02節 屋外雨水排水
21.2.1 材 料
(2) 遠心力鉄筋コンクリート管(JIS A 5372推奨仕様C-2)
(ア) JISでは、管の種類を外圧管及び内圧管に区分し、さらに形状によってA形、B形、NB形及びNC形に区分している。
外圧管の種類は、表21.2.1のとおりである。
表21.2.1 暗きょ類 ?T 類の遠心力鉄筋コンクリート管(外圧管)の種類(JIS A 5372 : 2016)
(イ) 「標仕」21.2.1では、外圧管(1種)を用いると規定しているが、これは自然流下の排水では内圧が生じないためである。
(ウ) 管の形状及び寸法は、表21.2.2 (B形のみ)のとおりである。
(エ) ゴム輪
B形、NB形及びNC形の継手に用いるゴム輪は、JIS K 6353(水道用ゴム)の規格に適合したものを用いる。ゴム輪の種類は?W類とする。
(オ) 表 示
暗きょ類には、JIS A 5361(プレキャストコンクリート製品 - 種類、製品の呼び方及び表示の通則)によって、次の事項を表示する。
(a) 種類又はその略号
(b) 製造業社名又はその略号
(c) 製造年月日又はその略号
(d) リサイクル材を用いている場合には、その旨を表示
表21.2.2 管の形状及び寸法(B形)(JIS A 5372 : 2016)
表21.2.3 ゴム輪の品質(JIS K 6353 : 2011)
(3) 硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6741)
(ア) この規格は、一般流体輸送配管に用いる硬質ポリ塩化ビニル管について規定している。ただし、JIS K 6742(水道用硬質ポリ塩化ビニル管)に規定する水道用硬質ポリ塩化ビニル管を除く。
(イ) JISでは、管の種類はVP、VU及びVMの3種類があるが、「標仕」21.2.1 (1)では、VP及びVUを用いると規定している。VP及びVUの呼び径を表21.2.4に示す。
表21.2.4 管の種類及び呼び径(JIS K 6741 : 2016)
(ウ) ゴム輪
ゴム輪は、JIS K 6353の規格に適合したものを用いる。
ゴム輸の品質は、表21.2.5による。
表21.2.5 ゴム輪の品質(JIS K 6353 : 2011)
(エ) 「構内舗装・排水設計基準」に管きょの種類の選定について示されているので参考にするとよい。
(オ) 表 示
管の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないこととされている。
?@ 日本産業規格の番号
?A 種類又はその記号
?B 呼び径
?C 製造年月又はその略号
?D 製造業者名又はその略号
(4) リサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管(JIS K 9797)
(ア) この規格は、外層及び内層は未使用ポリ塩化ビニルを主体とし、中間層に硬質ポリ塩化ビニル管・継手類から作られた再利用ポリ塩化ビニルを主体とした、埋設部で無圧の一般流体輸送配管に用いるリサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管について規定している。
(イ) JISでは、管の種類はRS-VUのみである。RS-VUの呼び径を表21.2.6に示す。
表21.2.6 RS-VUの呼び径(JIS K 9797 : 2006)
(ウ) 表 示
管の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
?@ 種類又は記号
?A 呼び径
?B 製造年月又はその略号
?C 製造業者名又はその略号
(5) 排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手(JIS K 6739)
(ア) この規格は、JIS K 6741に規定するVPを使用する排水配管の接着接合に用いる硬質ポリ塩化ビニル管継手について規定している。
(イ) 硬質ポリ塩化ビニル管継手の形状による種類は、表21.2.7による。
表21.2.7 形状による種類
(ウ) 表 示
(a) 継手の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
?@ 呼び径
?A 製造業者名又はその略号
(b) 継手又は包装の外側に、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
?@ 日本産業規格の番号
?A 種類又はその略号
?B 製造年月又はその略号
(6) 屋外排水設備用硬烈塩化ビニル管継手(塩化ビニル管・継手協会規格)
