ウルトラQ dark fantasy 第19話「レンズ越しの初恋」 酷評が占める中、この作品だけは評価が高い。藤子・F・不二雄の短編作品風。オチが読めるが王道だけに許せてしまう。出演者はたった6人だけ。エキストラなしの超低予算。その分、セットや小道具に製作費を回したのか?涼の後輩・忠はカメラマンを目指しているが、実家で父親と祖母との三人暮らし。祖母は体が悪く忠に自分の遺影を撮ってもらいたいと思っているが、忠は乗り気ではない。父親からは稼業の写真屋を継ぐように言われている。ある日、押し入れから戦前の古いカメラを見つける。やはりカメラマンだった祖父が愛用していたものだ。早速そのカメラを使って撮影してみることに。するとレンズ越しにもんぺ姿の少女が映っていた。肉眼では見えないが親しげに語りかけてくる。しかも「今は戦時中」だと話す。少女は忠のことを忠の祖父・重雄だと思っているらしい。忠はそのことを否定せず少女の話に付き合う。少女と重雄は戦争が終われば結婚を約束しているらしい。しかし祖父は現在の祖母と結婚している。少女とは結ばれなかったのか。祖父の遺品を整理するとラバウルでの日記や昔のアルバムが見つかる。アルバムには少女の写真が残されていた。そんなこんなで父親は忠がカメラマンになることを認めるが、その代わりに初仕事として祖母の遺影を撮るように言う。父親の初仕事は祖父・重雄の遺影の撮影だったのだ。そんなこんなで二日後に東京大空襲が迫っていることに気づく。忠は少女に東京以外の場所へ避難するよう説得するが少女には何のことかピンと来ない。忠は涼と共に渡来教授に相談。渡来教授はタイムパラドクスの危険性を指摘する。すなわち少女が助かり、祖父・重雄と結ばれた場合、忠や忠の父親はこの世に存在しなくなるという。忠は少女に避難を勧める以外、何もできないこと、一方で、少女が助かった場合、自分の存在が消滅してしまうかもしれないことに苦悩する。そして当日を迎える。忠は消えなかった。少女は空襲で亡くなってしまったらしい。忠はレンズ越しに少女と逢っていた神社へ。そこに祖母がよろよろと姿を現す。少女と重雄は助かった時、この場で会うことを約束していたのだ。忠は祖母こそが少女であることに気づき、レンズ越しの少女を抱きしめる。この時、過去と現実が交差し、少女は祖母の姿になる。「貴方にとって一枚の写真も誰かの運命を変えているのかもしれません。しかし、こうしたお話・・・たまんないですよね。大好きなんですよねえ」(ナレーション・佐野史郎)。お・わ・り。