13節 オーバーヘッドドア
16.13.1 適用範囲
16.13.2 形式及び機構
(a) セクション材料の種類を表16.13.1に示す。「標仕」では特記がなければ、スチールタイプとしている。
なお、その他アルミニウムタイプとファイバーグラスタイプのセクション材を組み合わせたコンビネーションタイプもある。
表16.13.1 セクション材料による区分(JIS A 4715 : 2008)
(b) オーバーヘッドドアは、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位に設置される場合が多い。したがって、耐風圧性能は、一般にJIS A 4715(オーバーヘッドドア構成部材)による強さの区分により特記される。強さによる区分を超える風圧力の場合は16.1.7(a)(1)を参照されたい。
なお、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位に対する風圧力について、(-社) 日本シャッター・ドア協会では、「シャッター・オーバーヘッドドア耐風圧強度計算基準」を使用している。
(c) 開閉方式による区分を表16.13.2に示す。「標仕」では、特記がなければ、バランス式としている。
なお、開口高さが 4mを超えると、バランス式では手動での操作が困難になるのでチェーン式が望ましい。
表16.13.2 開閉方式による区分(JIS A 4715 : 2008)
(d) 収納形式による区分を表16.13.3及び図16.13.1に示す。「標仕」では適用を特記としている。
表16.13.3 収納方式による区分(JIS A 4715 : 2008)
図16.13.1 収納方式による区分(JIS A 4715 : 2008)
(e) 「標仕」では、電動式の場合では16.11.2(h)と同様に、見えない場所から操作するオーバーヘッドドアには、障害物感知装置を設けることとしている。
なお、電動式オーバーヘッドドアは、シャッターより降下速度が速いので、障害物に直接接触する前に停止する光電センサー等を用いた非接触形障害物感知装置とするのが望ましい。
(f) 一般的な各部の名称を図16.13.2に示す。
図16.13.2 各部の名称(JIS A 4715 : 2008)
(g) 開口の幅と高さ
セクション材料及び収納形式により開口の最大幅と最大高さは異なる。「標仕」で想定している数値を表16.13.4及び5に示す。表16.13.4に示すセクション材料別の最大開口幅での耐風圧性は、750Paである。したがって、要求される耐風圧性が大きくなれば、最大開口幅が表16.13.4より小さくなる。
表16.13.4 セクション材料による最大開口幅
表16.13.5 収納形式による最大開口高さ
(h) オーバーヘッドドアについては、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。
16.13.3 材 料
(a) セクション材料による区分は、特記がなければスチールタイプとされている。この場合の鋼板は、JIS A 4715に規定されているJIS G 3302 (溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)又はJIS G 3312(塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)とされており、めっき付着量は、一般的にZ06又はF06を満足するものが使用されている。
(b) セクションに使用するアルミ板は、JIS H 4001(アルミニウム及びアルミニウム合金の焼付け塗装板及び条)とされている。
(c) セクションに使用するアルミニウム形材は、JIS H 4100(アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材)とされている。
(d) セクションに使用するファイバーグラス板は、JIS A 5701(ガラス繊維強化ポリエステル波板)とされている。
ファイパーグラス(ガラス繊維強化プラスチック:FRP (Fiberglass Reinforced Plastics))は、強度のあるガラス繊維を強化材とし、不飽和ポリエステル樹脂を用いて成形加工した複合材料である。
(e) ガイドレールは、「標仕」では、特記がない場合、JIS G 3302による溶融亜鉛めっき鋼板で、めっきの付着量Z27を満足するものとされている。
なお、海岸部等の環境下で腐食のおそれがある場合は、ステンレスの使用を検討する。
(f) ワイヤロープは、JIS G 3525(ワイヤロープ)又はJIS G 3535(航空機用ワイヤロープ)とされている。
(g) アルミニウム形材の表面は、JIS H 8602(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜)に規定される複合皮膜の性能の種類B以上のものとされている。
16.13.4 形状及び仕上げ
ガイドレール及び支持金物は、溶接部分の補修を除いて塗装は行われていない。また、意匠を考慮した場合でも、ガイドレールの内側はローラーが走行するので、塗装は行われていない。
