2014年05月11日
冷凍・解凍・再冷凍まで:食品の解凍にまつわる完全ガイド
食べ物は、冷凍することでかんたんに保存ができます。でも、それを解凍するのは意外と大変。そこで、凍らせた食べ物を解凍するための最適かつ最速な方法をお伝えします。
解凍の話に入る前に、ベストな冷凍の方法を知っておく必要があります。そもそも冷凍方法が間違っていると、解凍プロセスが一貫せず、さらに細菌発生の可能性も高まります。料理情報サイト「The Kitchn」に、冷凍した肉を3カ月持たせる方法が載っていました。
肉を冷凍庫に入れるときに何よりも重要なのは、空気に触れさせないこと。ラップやフリーザーペーパーを使って、肉の表面に沿うように押さえながらきつめに包みましょう。その上からアルミホイルを巻くか、ジップで封ができるタイプのフリーザーバッグに入れます。このようにパックすることで、肉は3カ月以上冷凍庫で保存できるのです。
では、ここから本題。冷凍した肉を、味を損なわずに解凍する方法を学びましょう。
室温を避ける
解凍における第1のルールは、室温に置かないこと。冷凍した食べ物を長時間カウンターに置いておくことは、トラブルを呼び込んでいるようなもの。でも、多くの人が犯しているミスでもあります。
細菌が繁殖する「危険温度帯」は5〜60℃。20〜22℃のいわゆる「室温」は、そのど真ん中に位置します。室温に2時間も置いておけば解凍されるのは間違いありませんが、同時にバクテリアが繁殖しやすい環境でもあるのです。特に、肉片内部の温度が上がるまでの間、表面は何時間も室温にさらされるため危険が高まります。
調理するときに完全に火を通せば、大腸菌などの細菌は死滅する可能性が高まります。とはいえ、安全を考えるなら、室温での解凍は避けるべきです。では、どうしたらいいのでしょう?
昔ながらの方法:冷蔵庫に入れる
対象:肉、フルーツ、一部の野菜、冷凍食品
いちばん一般的かつ安全な解凍テクがこれ。冷凍庫から解凍したい食品を出して、冷蔵庫に入れます。ほかのプロセスよりも時間はかかりますが、冷蔵庫内の冷たい環境が維持されれるため、細菌の繁殖を防ぐことができます。
もう1つのメリットは、冷蔵庫の温度が制御されていること。つまり、解凍プロセスの一貫性が保たれるのです。庫内の温度が5℃以下であることを必ず確認してください。もちろん、5℃に近ければ近いほど解凍スピードが速まりますが、2〜5℃の間がベストです。また、USDA(米国農務省)によれば、冷凍庫から冷蔵庫に移して解凍することで、解凍した食べ物をより安全かつより長期的に保存でき、再冷凍の可能性も残されるそう。
冷蔵庫で解凍すれば、ひき肉、シチュー肉、鶏肉、シーフードなどの食品を、安全かつ高品質な状態で1〜2日長く保存できます。赤肉をカットしたもの(牛肉、豚肉、ラムのロースト、チョップ、ステーキ)なら3〜5日大丈夫です。冷蔵庫で解凍した食品は、多少の品質低下はあるものの、調理せずに再冷凍することができます。
あいにく冷蔵庫での解凍には時間がかかります。大きさによって、8時間から24時間は必要になることも。でも、誰もがそんなに前から献立を決めているわけではありませんよね。
速くて劣化の少ない:水浴
対象:肉、フルーツ
すぐに解凍して料理をしたいときには、水浴による解凍がおすすめです。ただし、冷蔵庫のように「ただ入れておしまい」ではなく、多少の注意を払う必要があります。
まず、解凍したい食べ物をビニール袋などで密封します。水が中に入らないように気をつけてください。すでに何らかの袋に入っている場合でも、念には念を入れて、ジップロックなどに入れましょう。水に直接浸すので、後悔しないためにも気をつけてください。
解凍したい食べ物に合った大きさのボウルを用意して、水道水を入れます。ここに、密封した食べ物を浸してください。水が室温程度になったら交換します。平均30分程度ですが、気候によって大きく変わるので、注意が必要です。
それが面倒なら、流水解凍という方法もありますが、多くの水が必要です。
食品の大きさと性質にもよりますが、だいたい1時間もすれば解凍できるでしょう。七面鳥1羽のような大きいものだと3時間ぐらいかかるかもしれません。
UDAによると、水浴で解凍した食べ物は、必ず調理しなければならないそうです。再冷凍はできません。
薄切りの場合の最終手段:温浴
対象:肉、フルーツ
肉をできるだけ速く解凍したいなら、温浴がベスト。60℃のお湯が理想的です。この方法の有効性は、USDAがビーフステーキで、またユタ州立大学が鶏の胸肉で証明しています。
