02節ユニット工事等
20.2.4 移動間仕切
移動間仕切は、移動を容易にするため吊り下げられた構造が一般的であるが、床部分に回転体を有し上部がガイドとなって下部で荷重を受けるもの、あるいは振れを防ぐためにハンガーレールで吊ってはいるが床にガイドを有するものなどもある。
「標仕」の適用範囲は、移動・格納のできる標準的な上吊りパネル式間仕切に適用するとしている。
現状では、移動間仕切に関する標準化された規格類はなく、製造所ごとのシステムにより構成された製品になっている。
移動間仕切は、一般的に間仕切の走行方法と操作方法により区分できる。各区分の内容と各部の名称を次に示す。
(a) 走行方向による区分
?@ 平行方向移動式
カーブを含みレールの方向のみ移動するもの。
?A 二方向移動式
交差する二方向のレールに乗り換えて移動が可能なもの。乗換え移動については、ランナーの機構によるものがある。
(b) 操作方法による区分
?@ 手動式
パネルの移動を人力で行うもの。
?A 電動式
パネルの移動が電力で行われ、自走するもの。
?B 部分電動式
パネル移動の一部のみ電力で行うもの。
(c) 各部名称
?@ ハンガーレール
パネルを移動するためのレールで、カーブ・交差・分岐・格納を含む。
?A ランナー
間仕切パネルを吊り下げ、レールを走行する部分。
?B 間仕切パネル
ランナーより吊り下げられ、走行のできる分割された間仕切のパネル。
?C ドア兼用パネル
間仕切パネル自体が走行できるだけでなく、丁番・軸吊りによって他のパネル又は躯体側の他部位により支持され、ドアとしての開閉が可能なもの。
?D ドア付きパネル
間仕切パネル内に出入口を有するもの。
?E 密閉機構
間仕切として固定する場合に、床、天井、隣接する間仕切パネル及び躯体側の壁.柱との間を密着させ、遮音性を確保するための機構。
?F レール切換え部
ハンガーレールの一部で、ランナーの走行方向を切り換える部分で、ポイント・ターンテーブル・ロータリー等と称され、パネルの移動方法で切り換える手動式と、遠隔操作により切り換える電動式のものとがある。
?G 間仕切パネル格納部
間仕切パネルを不使用時に格納する部分で、引込みレール、格納ドア等を含む。
?H 壁付きガイド材
耐力壁、非耐力壁等の他の部位に設ける見切り材で、間仕切との取合いとなる部分。
?I ハンガーレール取付け下地
ハンガーレールを躯体若しくは躯体側の部分に取り付けるための構造材。
(2) 性能等
(ア) パネル圧接装置
パネルの圧接装置は、製造所により異なり、その操作方法も種々である。一般的に、パネル圧接装置の耐久性は、固定・解除の繰返し耐久試験等により評価されている。
(イ) 遮音性
移動間仕切の遮音性能は、JIS A 6512(可動間仕切)の遮音性試験に準拠し、試験方法は、JIS A 1416(実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法)により、中心周波数500Hzの音の透過損失で評価している。移動間仕切の遮音性の目安を表20.2.8に示す。
表20.2.8 遮音性能の目安
(ウ) 移動間仕切の製品については、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (5)参照)において、「標仕」20.2.4の規定に基づき評価基準を定めて評価を行っているので参考にするとよい。
(3) 工 法
(ア) 下地補強材は、所要の性能を満足するよう堅固な取付けが求められる。下地補強材を取り付けるときの所要の性能は特記によるが、特記がなければ、取付け全重量の5倍以上の荷重に対して、耐力及び変形量が使用上支障のないように補強する。
(イ) ハンガーレールを躯体又は下地補強材へ固定するときにあと施エアンカー類を用いる場合は、「標仕」では、14.1.3(1)の工法により、施工後の確認は、機械的簡易引抜試験機による引張試験により、設計用引張強度に等しい荷重に対して、過大な変位を起こさず耐えることを確認することとされているので注意する。
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