2016年12月22日
「汗」が熟睡を生む!? 睡眠の質を高める上手な汗のかき方
起きたら寝汗でびっしょり…。そんな経験があったら、睡眠の質が低下しているサインかも。
「良い睡眠は“良い汗”から生まれる」と話すのは、体臭・発汗の研究に長年携わる「五味クリニック」院長・五味常明先生。汗のかき方が睡眠の質に関わるとは、どういうことなのでしょうか!?
人が眠れるのは汗のおかげだった!?五味先生によると「睡眠中の汗は脳の温度を下げる役割がある」そう。
「ビジネスパーソンの多くは日中頭をフル稼働しているため、夜になっても脳が熱を帯びた状態。放っておくと脳がヒートアップして正常に機能できなくなり、いざ寝ようとしてもなかなか寝つけなくなります。そこで、人は汗をかいて脳の温度を冷まそうとするのです」
五味先生によると、脳の温度(脳温)を下げる唯一の方法が、汗をかくことなのだとか。
「人は、寝入りばなの深い睡眠時に一気に発汗して脳温を下げようとします。このときの汗はほぼ水分で、サラッとしており、温度調節に適した“良い汗”です。起きる間際などのレム睡眠中は、本来脳温が下がった状態でほとんど発汗しないため、しっかり熟睡できている場合は、汗が引いてすっきりした状態で目覚めることができるのです」
しかし、なかには「寝汗で目が覚める」という人も多いはず。
「ストレスなどで心身に疲れが溜まっていると、脳が興奮した状態のままになり、レム睡眠中でも汗を大量にかいてしまいます。さらに睡眠時間が短いと汗の周期が乱れ、体温調節の効率が悪くなり、ベタベタした“悪い汗”をかいてしまいます。目覚めたときにじっとりと汗ばんでいるのなら、睡眠時間の見直しやストレスを溜めないようにする必要があるかもしれません」
寝る前にできる! “良い汗”をかくための汗腺トレーニング普段から汗をかく習慣をつけると、寝ているときにも自然と“良い汗”をかけるそう。「なかなか運動する時間が取れない」という人も始めやすい、おすすめの汗腺トレーニングを教えていただきました。
■汗腺を鍛える入浴方法
(1)43〜44℃の熱めのお湯を浴槽の1/3から半分くらい溜める。
(2)四つん這いになり、両手は肘から手先まで、両脚はひざから下までを10〜15分ほどお湯につけ、手足浴をする。
(3)手足浴が終わったら、ぬるま湯を足して浴槽のお湯を36度ほどにし、今度は普通に10〜15分ほど湯船につかる。
「入浴は寝る1時間前までに済ませてください。寝る直前に入ると脳温と体温が上がった状態になり、身体が必要以上に寝汗をかこうと働きを強めるため、熟睡できなくなってしまいます」
また、寝具についてもワンポイントアドバイスが。
「“良い汗”をかいている状態だと、就寝中は身体が圧迫されていない部分から汗をかきます。つまり、仰向けで寝ると背中ではなく胸側から発汗します。しかし、敷布団が自分の身体に合っていないと圧迫感が足りず、敷き布団に接している側からも汗が出て睡眠の質を下げてしまう場合があります。寝汗が気になる人は、身体にフィットする硬めのマットレスを選ぶのをおすすめします」
汗と睡眠は切っても切れない密接な関係。「最近あまり汗をかいていないな」という人も汗腺トレーニングにチャレンジして、“良い汗”から快眠を手に入れましょう!