ただし、温浴は薄く切った食べ物に限ります。大きなローストや1羽の七面鳥などは、やはり冷蔵庫で解凍してください。
上記2つの実験では、ビーフは40℃のお湯で11分、鶏肉は60℃のお湯で8.5分で解凍されました。どちらも、冷蔵庫での解凍よりも解凍時間が短くなっただけでなく、試食による味の違いが認められなかったそうです。
でも、ちょっと待って。この手法は、結果がばらつくため、誰にでも適しているわけではないと、New York Timesに書かれていました。
急速解凍は、家庭でもかんたんにできる方法です。でも、湯温を一定に保つ自動循環装置でもない限り、実験室と同じ時間で解凍されるとは限りません。お湯の動きがなければ、食べ物の周りに冷たい領域ができて、温かいお湯と食べ物が触れ合うことができません。その上、お湯を足すかバーナーで加熱しない限り、湯温がどんどん低下してしまうのです。
お湯を循環させるためには、たまにかき混ぜればOK。または、お湯をずっと注ぎ続けても構いません。もちろん、水浴と同じように再冷凍はできませんので、解凍後は調理が必要です。
すぐに調理する場合:電子レンジで解凍
対象:肉、フルーツ、一部の野菜、冷凍食品
電子レンジでの解凍は、すぐに調理をする場合を除いておすすめしません。たいていの場合、解凍以外にも食事の準備はあるはずなので、水浴の30分ぐらいは時間が取れると思います。それでもすぐに解凍が必要だというときには、電子レンジの解凍モードを使用しましょう。
ここで覚えておくべきことがいくつかあります。電子レンジによる解凍の最大の問題は、ホットスポットの存在により加熱が一様でないことと、その結果、部分的に火が通ってしまうことにあります。ですから、解凍が済んだら、すぐに調理をしなければなりません。
もちろん、電子レンジで解凍する場合、プラスチックをすべて取り外し、電子レンジ対応の容器に入れる必要があります。USDAによると、電子レンジで解凍した肉には手で触れない方がいいそうです。
部分的に火が通った食べ物は、細菌がまだ生きているばかりか、場所によっては細菌の繁殖に最適な温度になっていることがあるため、触らないようにしてください。
温浴と同様、大きい肉よりも薄いスライスの方が向いています。大きい肉を電子レンジで解凍する必要がある場合、背面に書いてあるメーカーの指示に従ってください。
解凍時間の短縮に:酢をかける
対象:肉
酢をかけるという方法です。この方法には、2つのメリットがあります。それは、解凍時間の短縮と、肉をやわらかくする効果。酢は凍結温度を下げるだけでなく、結合組織を破壊する働きもします。必要に応じて、あとで流し落とすこともできます。
ゆでる:野菜は解凍せずに調理する
対象:全野菜
これまで聞いてきたことと違うかもしれませんが、野菜の解凍は必要ありません。沸騰したお湯に直接入れてしまった方がいいでしょう。野菜は通常、収穫された直後に急速冷凍されるため、栄養素のほとんどが残されています。解凍するとその栄養素が抜けてしまうことも。米国家庭食品保存センター(NCHFP)が、部分的に解凍すべき例外を挙げています。
冷凍した野菜のほとんどは、解凍せずに調理できます。芯のままのトウモロコシは、粒が調理されるまでに芯が温まるように、部分解凍が必要です。解凍後または調理後のコーンを放置しておくと、水浸しになってしまいます。カブラ菜やホウレンソウなどの葉物野菜は、部分解凍してから調理すると、均等に火が通りやすくなります。
調理方法は何でも構いません。NCHFPのおすすめは、沸騰したお湯に直接入れる方法。500mlのパッケージに対して120mlのお湯が最適なんだそう。一方The Kitchnは、冷凍野菜をゆでるとベタベタしてしまうため、水を野菜の3分の1まで入れて電子レンジで加熱する方法をすすめています。
いずれの方法でも、冷凍野菜から水が大量に出るので、加える水の量には注意が必要です。これを考慮しないと、すぐにドロドロになってしまいますよ。
解凍した食べ物は再冷凍できるの?
冷蔵庫で解凍した場合を除き、そのまま再冷凍することは避けてください。もちろん、火を通してからの冷凍は可能です。
解凍を始めてから、やっぱりその食べ物はいらなかったと気づくこともあるでしょう。そんなとき、完全に解凍されているかどうかを判断するにはどうしたらいいのでしょう。ベストな方法は、料理用温度計で5℃を超えていないかチェックすること。5℃未満であれば、冷凍庫に戻しても問題ありません。5℃を超えていたら、戻さずに調理してください。