【 躯体工事 】
( 1 )
鉄筋のかぶり厚さに関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和3年前期_No.19)
1.設計かぶり厚さは、最小かぶり厚さに施工精度に応じた割増しを加えたものである。
2.かぶり厚さの確保には、火災時に鉄筋の強度低下を防止するなどの目的がある。
3.外壁の目地部分のかぶり厚さは、目地底から確保する。
4.屋内の耐力壁は、耐久性上有効な仕上げがある場合とない場合では、最小かぶり厚さが異なる。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
かぶり厚さとは、コンクリート表面から鉄筋までの距離をいう。 設計かぶり厚さとは、最小かぶり厚さに施工精度に応じた割増しを加えたものをいう。
2.◯
かぶり厚さの確保には、 火災時の熱による 鉄筋の強度低下を防止するなどの目的がある。
3.◯
外壁の目地部分のかぶり厚さは、 目地底からの距離確保する。
4.×
屋内耐力壁の仕上げがある場合とない場合の 最小かぶり厚さの規定値は、 30mmであるので 同じである。屋外側の最小かぶり厚さは、屋内側の最小かぶり厚さ + 10mmであるが、耐久性上有効な仕上げがある場合には、−10mmとする(屋内側の最小かぶり厚さと同じ)ことができる。但し、品確法の劣化対策等級を取得する場合は、減じることができない。
*耐久性上有効な仕上げとは、タイル張り(セメントモルタルによるあと張り)、10mm以上のモルタル塗り、10mm以上のモルタル塗り
( 2 )
鉄筋の継手及び定着に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和2年後期_No.20)
1.耐圧スラブが付く基礎梁主筋の継手の位置は、上端筋、下端筋ともスパンの中央部とする。
2.一般階の大梁の下端筋を柱内に折り曲げて定着する場合は、原則として曲げ上げる。
3.鉄筋の重ね継手の長さは、コンクリートの設計基準強度の相違により異なる場合がある。
4.フック付き定着とする場合の定着の長さは、定着起点からフックの折曲げ開始点までの距離とする。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
鉄筋の継手は、部材に生じる曲げ応力の圧縮側に設ける。したがって、下からの地盤反力を受ける基礎梁主筋の継手の位置は、 上端筋はスパンの両眼部、下端筋はスパンの中央部とする。
2.◯
一般階の大梁の下端筋を柱内に折り曲げて定着する場合は、原則として 曲げ上げとする。
3.◯
鉄筋の重ね継手の長さは、コンクリートの 設計基準強度の違いにより異なる場合がある。(公共建築工事標準仕様書)
4.◯
フック付き定着とする場合の定着の長さは、 定着起点からフックの折曲げ開始点までの距離とし、フックの折曲げ開始点から末端までの長さは含まない。
( 3 )
異形鉄筋の加工に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和元年後期_No.20)
1.鉄筋の加工寸法の表示及び計測は、突当て長さ(外側寸法)を用いて行う。
2.鉄筋の種類と径が同じ帯筋とあばら筋は、折曲げ内法直径の最小値は同じである。
3.壁の開口部補強筋の末端部には、フックを付けなければならない。
4.鉄筋の折曲げ加工は、常温で行う。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄筋の加工寸法の表示及び計測は、次の図のように 突当て長さ(外側寸法)を用いる。
2.◯
折曲げ内法直径の最小値は、鉄筋の種類と径が同じならば、 帯筋とあばら筋で同じである。(公共建築工事標準仕様書 建築工事編5章鉄筋工事)
3.×
建築基準法施行令第73条第1項につぎのように規定されている。「鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、コンクリートから抜け出ないように定着しなければならない。ただし、次の各号に掲げる部分 以外の部分に使用する異形鉄筋にあっては、その 末端を折り曲げないことができる。
一 柱及びはり(基礎ばりを除く。)の出すみ部分
二 煙突 」
壁の開口部補強筋の末端部は、フックを付けなければならないものに該当しない。
4.◯
鉄筋の折曲げ加工は、 常温で加工(冷間加工)して組み立てる。
( 4 )
鉄筋のかぶり厚さに関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和元年前期_No.19)
1. 大梁の最小かぶり厚さは、梁主筋の外側表面から確保する。