図16.13.3に一般的な断面を示す。
図16.13.3 ガイドレールの断面の例
16.13.5 工 法
(a) 加工、組立及び取付けは形状、寸法、取合い等を正確に行い、耐風圧性が低下しないように注意する。
(b) JIS A 4715(オーバーヘッドドア構成部材)の抜粋を次に示す。
1.適用範囲
この規格は、建物及び工作物に使用するオーバーヘッドドア構成部材 (1) (以下、構成部材という。)について規定する。
注 (1) まだ組み立てていない状態のもの。
なお、組み立てたオーバーヘッドドアを、以下、ドアという。
備考 オーバーヘッドドアとは開口部に対して上下に組み立てられた複数のセクションを天井又は壁に沿ってほぽ水平又は垂直に送り込んで収納するドアをいう。
3. 構成部材の名称(図16.13.2参照)
4. 種 類
4.1 セクション材料による区分(表16.13.1参照)
4.2 強さによる区分 強さによる区分は、次による。
50 風圧力 500Paに耐えるもの。
75 風圧力 750Paに耐えるもの。
100 風圧力 1,000Paに耐えるもの。
125 風圧力 1,250Paに耐えるもの。
4.3 開閉方式による区分(表16.13.2参照)
4.4 収納形式による区分(表16.13.3及び図16.13.1参照)
5. 品質及び機能
5.1 外観
外観は、使用上有害なねじれ、曲がり、さびなどの欠点があってはならない。
5.2 構成部材の品質
5.2.1 セクション
セクションの強度は、9.2に規定する方法で試験を行い、残留たわみは、セクション長さの1/100以下でなければならない。(9.2省略)
5.2.2 ワイヤロープ
ワイヤロープの引張強度は、ワイヤロープ1本にかかるドア重量の1/2に対して、安全率を5以上とする。また、ワイヤロープには変形、ほつれがあってはならない。
5.2.3 シャフト
シャフトは次による。
a) シャフトは、円滑な回転を保持する伸直な形状のものとする。
b) シャフトは、ドア重量を支え、かつ、スプリングによるねじりモーメントに対し十分な強度をもつものとする。
5.2.4 スプリング
スプリングは. ドアの重量及び収納形式に対応した良好なバランスを与える適切なものとする。
5.3 開閉機能
5.3.1 バランス式・チェーン式
バランス式及びチェーン式の開閉機能は、9.3に規定する開閉操作力試験を行い、表1の規定に適合しなければならない。(9.3省略)
表1 開閉方式による操作力
5.3.2 電動式
電動式の開閉機能は、9.3に規定する方法によって開閉試験を行い、次の規定に適合しなければならない。(9.3省略)
a) 開閉は、円滑に作動するものとする。
b) 開閉時の平均速度は、毎分5~20mとする。
c) 開閉中に、任意の位置で停止できるものとする。
d) 開閉の際、上限及び下限において自動的に停止するものとする。
e) 開閉中、押しボタンスイッチを逆方向に操作しても、逆方向に作動しないものとする。
f) 閉動作中、障害物感知装置が作動した場合、ドアは自動的に停止し、又は停止後IJf.l動作に転じて自動停止すること。
g) 障害物感知装置が作動したままの状態で停止した場合、又は作動不良の状態になったとき、再度閉信号を受けてもドアは閉動作をしてはならない。ただし、停止後自動的に開動作に転じる機構のものを除く。
h) 障害物感知装置が作動したままの状態で停止し、開信号を受けた場合は、ドアは開動作をしなければならない。
i) 電源遮断時においては、手動による開閉が可能でなければならない。
6. 構 造
6.1 セクション
セクションは、ヒンジによって屈曲可能に結合でき、セクションの上下には相じゃくり部をもつ機構とする。
6.2 スプリング
ねじりコイルばねを使用する。
6.3 ワイヤドラム
ワイヤロープの径に応じた溝付ドラムとする。
6.4 ワイヤロープ
JIS G 3525又はJIS G 3535による。
6.5 ガイドレール
ガイドレールの断面はほぼ溝形で、その内側をローラの回転部が滑らかに移動し、かつ、容易に逸脱しない形状のものとする。
6.6 電動開閉機 電動機の容量及び電源は、表2による。
表2 電動機の容量及び電源
6.7 電装品
電動式ドアにおける電装品は、次による。
a) 制御盤は、押しボタンスイッチ又はリミットスイッチからの信号によってドアの開・閉・停の動作を制御できるものとし、開閉動作中に逆動の押しボタンが押されても、逆動作しない回路とする。
b) 押しボタンスイッチは、押しボタン操作によって制御盤に信号を送り、開・閉・停の動作を操作できるものとする。
c) リミットスイッチは、ドアの開放又は閉鎖の動作を、その上限又は下限の位置で自動的に停止できるものとする。
d) 障害物感知装置は、光電センサなどの非接触形のものが望ましい。
e) 開口部の用途、環境などによって光電センサ以外の障害物感知装置を使用する場合の機能・構造・試験方法については、受渡当事者間の協議による。
f) 押し切り形 (2) の押しボタンを使用し、かつ、押しボタン操作をする人がドアの開閉状態の安全を確認できる場合は障害物感知装置の設置を省略してもよい。
注 (2) 押しボタンを押している間だけドアが作動し、ボタンから手を離すとドアが停止する機構のスイッチ。