5節 押出成形セメント板(ECP)
8.5.5 溝掘り及び開口部の処置
(2) 出入ロ・窓等の開口を設ける場合は、バネルに孔あけ及び欠き込みを行わない。パネル割付けの際に開口がある場合は、開口位置を図8.5.7に示すように、パネル割付けに合わせる。開口の周囲には補強材を設け、開口部にかかる風荷重は、原則として補強材によって直接躯体に伝えなければならない。
図8.5.7 窓等の開口部の設置とパネル割り
(3) 設備開口を設ける場合は、パネルに孔あけ及び欠き込みを行わない。やむを得ず、孔あけ及び欠き込みを行う場合は、欠損部分を考慮した強度計算を行い、安全が確認された大きさを限度とする。ただし、計算結果にかかわらず、孔あけ及び欠き込みの限度は、表8.5.3の数値以下とする。
表8.5.3 パネルの孔あけ及び欠き込みの限度
8.5.6 施工における留意点
(1) 計画上の留意点
(ア) 面内せん断力を負担するような箇所・取付け工法での使用は避ける。
(イ) 支持間隔や厚さにより許容荷重が異なるため、必ず強度計算を行って確認する。
(ウ) 開口部には、風圧力に見合った開口補強鋼材を用いる。
(エ) 構造体との取合い部分は、クリアランスを設ける。
(オ) 漏水に対する対策が特に必要な場合は、シーリングによる止水のみではなく、二次的な漏水対策も検討する(図8.5.8及び図8.5.9参照)。
図8.5.8 縦張り工法の二次的な漏水対策の例
図8.5.9 横張り工法の二次的な漏水対策の例
(カ) タイルをモルタルにて張り付ける場合は、タイル仕上げ用パネル(タイルベースパネル等)を用い、張付けモルタルはポリマーセメントモルタルとする。
有機系接着剤にてタイルを張り付ける場合は、フラットパネルを用い、JIS A 5557(外装タイル張り用有機系接着剤)に規定する弾性接着剤を用いる。タイル張り乾式工法の場合は、リブを設けた専用パネルを用い、専用タイルを引っ掛ける。タイルの一部は接着剤で固定する。
(キ) タイルの割付けはパネル内割付けとし、タイル及び張付けモルタルがパネル目地をまたがないようにする。
(ク) パネルにより仕切られる空間の湿度差が大きい場合は、パネルに反りが発生するおそれがある。このような場合、パネルの使用される環境条件等を考慮した取付け方法等により、反り防止対策を必ず行うようにする。
(ケ) 寒冷地等厳しい条件下で用いる場合は結露の検討も必要である。
(2) 施工上の留意点
(ア) バネル間の目地にはシーリングを行う。そのためシーリング工事の良否が壁の防水性能を左右する。バックアップ材は四角形のものを選定し、適切なシーリング材深さ(10mm以上)となるように調整し、二面接着となるように施工する(図8.5.10参照)。
図8.5.10 パネル間目地シーリング
(イ) 取付け金物(Zクリップ)は下地鋼材に30mm以上の掛り代を確保し、取付けボルトがZクリップのルーズホール中心に位置するように取り付ける(図8.5.11参照)。
図8.5.11 Zクリップ掛り代
参考文献