2. D 29 以上の梁主筋のかぶり厚さは、主筋の呼び名に用いた数値の 1.5 倍以上とする。
3. 直接土に接する梁と布基礎の立上り部のかぶり厚さは、ともに 40mm 以上とする。
4. 杭基礎におけるベース筋の最小かぶり厚さは、杭頭から確保する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
大梁の最小かぶり厚さは、 あばら(スターラップ)筋の外側表面から確保する。
2.◯
D 29 以上の柱及び梁主筋のかぶり厚さは、主筋の呼び名に用いた数値の 1.5 倍以上とする。
3.◯
建築基準法施行令第79条第1項に次のように規定されている。「鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあっては 2cm以上、耐力壁、柱又ははりにあっては 3cm以上、直接土に接する壁、柱、床若しくは はりと 布基礎の立上り部分にあっては 4cm以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあっては捨てコンクリートの部分を除いて 6cm以上としなければならない。」
したがって、直接土に接する梁と布基礎の立上り部のかぶり厚さは、ともに 40mm以上とする。
JASS5では鉄筋の施工誤差を考慮して、上記数値に +10mmとした値を設計かぶり厚さとして規定されている。
4.◯
前項の同法施行令第79条第1項のとおり、「基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあっては 捨てコンクリートを除いて6cm以上としなければならない。」したがって、杭基礎におけるバース筋の最小かぶり厚さは、 杭頭(杭天端)からの距離を確保する。
( 5 )
鉄筋のかぶり厚さに関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(平成30年後期_No.19)
1. かぶり厚さの確保には、火災時に鉄筋の強度低下を防止するなどの目的がある。
2. 外壁の目地部分のかぶり厚さは、目地底から確保する。
3. 設計かぶり厚さは、最小かぶり厚さに施工精度に応じた割増しを加えたものである。
4. 柱の最小かぶり厚さは、柱主筋の外側表面から確保する。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
かぶり厚さが小さいと、火災時に鉄筋の構造耐力が低下したり、過大なたわみや変形を生じたりするほか、地震時に鉄筋のコンクリートに対する付着性能が低下し、付着割裂破壊等の脆弱破壊を生じたりする。また、コンクリートの中性化がかぶり厚さ以上に進行すると、酸素と水分の作用によって鉄筋が腐食されやすくなる。それらのことを防止することが目的である。
2.◯
外壁の目地部分のかぶり厚さは、目地底から確保する。
3.◯
設計かぶり厚さは、最小かぶり厚さに施工精度に応じた割増しを加えたものである。JASS5では、最小かぶり厚さ + 10mmとなっている。
4.×
柱の最小かぶり厚さは、帯筋(フープ筋)の外側確保する。柱主筋の外側表面からでは、帯筋径の分、不足する。
( 6 )
鉄筋の継手及び定着に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(平成30年前期_No.20)
1.耐圧スラブ付きの基礎梁下端筋の継手位置は、スパンの中央部とする。
2.スパイラル筋の柱頭及び柱脚の端部は、40d(dは異形鉄筋の呼び名の数値又は鉄筋径)の定着をとる。
3.フック付き定着とする場合の定着長さは、定着起点からフックの折曲げ開始点までの距離とする。
4.梁主筋を重ね継手とする場合、隣り合う継手の中心位置は、重ね継手長さの約0.5倍ずらすか、1.5倍以上ずらす。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
耐圧スラブ付きの基礎梁下端筋の継手位置は、スパンの中央部とする。
2.×
スパイラル筋の柱頭及び柱脚の端部は、1.5巻以上とし端部は135°フック、余長6d(角形柱はコーナー部)とする。
90°フックの場合は、余長12d(8dではないので注意する。)
3.◯
フック付き定着とする場合の定着長さは、定着起点からフックの折曲げ開始点までの距離とする。
4.◯
梁主筋を重ね継手とする場合、隣り合う継手の中心位置は、重ね継手長さの約0.5倍ずらすか、1.5倍以上ずらす。
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