箱館戦争の落とし前,家臣の犠牲首,備中松山「板倉勝静」の犠牲親子No.1,高田亘,高田錠之助,異僧籍出身の千葉栄他,参戦散華、乙部剛之進,鳥羽伏見の犠牲切腹熊田恰,幕末戊辰

カテゴリ：幕末,戊辰,箱館戦争

箱館戦争の落とし前,家臣の犠牲首,備中松山「板倉勝静」の犠牲親子No.1,高田亘,高田錠之助,他にも異色の隊士、僧籍出身の千葉栄,参戦散華の犠牲、乙部剛之進,鳥羽伏見で戦犯首謀者を被り犠牲切腹の熊田恰,幕末戊辰

備中松山「板倉勝静」の犠牲親子＆箱館戦争三殿族＿No.1

結局、「犠牲切腹家老」が存在していた！
切腹の家老「高田亘」と、新撰組に編入されていた16歳の少年「高田錠之助」

板倉勝静の犠牲親子について、ここにご案内します。

備中松山の板倉勝静とは、箱館戦争まで家臣を率いて参戦。最後まで薩長の不義を許せず
戦い続けた三人の殿の一人。（三殿：桑名（松平定敬）、唐津（小笠原長行）、備中松山（板倉勝静））
板倉勝静は、鳥羽伏見惨敗の後、謹慎しており、子と一部側近と共に、宇都宮城に幽閉されていた。
ところが、幕軍脱走軍の活躍にて、宇都宮城攻略の渦の中。
結局官軍に奪い返されるが、ひとたび彼らが踏み込んだ際、板倉勝静達は、救い出される。
これが、箱館戦争に雪崩れ込む運命の瞬間と言える。

一般によく言われる「板倉勝静」の犠牲とは、「犠牲切腹の家老：熊田恰」。
これは、確かに酷い話。藩命にて参戦。帰り道は冥土命令。
首謀者になってやることによって、藩主と藩を救え！の運命を突如被る。
不本意なれど、彼は受託。藩と藩主のみならず、他の参戦藩士の存命の旨を念押しの上、
一人罪を担い切腹。この話は、読んで泣かない人は恐らく居まい。

熊田恰 ：文政8（1825）1/20～慶応4（1868）/1/22：名「矩芳」。享年43歳。
熊田恰の犠牲切腹を知った師の山田方谷は、冷々と落涙。「死ぬべきは、寧ろ己だった。」
この山田方谷が箱館戦争に参戦した板倉達の寛大処分嘆願際にも、何かと影で尽力。
処分代行として官軍に実質動かされる藩は岡山。岡山では、学問を山田方谷に教わった
恩を持つ藩。

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しかしながら、これは、鳥羽伏見の参戦に係る罪の後始末。

板倉勝静は、この後、ラストの箱館戦争までのめり込んでしまった身である以上、いかに、
「家老：熊田恰」の首を既に捧げてあると言えど、官軍は、これだけじゃ許さない。
別途、箱館戦争突入に係る「参戦首謀者」の首を、ご新規さらに提出せよ！という事になった。

◆桑名藩の犠牲切腹は「 森常吉 （＝森陳明弥一左衛門）」。
◆唐津の小笠原長行の犠牲首は、判然としないが、小笠原長行の場合は、
他2名【（松平定敬）＋（板倉勝静）】と異なり、永らく潜伏を続け、ダテに自首してない。
裏の段取り進めて「たった今アメリカから帰ってまいりました。」の白々しいシナリオが
完結するまで、断固潜って姿を隠していた。
（この話：江戸で潜伏を続けた小笠原長行と、家臣の連携＆自首シナリオ＆その後について）

ところが、不思議と、板倉勝静に係る 箱館戦争突入に係る「参戦首謀者」 が、一般的に判然としない。
無論、悲観したり、殿を救いたい一心で、涙の切腹老臣は居ることだろうが、
それは、公的罪の贖い＝の官軍様への「提出物」には値しない。

★さて、ここに、どうやら、その答えがあるようだ。

犠牲の「高田」親子の宿命：結局「犠牲切腹」発生！
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板倉勝静の犠牲は、家老の「高田亘」と、箱館新撰組に組み入れられた倅の
「高田錠之助（＝変名：古屋丈之助）」。この親子が、万事罪を被って、事を収めた事になる。
家老の「高田亘」は断家。倅は、不幸中の幸い、未成年であることから謹慎で逃してもらったが、
未来は悲痛。罪の断家の倅。苦悩の明治。

■高田亘（父）： 断家命を受ける後、「切腹」と化す。明治2年1月12日切腹
：この人物は国許勤務でなく、「江戸定府」

高田亘：（殉難士名簿）
明治2年己巳正月12日藩主ノ逆謀謀ヲ輔助シタル責ヲ負ヒ、東京木挽町藩邸ニ於ヒテ、
腹ス尋ヲ反逆首謀者ノ罪ニ疑シテ、断家を命セラル。
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とはいえ、結局答えは「切腹」と化す。明治2年1月12日切腹。
- 上記のとおり、またしても山田方谷が影で尽力したらしく、一旦処罰を「断家」で留めたはずが、
  効果虚しく、人命犠牲発生。