(ア) 「標仕」では、屋外排水設価用硬質塩化ビニル管継手は、塩化ビニル管・継手協会規格で規格番号はAS 38、種類・記号はVU継手と規定している。
(イ) 硬質塩化ビニル管継手の形状による種類は、表21.2.8による。
表21.2.8 形状による種類
(ウ) 表 示
継手の外側には、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならないとされている。
?@ 継手の略号又はVU
?A 呼び径
?B 製造業者名又はその略号
?C 製造年又はその略号(注)
※(注)ー製品ごと又は一包装ごとに表示するものとする。
(7) 配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)
(ア) 「標仕」の排水工事では規定していないが、雨水排水(「標仕」13章5節[とい])等で使用する排水管用材料として、配管用炭素鋼鋼管がある。種類及び記号は表21.2.7のとおりとし、亜鉛めっきの有無により黒管、白管に区分されているが、「標仕」表13.5.1では白管としている。
表21.2.9 種類の記号及び亜鉛めっきの区分
(JIS G 3452 : 2019)
(イ) 管の寸法は表21.2.10のとおりである。
(ウ) 表 示
検査に合格した管には、管ごとに、次の事項が表示されている。ただし、外径が小さい管の場合又は注文者の要求がある場合は、これを結束して、1束ごとに適切な方法で表示してもよいとされている。また、注文者の承認を得た場合は、その一部を省略することができるとされている。
?@ 種類の記号
?A 製造方法を表す記号
?B 寸法
?C 製造業者名又はその略号
表21.2.10 配管用炭素鎖鋼管の寸法(JIS G 3452 : 2019)
(8) 排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(JPF DF 001:日本金属継手協会規格)
(ア) この規格は、主に使用圧力 0.35MPa以下で鋼管を用いた排水配管の接合に用いる排水用ねじ込み式鋳鉄製管継手(以下「継手」という。)について規定している。
(イ) 継手の種類は、次による。
(a) 材料による種類は、ねずみ鋳鉄製及び可鍛鋳鉄製の2種類とする。
(b) 形状による種類及びその記号は、表21.2.11による。
(c) 表面の状態による種類は、鋳放し、めっき及びコーティングとする。
表21.2.11 形状による種類(JPF DF 001 : 2010)
(ウ) 継手の形状は、表21.2.12による。
表21.2.12 継手端部の形状・寸法(JPF DF 001 : 2010)
(エ) 継手の寸法許容差は、表21.2.13による。
表21.2.13 継手の中心から端面までの距離、及び端面から端面までの距離の許容差
(オ) 継手の材料は、表21.2.14による。
表21.2.14 継手の材科(JPF DF 001 : 2010)
(カ) 製品の表示
(a) 継手には、継手の大きさの呼び、製造業者又はその記号を表示する。Uトラップには、流れ方向を明示する矢印を付ける。
(b) 包装には、次の事項を表示する。
?@ 製品名称、規格番号又は規格名称
?A 種類
?B 継手の大きさの呼び
?C 数量
?D 製造業社名又はその略号
(9) プレキャスト鉄筋コンクリート製品のマンホール側塊(JIS A 5372 推奨仕様 D-1)
(ア) JISにおける側塊の形状及び寸法は、表21.2.15のとおりである。形状及び寸法は、特記によるが、接続する排水路の高さ、雨水の流出量等に注意する。
(イ) 足掛け金物の材料については、「標仕」21.2.2 (6)(オ) で、現場打ちの場合と既製品の場合を規定しており、既製品の場合、マンホール側塊の製造所の仕様によるとしている。
(ウ) 表 示
側塊には、次の事項が表示されている。
?@ 種類又はその略号
?A 製造業者名又はその略号
?B 製造年月日又はその略号
?C リサイクル材を用いている場合には、その旨の表示
表21.2.15 マンホール側塊の呼び及び寸法(JIS A 5372 : 2016)
(10) 雨水マンホール(組立て)
国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「建築工事標準詳細図(令和4年版)」9-15[雨水マンホール]を参照するとよい。
(11) 鋳鉄製ふた
(ア) 「標仕」では、空気調和・衛生工学会規格 SHASE-S 209(鋳鉄製マンホールふた)に基づき、名称、種類及び適用荷重は、特記によるとされている。
