2016年01月27日
粘り気の少ない「納豆」があるって本当?
昨今、国内消費量が縮小傾向にあるという納豆。そこで、外国人ウケする納豆を開発し、海外へ売りこもうと考えた茨城県の工業技術センターと納豆メーカーは、「糸引きの少ない納豆」を開発。大きな反響を呼んでいるという。
従来品の納豆に比べ、「粘り成分」や「かき混ぜた時の抵抗」を減少させた「糸引きの少ない納豆」だが、栄養分は従来品と同等なうえ、臭いも控えめで苦手なひとには魅力的。ただし従来の納豆も、保存状態や雑菌混入などが原因で、粘りが減少することがあるので、ニセモノがと見分けがつくように違いを知っておこう。
■「糸引きの少ない納豆」は、ナゼ粘らない?
栄養価が高く、日本の食卓の定番だったはずの「納豆」。だが、国内における消費量は、人口減少に伴い縮小傾向にあるという。そこで打開策を見出そうと、茨城県の工業技術センターと納豆メーカー7社は、外国人/納豆が苦手な人向けに「糸引きの少ない納豆」を開発し、特許を取得。まずは、チーズなどの発酵食品が食生活に根付くフランスや北欧への出荷を2015年7月よりスタートさせ、今後は北米や南米にも展開していく勢いだ。
そもそも納豆は、どうして「糸」を引くのか?
粘りの主成分は、「ガンマ・ポリグルタミン酸」というアミノ酸の集合体。糸を引かない納豆はこのガンマ・ポリグルタミン酸の生成能力が低い納豆菌から生み出され、
・ガンマ・ポリグルタミン酸 … 約25%減
・かき混ぜるときの「はし」にかかる抵抗 … 65%以上減
に成功したのだ。
箸でつまむと、ぽろぽろこぼれ落ちるほど粘りが少なく、納豆特有の臭いも控えめ。それでもビタミンKなどの栄養は従来品と同等というから、苦手なひとには魅力的。加熱調理もしやすいので、外国人はもちろん、苦手なひとや子ども向けにアレンジメニューも楽しめそうだ。
■傷んでも「粘らない」のでご用心!
従来品の納豆でも、腐敗や雑菌感染により粘りが少なくなる場合がある。
・冷蔵庫での長期保存
・15℃以上で長時間経過
すると発酵が進みすぎ、糸を引かなくなってしまうのだ。
また、納豆菌が雑菌(納豆菌ファージ)に感染すると、ガンマ・ポリグルタミン酸が分解され、やはり粘りが弱くなる。「傷み」が原因で糸を引かないものもあるので要注意だ。
傷んだ納豆は、
・腐敗 … 水っぽく、色は白味を帯びて、酢を混ぜたようなアンモニア臭がする
・雑菌感染 … 見ためは変わらないが、食べようとするとまったく糸を引かない
などが特徴なので、気になるひとは食べないほうが良いだろう。
■まとめ
・外国人向けに「糸引きの少ない納豆」が開発された
・粘りのもとであるガンマ・ポリグルタミン酸が少ないが、栄養は従来通り
・発酵食品の文化が根付くフランスや北欧で大きな反響アリ
・腐敗や雑菌感染でも粘りが少なくなるのでご用心
美食家でもあった芸術家・北大路魯山人は、「納豆は424回かき混ぜると粘りが減り、究極に旨い」と記し、「おもちゃ」のカテゴリながらも再現する装置も販売されている。
「粘らない納豆」をひとまず試してみたいひとは、根気よくかき混ぜてみよう。