■高田錠之助（変名：古屋丈之助）＝（倅：箱館新撰組平隊士「備中松山藩士達の編入された組」）

古屋丈之助：本名は高田錠之助。：箱館戦争時（1868年）：16歳
上記犠牲「断家」を蒙った高田亘（家老）の倅。嘉永5年（1852）江戸生まれ。
元、御供番。宇都宮城奪い合戦の際、ひとたび幕軍が城に踏み込んだ時に、板倉本人と共に
救い出され、幕軍の一貫として、この後流れは、明治元年（1868）9/20仙台から蝦夷行き乗船
の際、新撰組に組み入れられて蝦夷へ。
【蝦夷新撰組としての彼の軌跡】
第三分隊に所属。5/11時点：寒川の番所→市中に撤退→5/15：弁天台場で降伏。
【降伏後】弘前薬王院謹慎→東京に芝の増上寺最勝院謹慎→旧備中松山藩
→（※真実を初に知る！）→、明治3年（1870）１月に放免。明治3年段階で18歳。
- ＜※真実を初に知った少年、失意の明治：父の切腹＞
  父が罪を背負い、断家の旨は知っていた。しかし、父の切腹については伏せられていた。
  父の高田亘は、明治2年1月12日切腹していた！
  断家の罪を背負った以上、当然、江戸藩邸から母は追放されて、そこには居ない。
失意の高田錠之助は、参戦時は16歳だが、謹慎捕縛されている間に18歳になっている。
助命嘆願が出ていた為、幸い命は取り留めているが、泥沼の明治。
しかし、彼は、箱館で仮に名乗った偽名「古屋丈之助」の名を、意地でも貫く。
無論、断家である以上、二度と高田姓は名乗れない身ながら、便宜上なれば、名を変えるか、
養子縁組の衣で明治に忍び生きる手段はあるはずながら、この「古屋丈之助」を貫いたには、
きっと何か深い訳があることだろう。

◆他にも運命の竜巻＿戦闘に巻き込まれた若い僧

■ 千葉栄 ：弘化3年（1846）箱館の大野村生まれ。24歳のお坊さん。

（変わった坊さん！？じゃなくて、何か訳がありそう：東本願寺がキーワード）

千葉栄とは、箱館にて地元採用されて、板倉の家来軍団に加わり、なりゆき箱館新撰組の一人
になった「異色の存在」隊士。しかも、彼の職業は「お坊さん！」。24歳の若いお坊さん。
非常に珍しいパターン。彼は東本願寺派の僧侶。

この人物は、歴代僧籍か否か詳細不明。縁者は箱館谷地頭で料理屋を営む「佐吉」という。
この料理屋は、板倉勝静の寄宿舎として使われていた。
どうしたものか、或る日、この若い坊さんが、佐吉の紹介で、板倉の目の前に出現。
彼は、なんと、板倉に入隊を懇願。

驚いた板倉は、必死で「やめとけ！」と説得するが、本人の意思は硬い。志の強さに、板倉が、
折れて、明治元年（1868）9月20日付にて、入隊を許可したと伝わる。入隊して千葉栄と名乗る。
この人物は、最後まで戦った一人。第三分隊に所属しており、明治2年（1869）5月15日に於ける
「弁天台場集団降伏組」の一人。入院の軌跡があることから、怪我か病気が絡むようだが、
その後の軌跡は、皆と同じく、弘前の薬王院に謹慎。そこから、東京の最勝院謹慎。
これは、典型的備中松山藩チームと同じコースを歩む。永らく謹慎抑留ながら、
明治3（1870）年1月、皆と同時に放免。

＜不幸中の幸い＞
◆新撰組として、備中松山追従型家来の一人として扱われた事が、この人物にとって不幸中の幸い。
謹慎は長いし、生まれ育った蝦夷と異なる異境に送り込まれたわけだが、官軍の終戦処刑処理には、
賊分類があり、外賊と内賊がある。後者の場合、蝦夷地元の裁判にて処分される為、処刑が
かなり感情的で、「地元の裏切り者」として獄刑が実際発生している。可愛そうに僅か14歳が斬首
された程だ。もしも、彼が「内賊」として地元に残されていれば、最悪！
恐らく斬首どころか、「引き回し＋胴斬＋斬首＋曝し首」のフルコースだったことだろう。
松前江差方面で捕縛された地元採用の者に係る処刑は熾烈を極めた。
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（◆ 箱館戦後処理の様子一望表、◆ 檜山方面戦後処理様子と高松凌雲の激怒）

＜入隊懇願の謎・・・蝦夷の各寺と徳川のご恩＞