プリクラッシュ!LEXUS NX 衝突実験で感じたこと。


トヨタ自動車は「プリクラッシュセーフティシステム」と呼称していますが、自動車メーカーごとに名称が違うのでいつのまにか「自動ブレーキ」という呼び方が定着し、まるで自動的にブレーキをかけて停車できるようなイメージがついてしまっています。
特に、レクサス車には全車でメーカーオプション装備されていながらほとんどの車種には標準装備はされておらず、また価格も比較的高価であるため、2013年の新型レクサスIS発売(トヨタでは新型「稲妻クラウン」)で価格が60,000円(税抜)に低減するまでは装着率は極めて低かったそうです。
しかし、さすがに最近のモデル(NX、RC)ではカタログでも比較的大きなスペースを確保し、プリクラッシュセーフティシステムやブラインドスポットモニター等の安全装備について説明を強化していますね。

▼NXの衝突実験ですが まずは30km/h・・・・ 大丈夫かと思いきや? 

予備知識なく見ると、500-600万もする車なのに「使えない!危ない!」と勘違いする方もいらっしゃると思います。
トヨタ方式は、 ブザーが鳴ってから任意でブレーキペダルを踏むことで最大60km/hの減速が可能となるシステム になっているわけであり、ブザーが鳴って放置していて勝手に停まるシステムではありません。
動画を見る限り、ブザーが鳴ってから衝突までは結構時間がありますので、ここでブレーキペダルを踏めば確実に衝突回避は可能と思います。
ただ、カタログ上のスぺックではブレーキを踏まずとも最大「約30km/h」までは減速するはずなのですが、それは 互いに走行している場合 であり、停止車両に対しての減速度ではないようです。


▼時速20km/hではブレーキを踏まずとも、ちゃんと停まります。(しかし、結構ギリギリ・・・)


ただ、問題なのが、新型ISや、NXやRCに搭載されている プリクラッシュセーフティシステムは、衝突回避支援タイプ【タイプ?U+】と呼ばれるものですが、システムが動作するのが時速15km/h〜となっていますので、それ以下では動作しないことでしょう。

また、NXでは全車速追従型の「レーダークルーズコントロール」を備えていますので、レーダークルーズをセットしていれば衝突する可能性はまずありません。私もレクサスとアウディのレーダークルーズをここ5−6年経験していますが、レーダークルーズでの追従中に減速しなかったケースは1度もありません。(絶対とは言えませんが・・・)

なお、RCのレーダークルーズは全車速追従型ではないので、時速40km/h以下で自動解除されるため、衝突回避にはまったく役に立ちません。

トヨタ/レクサス陣営の問題は、プリクラッシュセーフティシステムという名称でも動作が車種により違うことです。
また、トヨタ/レクサスでは年次改良はおろか、マイナーチェンジでも上位のプリクラッシュシステムに換装されうことは稀です。(実際、タイプ2+発売後にマイナーチェンジしたHS、CTでは旧型が継続採用されています)

現行レクサスのラインナップでは次の通りとなっているようです。

■衝突「被害」軽減タイプ(CT、HS、RXに採用)
 作動速度域15km/h〜180km/h、ブレーキアシストによる低減MAX12km/h、 自動ブレーキによる低減MAX12km/h

■衝突「回避」支援タイプ (タイプ2、GSに採用)
 作動速度域15km/h〜180km/h、ブレーキアシストによる低減MAX30km/h、 自動ブレーキによる低減MAX30km/h

■衝突「回避」支援タイプ(タイプ2+ IS、NX、RCに採用)
 作動速度域15km/h〜180km/h、ブレーキアシストによる低減MAX60km/h、 自動ブレーキによる低減MAX30km/h

■衝突「回避」支援タイプ(タイプ3+ LSに採用)
 作動速度域 5km/h〜180km/h、ブレーキアシストによる低減MAX60km/h、 自動ブレーキによる低減MAX60km/h

今回の一連の動画ではスバル・アイサイトの優秀さ(しかも価格が安い)が際立ちますが、ブレーキをちゃんと踏んだ時の速度低減についてはレクサスの「タイプ2+」であれば最大60km/hであり、ひけを取りません。
しかしながら、せっかくLSではすばらしい制御をみせていながらレクサスオーナーであってもほぼほぼ恩恵を受けることができないのは残念であります。

▼レクサスLSでは王者の貫録、時速50km/hでも楽々制御しています。しかしあのオプション価格は・・・


なお、アイサイトは私も体験済で非常に優秀なシステムですが、後方の車線から接近する車両(トヨタでは、ブラインドスポットモニター)を検知するシステムは準備されていません。
今回のJACAPの実験では、プリクラッシュの実験と、車線逸脱警報(レーンディパーチャーアラート)について点数化されたようですが、日常ではブラインドスポットモニターの恩恵が一番大きいと思われますのでこの辺りも含めて評価すると順位はまた変わってくるかもしれません。

▼レヴォーグ(アイサイトver.3)は時速50km/hでも素晴らしい制御。 カメラのみなのに!

スペック的には輸入車勢の方が安全装備は優れているようにも思いますので、ぜひ次回はメルセデスベンツやボルボ、アウディなどのメーカーも含めて実験してほしいと感じます。

2014年10月27日

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