なお、車路等においては、消防車など重量のある車両を考慮した適用荷重が特記されているか確認する。
(イ) 鋳鉄製ふたには、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(5)(ア) 参照)で評価された製品があるので参考にするとよい。
(ウ) SHASE-S 209(鋳鉄製マンホールふた)の抜粋を次に示す。
マンホールふた
3. 種類及び大きさの呼び
表1 - マンホールふたの種類及び大きさの呼び
加重体の大きさの換算について
4. 要求事項
4.3 性能
マンホールふたは、5.の規定によって試験し、表2に適合しなければならない。
表2 - マンホールふたの性能
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法
たわみ試験の試験方法は、図9に示すように試験体の枠を全面で支え、ふた(試験体)の中央に表3に示す加重体を載せ、たわみ試験荷重に達するまで徐々に荷重を加えたときのたわみ量及び荷重除去後のたわみ量(残留たわみ)を測定する。ただし、試験体はパッキンを外したものとする。
5.2 破壊試験の試験方法
破壊試験の試験方法は、5.1を終了後、さらに表3に示すたわみ試験荷重の4倍に相当する破壊試験荷重に達するまで徐々に荷重を加え試験を行う。
図9 - マンホールふたの試験要領
表3 - 加重体の大きさと試験荷重
化粧マンホールふた
3. 種類および大きさの呼び
化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼びは.表1による。
表1 - 化粧マンホールふたの種類及び大きさの呼び
4. 要求事項
4.3 性 能(マンホールふたに同じため省略)
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
5.2 破壊試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
図7 - 化粧マンホールふたの試験要領
表3 - 加重体の大きさと試験荷重
3. 種類及び大きさの呼び
格子ふたの種類及び大きさの呼びは、表1による。
表1 - 格子ふたの種類及び大きさの呼び
4. 要求事項
4.3 性 能 (マンホールふたに同じため省略)
5. 荷重試験方法
5.1 たわみ試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
5.2 破壊試験の試験方法 (マンホールふたに同じため省略)
図3 - 格子ふたの試験要領
表3 - 加重体の大きさと試験荷重
SHASE-S 209-2009
(12) グレーチング
(ア) グレーチングの材質、適用荷重、メインバービッチ、ボルト固定の有無等は、特記によるとされているが、次のことを確認するとよい。
(a) 車路等において、消防車などの特殊な自動車の種類を考慮し、十分な耐荷重性能を有するものとしているか。
(b) メインバービッチは、歩行者の通路ではハイヒールを考慮しているか。
(c) 自動車等の通過時のずれ、がたつき又は跳ね上がりが生じないように、ボルトで固定されているか。
(13) 材料の保管
(ア) 現場内に材料を保管する場合は、倒壊が生じないようにするとともに、部外者が保管場所に立ち入らないように柵等を設け、十分な安全対策を講じなければならない。
(イ) 管の保管に当たっては、管の高積みを避け、ロープ掛け等を施し管の転がりや転落を防止する。
(ウ) 塩化ビニル管の接合に用いる接着剤は、揮発性で、かつ、引火性の溶剤を多量に含んでいるため、接着剤の機能が失われないように必ずふたをし、冷暗場所に保管する。また、接着剤の保管については、関係法令を遥守する。
(14) 排水桝及び配管を据え付ける部分の地業用材料は次のとおりである。
(ア) 砂地業に使用する砂は、シルト、有機物等の混入しない締固めに適した山砂、川砂又は砕砂とし、適用は特記による。
(イ) 砂利地業に使用する砂利は、再生クラッシャラン、切込砂利又は切込砕石とし、適用は特記による。
なお、粒度は、JIS A 5001(道路用砕石)に基づく C-40、C-30又はC-20程度のものとする。
(15) 排水工事に用いる現場打ちの場合の、コンクリートの種類、設計基準強度及びスランプは特記による。特記がなければ、排水工事に用いるコンクリートは大きな荷重を受けることがないため、普通コンクリートで設計基準強度18N/mm 2 、スランプは15cm又は18cmとする。
