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カテゴリ：幕末WITH_LOVE

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余市のりんご哀歌。会津藩の軌跡＿No.2

■1_車窓から羊蹄山の麓、そして余市（開拓時代を偲んで一人旅
■2（現在頁の▼下段枠）_余市のりんご哀歌：会津藩佐藤駒之進：白虎隊犠牲の責務を背負って開墾と林檎栽培

倶知安、小樽間ローカル体験＿その続き

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途中、○○駅に着いた。

（スミマセン。○○駅にしておきます。
「林、林、林」なんて失礼ね！と怒られるかもしれないから！許してね！）

倶知安から乗ってきた高校生が一人、ぽつんと降りた。
どんな街かな？・・・・全然、全然、全然、全然、なんにも見えない。
ちっちゃくて可愛い無人の駅舎しか、なんも見えない！
駅が高いところにある。町は多分、坂下りて行くんだろな。通過したら、後方に見えるさ。
発車した。後方見た。またしても林、林、林。・・・ついになんも見えなかった。

やっとこすっとこ、林軍団が切れた！平野が広がった。

果樹園の樹木が緑の中に、一杯。
お～っ！お～～～っ！美しい！なんちゅうか、この開放感。
視界が広がるって、こんなに感動するもんだったんだな。初めて知った。

この安堵感。まさに心のオアシス。
豊かだな。ここは豊かな恵みに満ちた土地だな。
それが、まさに余市の町でありました。

余市の林檎。完熟林檎。
真っ赤に熟れて、真っ赤なぽっぺ。
朝夕の温度差が味方。
糖度が高く、甘さがギュッと封じ込められて！旨さ凝縮！

寒冷地北海道は、林檎の北限が約真ん中位。
札幌近郊もOKだがそれ以上あんまり北へ昇れば、やがて容赦なく北限にガッチンコ。

豊かだなあ。果樹園が広がる。余市はいいとこ。入植も早期。
早期に開けて、農にも成功。この光景は、見ると、とっても豊かだな。
道東、道北では、いくら頑張っても、人の命は大自然の餌食。バタバタ死にまくっている頃、
余市は人里に。羨ましい町だった・・・はず。

しかしながら、この町、実は、戊辰戦争で賊軍、いわばA級戦犯にも等しい存在の
藩、その一つとは、まずは「会津」。徹底抗戦で責め滅ぼされた「会津」。
彼らの悲しみの軌跡が黙って封じ込められている。
もちろん昔の話。今のこの町、悲しみなんて似合わない。余市いいとこ。

昔々、彼らの血と汗と涙とは、ありふれた表現だけど、この場合、まさしく泣けてくる。

余市の町：佐藤駒之進（白虎士中二番隊の半隊頭）：白虎隊犠牲の責務を背負って開墾

余市の林檎哀歌、戊辰の涙、真っ赤な林檎が実を結んだ時

（今回は、暗くならないようにサラッ！と流します。）

戊辰に敗れた会津。余市には、明治2年、早々に入植者が。但し、これは入植というよりも、
戦後処理の結果、斗南送りの宿命を。行く先は津軽の当該地域の他、北海道にも分領地。
多くは津軽。しかし、僅かながら、あえて北海道を選択した者達が居た。

幕末に、会津は幕命で、蝦夷に分領地を与えられていた為、経験＆知識を有している者もいる。
厳しい自然環境、農耕に不向きな独特の土壌と激寒。
蝦夷に出兵させられた者の死亡率は異常に高かった。

それでも、この地を選択した理由は大別2つ。困難なれど、資源の宝庫という点を頭脳に
把握していた者も居るが、その一方で、別の理由の者も居た。
その場合は、戊辰の責を背負い、皆と離れる為に最果ての地へ。

会津といえば、白虎隊の悲劇。少年ばかりの集団自刃は、あまりに悲壮だ。
ところが終戦後も悲壮を引き摺ったのは、この隊を率いていた大人。彼らは、生き地獄。自責地獄。
戦場に子供ばかりを置き去りにするから・・・。いかなる理由があれど・・・。
どっからともなく、背中に無言の「責」が覆いかぶさる。

今日の余市の林檎。それは、なんと、元、白虎士中二番隊の半隊頭の 佐藤駒之進 達の活躍による。
黙して語らず、武士の誇り、刀を捨てて、農に命を架けた男の意地だった。
佐藤駒之進は、明治2年（1869）早々、余市に入った。彼は余市の黒川、山田地区開発を担当。

功労は実った。真っ赤な林檎が実った。
北国ならではの旨さは絶賛された。余市は豊かになった。

初めて真っ赤な林檎が実を結んだ時、彼はどんな気持ちだっただろう。
甘い実を頬張って一口咬んだ時、過去のどの場面が、
心に蘇っただろうか？

サクサク、サクサク、甘い林檎。頬張りながら、涙したことだろう。
少年時代の赤い頬。会津の清らかな山と川。あのせせらぎの音。
・・・
佐藤駒之進よ！そっから先は思い出すなよ。忘れてくれよ。
しょっぱい涙味にならなきゃいいけれど。

絶賛林檎！甘い林檎。
余市を支えた健気な可愛い赤い林檎。

今、佐藤駒之進は静かに、北海道余市町美園の会津墓地に眠る。

会津の黒川、余市の黒川

尚、余市には、 「黒川」 という名の川もあれば、地名もあります。会津の皆さんなら、ピンとくるかもしれませんね。
これは、偶然の一致ではないのです。駒之進達が、明治の世、家宝の刀を、涙堪え抜き取って捨て去り、
唇噛んで、黙って、開墾の鍬を握って・・・。されど、心は遥か・・会津の地。会津の澄み切った空気と野山。
そこで、皆に、恵みを齎す川の名は、黒川に。
堪え続けた男達。彼らが、黙って、この聖なる川を見つめる時の姿。その胸中思うなれば、胸が痛い。

いっそ、忘れたい。記憶から抹殺したい！・・・されど、心は愛してやまぬ我が故郷。
黒川の流れが、清ければ、清い程に、ますます、苦しい。責務の男。

林檎哀歌＿完

■佐藤駒之進：（1836～1913/1/3）：白虎士中二番隊の半隊頭。墓;北海道余市町美園の会津墓地

慶応4（1868）年8/23：戸の口原の戦い後、白虎隊の少年達とはぐれる。
その後の軌跡が一部不明。城に戻らず、どんな行動だったのか混沌。
他にも彼の前歴：1866年（慶応2）の段階は京都。別撰組に籍を置く。
佐藤駒之進＝『池上新太郎（白虎隊士の悲劇の一人）の生母「新子」の弟』

もう一人、「責」を背負った人物▼
■日向内記：(1826（文政9）～1885（明治18）)：白虎隊の隊長。墓;喜多方町小田付の万福寺
・・かつての会津城下に戻らず、喜多方町に暮らし、ここに眠る。

白虎隊について、会津の戊辰について、真下のバナー内に複数あります。
とりあえず、■ このへんにも白虎隊の話、（表示先頁約真ん中までスライドダウン）
■唯一生き延びた飯沼貞吉の晩年・・・まだまだありますが、まずは。

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