ら仕掛けた発破だから凄い。

それはさておき、この人物、「織田信長」に対する憎悪は半端じゃない。
己のラストに猛烈な執念を示しています。

「誰が、この名茶釜「平蜘蛛」を、
あの織田信長なんぞにくれてやるものか！ざまあみろ！」

・・・男は嘲笑いながら死んでいった。途端に大轟音！！
大和の国生駒の山々が、赤く燃え盛る。
「平蜘蛛」は、生駒の空高く、天上の彼方。
時は、天正5年（1577）10月10日のことであった。

現世＿平蜘蛛
（美術工芸品：現代のアーティスト作品）

「織田信長」が欲しくて、欲しくて、長年、足掻き続けた
「平蜘蛛」を永久に奪い去り、
哂いながら死んでいった男の執念。

「鬼さん、こちら！手の鳴るほうへ。
欲しけりゃ、冥土へ追って来るが良い！
お互い、冥土なのやら、地獄なのやら、
そりゃ知らんがのう！」

今回特集では、男の執念と、それに至る経緯を
ご案内いたします。

終焉に「壮烈爆烈死！」を飾って果てたサイエンス男

突如、大轟音。大地が炸裂。

「これは、もしや、地上、最期の時到来か？！」
「天上の神々の怒りか！」・・人々は震撼した。

夜空が赤々と燃え盛る。
大和の国、生駒の空は、めらめらと燃える。
方角は、本来、そこには、「信貴城」が聳え立っているはず。
★ところが、影も形も無い！！
ただ、ただ、周囲一面、山々が赤く燃える。

すると、一人の男が、金縛り状態で、呟いた。
「わ、わしゃ、見てもうた！
飛んだ！飛んだんじゃ！ほんまじゃ！
城が天に吹き飛ばされよった！」

語るなり、この男は
気を失い、卒倒していた。

発破！爆裂死！・・いうなれば古流ダイナマイト男！

信貴城もろとも、木っ端微塵。宙高く舞いがる！！

それは天まで届くか！の勢いだったと伝わる。
松永弾正久秀が、己の終焉に自ら仕掛けた発破。壮烈な爆烈死！の有様だった。

古来より、落城と炎はつきもの。ワンセット。その為、城が、じわじわと焼け焦げて落ちる姿なれば、
民は、多少、震えることはあれど、仰天はしない。
ところが、これは、爆破＆自爆自殺という点、日本史上、おそらく最古。

「わ、わしゃ、見てもうた！飛んだ！飛んだんじゃ！ほんまじゃ！
城が天に吹き飛ばされよった！」 ・・そう語るなり民が卒倒したのも無理はない。

彼らの時代、それまで、そんな光景は見た事あるわけないから。
唯一類似事象といえば、火山爆発であろう。巨大な城が瞬時、木っ端微塵、天高く吹き飛ぶ光景は、
目撃者にとって、発狂寸前に至るも仕方ない。

用意周到、彼の死に際「鎖で繋いだ平蜘蛛」