なお、使用量が少なく、レディーミクストコンクリートを購入することが現実的でない場合、コンクリートの調合容積比セメント1:砂2:砂利4 程度の現場練りとすることができる。
(16) 寒冷地に適用される凍上抑制層に用いる材料
「構内舗装・排水設計基準」では、寒冷地における雨水排水設備は、地盤の凍結融解の影響による破損を避けるため、凍結深さから求めた必要な置換深さと、雨水排水設備の基礎の下端の深さを比較し、置換深さの方が大きい場合は、雨水排水設備の基礎の下にその厚さの差だけ、凍上の生じにくい材料の層を設けるとされている。凍上抑制層に用いる材料は、砂、砂利、クラッシャラン、再生クラッシャラン、礫、スラグ等があり、「標仕」では、ゴミ、泥等の有機物を含まないものとし、種類は、特記によると規定している。
砂は「標仕」表21.2.2による。粒度分布を求めて、各種骨材として適当かどうかを判定するための粒度試験は JIS A 1102(骨材のふるい分け試験方法)に基づき、適用は特記によると規定している。
(17) 「標仕」では、埋戻しに用いる材料は特記による。特記がなければ、表3.2.1のB種(根切り土の中の良質土)と規定している。根切土を使用するのが一般的であるが、締固めが十分に行えない土の場合は、良質な土や山砂等で置き替える必要がある。
21.2.2 施 工
(1) 寒冷期等の施工及び養生
降雨・降雪が予想される場合又は打込み中のコンクリート温度が 2℃を下回るおそれのある場合で、適切な養生を行うことが出来ない場合は、コンクリートの打込みを行わない。ただし、やむを得ず打ち込む場合は、保温及び養生方法に関して具体的な方法を受注者等に提案させたうえで検討する。
なお、保温及び養生方法の例を、22.5.5[養生](3) に示しているので、参考にされたい。
(2) 根切り
(ア) 根切りに当たっては、「標仕」3章を参照し、安全に注意する。特に、山留めの構造及び点検等の管理には注意が必要である。
(イ) 遣方を適切な間隔に設け、高低を実測のうえ、所定の深さに根切りする。
また、遣方に水糸を張り、根切りの確認をする。
(ウ) 遣方を設けない場合は、あらかじめ深さを計算しておき、レベルにより確認する。
(エ) 根切りは、根切り底をかく乱しないように掘削する。
(オ) 根切り底の深さと管路の勾配に注意し、掘り過ぎた場合は、山砂の類で埋め戻す。また、根切り底が緩んでいる場合は、締め固める。
(カ) 根切り範囲は、根切りだけを先行させないで、できるだけ管の敷設と埋戻しとが継続してできる程度に抑えておく。
根切りのままで長期間放置すると、降雨等により崩壊したり、根切り底が緩んだりする。地下水位の高い地盤では、ますます軟弱化するおそれがある。
(3) 地 業
(ア) 排水施設を設ける地盤が、排水施設を支持するのに適した砂、ローム、粘土質等の場合は、根切り面を割り石や砂等の地業の施工がしやすいようにソイルコンパクタ等で締め固める。
(イ) 遠心力鉄筋コンクリート管の地業は、管の埋設方式、土質の状態、活荷重の条件等によって地業形式が異なるため、その選定に当たっては、十分注意を払う必要がある。
(ウ) 遠心力鉄筋コンクリート管を敷設する箇所が、管を支持するのに適している場合は砂地業とすることができるが、軟弱地盤等では、その地盤に適したコンクリート地業、杭打ち地業等の地業形式をとらなければならない。この場合は、設計担当者と打ち合わせ、設計変更等について検討する。
(エ) 砂地業では、ごみや有機不純物締を含まない遮断層用の砂を300mmごとに締め固め、空隙が生じないように仕上げる。
(オ) 割り石地業では、地業に用いる砕石等を所定の厚さにむらなく敷き均し、タンパ等の締固め機械によって十分に締め固める。
(カ) 捨コンクリート地業では、砕石等を所定の厚さに仕上げた後、所定の寸法のコンクリートを打ち込み、締め固めて空隙のないように仕上げる。
(4) 側塊、排水桝
(ア) 排水桝、マンホールは、管きょ内の点検、清掃等のために必要なものであるため、管きょの方向、勾配、管径の変化する箇所、段差の生じる箇所及び合流する箇所に設ける。
(イ) 汚水の混入する排水桝及び排水溝には、インバート(図21.2.1参照)を設ける。
インバートは、流れやすくして汚物等が詰まるのを防ぐためのものであるため、モルタルは滑らかに仕上げ、肩上は汚物が残らないように、勾配を付ける。
図21.2.1 インバート
(ウ) 雨水用排水桝及びマンホールの底部には、排水管等に泥が詰まらないように、深さ150mm以上の泥だめを設ける。
(エ) 排水桝、マンホールについては、プレキャスト製品と現場打ちコンクリートがあるが、施工性・品質等からプレキャスト製品が一般的に使われている。
