2014年09月01日
覚えておきたい和食と洋食のマナーの違い
かしこまった席でのマナーには自信がないという人でも、なんとなく和食マナーは身についているのではないでしょうか。しかし、和食と洋食のマナーでは大きく異なる点も多いため、洋食の席に和食マナーを持ち込んでしまい、恥をかくケースも珍しくはありません。
今回は覚えておきたい和食と洋食のマナーの違いをご紹介したいと思います。
■1:西洋の食法やテーブルマナーは「危害防止」「社交性」の側面を持つ
「狩猟生活を基盤とした歴史を持つ西洋では、食法やテーブルマナーは『危害防止』や『社交性』という側面を有しています。一方、農耕文化を確立させた日本では、食法やマナーはどちらかと言えば『機能性』や『美』を追究しています。これは、具体的なマナーの違いに表れていますので、基本として覚えておくと良いでしょう」
■2:ナイフの刃先は手前に向ける
「洋食ではナイフを使用します。ナイフには刃がありますね。このナイフの刃先を相手へ向けることは挑発を意味し、とても失礼な行為。食事の途中でナイフを置くなら、刃を手前に向けて、皿の上部に真横に置きます。和食ではナイフを使用する機会がありませんので、ナイフの扱い方には特に注意するべきでしょう」
■3:和室と洋室の上座の違い
「誰かのご自宅へ上がって、食事をご馳走になる場合もあると思います。そこで、和室と洋室の上座について理解しておきましょう。
和室の場合、床の間に一番近い席が上座とされます。しかし、洋室には床の間はありませんね。洋室では、暖炉に最も近い席が上座です。ただ、暖炉がない部屋も多いため、その場合は出入り口から最も遠い席が上座と考えてください」
■4:フレンチレストランでは、案内係が最初に椅子を引いてくれた席が上座
「フレンチレストランなどでは、案内係が椅子を引いてくれます。基本的に畳に直接座る和食の席とは、勝手が違いますね。フレンチレストランの場合、案内係が最初に椅子を引いた席が上座となります。案内係がいない店なら、壁を背にした席が上座とされます」
■5:洋食マナーではレディファーストが基本
「和食・洋食、それぞれに上座と下座があります。それでは、この上座には、誰が座るのか。ここにも、洋食と和食の違いがあります。
まず和食の場合には、上座に座るのはメンバーの中で最も立場が上の人。社長と女性秘書が和食を食べに行ったなら、上座に座るのは社長ですね。しかし、洋食の場合はレディファーストが基本。上座に座るのは、社長ではなく女性秘書となります」
■6:洋食では極力音を立てない
「日本食では、そばやうどんのようにすすって食べる麺類があります。そのため、比較的食べるときに音を立てることに対して、無頓着な人が多いのでは? しかし、洋食では極力音を立てずに食べるのがマナー。特にスープは、すすって音を立てないように注意してください。
ちなみに、スープ皿の横から中央に向かってスプーンを運んですくうのはフランス式。手前から奧へ向かってすくうのはイギリス式です」
■7:スープは多少残っていてもOK
「一粒の米まで大切にする日本の『MOTTAINAI文化』。世界にも認められている日本人の美徳ですが、洋食の場合には少し考え方が異なります。スープをスプーンですくって食べていると、最後の方が食べにくくなりますね。
実は、この段階で食べ終わってOK。無理をして、最後の一滴まですくおうとする必要はありません。これは、サラダの場合も同じ」
■8:ワイングラスは置いたまま
「日本の宴会ではビールを注いでもらうとき、受ける人がグラスを持ち上げているシーンをよく見かけますね。しかし、洋食でワインを飲む場合、ワイングラスはテーブルに置いたまま注いでもらうのがマナー。テイスティングのあと、ソムリエがワインを注いでくれますが、うっかりワイングラスを持ち上げないように注意しましょう」
■9:洋食レストランではたくさんのグラスを使い分ける
「フレンチレストランなどへはじめて行ったとき、グラスの多さに驚く人も多いようです。グラスのセッティングにはイギリス式とフランス式があり、イギリス式の場合はグラスを真横にセット、フランス式では斜めにセットされます。
順序は左からゴブレットグラス(水が注がれる)、赤ワイン用、白ワイン用、シャンパングラスと並べるのか一般的ですが、フランス式では店舗によって順序が異なる場合があります。わからなければ、店員にたずねてみると良いでしょう」
■10:ナプキンをきちんとたたむのはNG
「日本では、割り箸を使用したあと箸袋に入れる習慣がありますね。このとき、箸袋の端を少し折ります。これは『使用済みですよ』という合図です。
一方の洋食では、これと同じ理屈で使用済みのナプキンは、きちんとたたまないことがマナー。軽くたたむ程度でOKです」
知らなかった! というマナーが一つでもあった人は、今後のためにぜひ覚えておいてくださいね。きちんとマナーを身につけておけば、急にかしこまった席へ招待されても安心。スマートな印象を周囲に与えることができるでしょう。