2016年12月20日
日本人の8人に1人が発症している慢性腎臓病 歯周病との併発で死亡率が上昇
英バーミンガム大学歯学部のプラビーン・シャルマ教授らの研究チームは、「慢性腎臓病(CKD)」の患者が歯周病を発症している場合、死亡率が未発症の患者に比べ高くなっているとする研究結果を発表した。
「慢性腎臓病」は腎臓の機能が健康な人の60%以下に低下する(eGFRが60ミリリットル/分/1.73平方メートル未満)、たんぱく尿が出るといった腎臓の異常が続く疾患。心血管疾患のリスク要因とされ、日本腎臓学会による2008年の調査では、約1330万人(成人の8人に1人)が発症しているとされている。
加齢によって腎機能が低下する高齢者に多く見られるほか、高血圧や糖尿病、脂質代謝異常の既往者、近親者に腎臓病患者がいる場合も発症する可能性がある。
シャルマ教授らは、1988〜1994年に実施された第3回米全国健康・栄養調査(NHANES?V)から、1万3784人のデータを抽出。ステージ3〜5(重症度が中〜高度)のCKD患者を対象に、歯周病の有病率と死亡率との関連を分析した。
その結果、10年間のCKD患者全死因(あらゆる死因を含む)死亡率は、歯周病がない人が32%だったのに対し、歯周病があった人は41%となっていた。シャルマ教授は、因果関係まではわからないものの、CKDと歯周病の間に強い関連性があることは明らかであるとし、「一般的な健康診断とともに歯の検診も定期的に実施すべき」とコメントしている。