2016年12月26日
セロトニンが多すぎたり少なすぎたりすると、問題ですか?
「やる気が出ない」
「イライラが増える」
そんなとき、身体の中でセロトニンという物質が足りないことがあります。セロトニンは多すぎても不足していても、身体に影響があると聞きます。今日は『ときどき目にする「ドーパミン」について教えてください!』に続いて、セロトニンについて、精神科の医師に聞きました。
Q.セロトニンとは、どのような物質でしょうか。
セロトニンとは、私たちの体の中で情報を伝達する役割をするホルモンです。
気持ちの安定や幸福感にも大きな影響を与えます。
ほかの神経伝達物質である、ノルアドレナリンやドーパミンの働きを調節する働きも担っています。
Q.セロトニンが少なすぎると、どのようなことが起こるでしょうか。
セロトニンが少なすぎても、身体に影響が出ます。
≪セロトニンが少なくなると…≫
・疲労感が増す
・物事に集中できなくなる
・イライラしたり落ち込む
・全般にやる気がなくなる
セロトニン不足は不眠にも関係しています。
また、うつ病の原因のひとつにセロトニン不足があります。
Q.セロトニンが少なぎるとき、どうしたらいいでしょうか。
疲労感を感じる、やる気がない、などセロトニンが少なくなってるかも?と感じたときは、まず普段の生活習慣の見直しを行います。
・規則正しい生活を送る
・朝、定刻に起きる
・太陽の光を十分に浴びる
・長時間同じ姿勢を取らない
パソコンやスマートフォンに向かって集中しているときは要注意です。知らないうちに同じ姿勢を取り続けていることがあります。
「トリプトファン」と呼ばれる栄養素をしっかり摂ることも大切です。
トリプトファンは身体の中でセロトニンの材料になります。バナナ、鶏のささみ、ゆで卵、エビなどがトリプトファンを含んでいたり、トリプトファンの吸収を助けたりします。
Q.反対にセロトニンが多すぎると、どのようなことが起こるでしょうか。
セロトニンが多すぎることは「セロトニン症候群」と呼ばれます。
自然に起きることはあまりなく、ほとんどがうつ病の治療薬であるSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)を多く服用していたり、ほかのお薬との相互作用により血中濃度が上昇した場合に起こります。
症状として多いものは頭痛です。
他にも異常な発汗、吐き気や体温上昇、めまい、嘔吐などが起こることもあります。状況によっては死亡することもありえます。
Q.セロトニンが多すぎるとき、どうしたらいいでしょうか。
先ほどお伝えした通り、セロトニンが自然に過剰分泌されることはほぼありません。
セロトニンが多く分泌される場合、SSRIを服用しているケースが多いです。
特にSSRIを服用し始めた、あるいは増量したばかりのときは要注意といわれています。
セロトニン症候群はうつ病の症状と類似した部分もあるので、自分では判断に困る場合もあると思います。特にひどい汗や熱が出たり、今までなかった嘔吐や頭痛が出たりした場合は、すぐに処方した医師に連絡します。
なお、SSRIの継続の可否については必ず医師の診断を受けましょう。
SSRIは副作用が少なく、非常に効果のあるお薬です。しかし自己判断でいきなり中止ししたりすることで身体に思わぬ影響が出ることがあります。自己判断せず、処方を受けた精神科や心療内科にすぐに相談することが非常に大切です。
現代人の生活は、夜型であって日光を浴びる機会が足りない、電子画面に囲まれているなどの現状があります。
このような生活スタイルがセロトニンの不足を可能性が指摘されています。
生活スタイルの見直しを放置すると、うつ病などの深刻な事態を招きかねません。
まずしっかり朝起きて、太陽の光を十分身体に当てることから始めてはいかがでしょうか。