(オ) 合流式下水道の場合、雨水系統と汚水系統が合流する合流桝を設けるが、臭気対策としてトラップ桝とすることが望ましい。
(5) 排水管
(ア) 遠心力鉄筋コンクリート管
(a) 管の敷設は下流部より始め、順次上流部に向けて行うのがよい。
(b) 管の吊降ろしは、必要に応じてロープ、チェーンブロック等を用いて、管に損傷を与えないようにする。
(c) 砂地業とした場合は、管を勾配に合わせて移動しないように固定し、継手作業が終わった後、良質土で管の中心線程度まで両側から埋め戻して締め固める。埋戻しの一層の仕上り厚さは20cm以下とし、適切な含水状態の土等で十分締固めながら埋め戻す。
(d) 継手部分は、漏水の原因となるため、特に入念に施工する。継手部分にゴムリングを用いるB形管は、接合前にゴムリングの傷、老化、寸法等を確認し、正常であれば、あらかじめ作っておいた引込み目安線まで確実に引き込む(図 21.2.2参照)。
図21.2.2 管のゴム接合
(イ) 硬質ポリ塩化ビニル管
(a) 管の取扱いについては、落下したり、ぶつかり合ったりしないように慎重に取り扱い、特に、管端部にはクッション材等を挟むなどし、破損及び傷がつかないようにする。
(b) 桝との接合には、砂付きの桝取付け短管を用いる。
(c) 「標仕」で継手は、硬質ポリ塩化ビニル管継手による冷間工法とし、継手には、材料自体が博いため、直接ねじを切れないので、接着剤又はゴム輪を用いるものとしている。適用は特記によるが、特記がなければ、接着剤としている。
(d) マンホールなどの構造物と管きょとの接続部分において、不同沈下等による偏荷重により継手の使用を検討する必要がある。
検討事項としては、
?@ 耐震性を特に必要とするかどうか
?A 宅地造成等における盛土区域の地盤の安定性
?B 軟弱地盤等におけるマンホールと管きょとの不同沈下
?C 管きょの重要性
などがあげられる。
対応策としては、可とう性管きょ、マンホール用可とう継手単管の使用等がある。
なお、採用に当たっては可とう性、水密性、耐久性、経済性等を十分検討しなければならない。
(6) 凍上抑制層は、1層の仕上がりを20cm以下として、各層ごとにタンパ等小型締固め機械を使用し均ーになるように仕上なければならない。
(7) 埋戻し
(ア) 埋戻しは、原則として、根切土の良質土とする。
ただし、車両等の通行する部分は、コンクリートで保護するか、川砂又は透水性の良い山砂の類とする。砂類の場合は、水締めとするのが望ましい。
(イ) 土かぶりまでの埋戻しは、管の耐力の範囲内でタンパ、ランマ等で締め固め、重機械を用いてはならない。
(ウ) その他の埋戻しについては、3章を参照する。
21.2.3 試 験
通水試験は、排水管の継手モルタルの硬化程度を見計らい、全系統にわたり、埋戻しに先立って通水し、漏水の有無の確認を行う。
試験方法は、排水管の端末を適切な方法で閉じ、管径の1/2程度まで注水し、継手部分の漏水及び勾配の検査を行う方法とする。しかし、重要部分及び一般部分でも事情が許す場合は、管を満水にする満水試験を行う。
21.2.4 浸透施設
雨水の浸透式排水は、特定都市河川浸水被害対策法や各地方自治体の条例等の規制によって、近年の急激な都市化の進展とともに多発している「都市型水害」、さらには最近増加している「局地的豪雨」等の対策措置として、雨水排水が直接公共施設の下水道、河川、湖沼、海等に放流できない地域又は植栽等のために地下に浸透させた方が望ましいなどの目的で設けられるものである。適用に当たっては、浸透排水能力及び施設の設置場所の地質、地形、地下水等の条件や周辺の施設、構造物への影響を十分検討する。
「標仕」には、規定はないが、浸透施設を参考に示す。
(1) 浸透施設の例としては、図21.2.3のような浸透桝、浸透トレンチ、浸透側溝がある。
図21.2.3 浸透施設
(2) 浸透施設の施工に当たっては、次の点に注意する。
(ア) 施工時に地盤の浸透機能を、低下させないことが重要であるため、浸透面を締め固めないものとし、掘削後は床付けを行わず、直ちに敷砂を行い充填材を投入する。ただし、地盤が砂礫、砂の場合は敷砂を省略してよい。
(イ) 透水性舗装を浸透施設とする場合には、地盤面は小型ローラ等で締め固めるが、こね返しや過転圧によって強度が低下しないよう注意する。
(ウ) 充填材の投入に当たっては、施設内に土砂が混入しないように注意する。また、投入時に透水シートを引き込まないように注意する。
(エ) 工事中の排水は、原則として、浸透施設を使用しない。また、浸透面にネットを被覆するなどの土砂流入防止の措置をとる。
(オ) 工事完了後、浸透施設に対して、浸透能力確認のための注水試験を行う。