2012年11月10日
サンプル21
これまでに書いた記事全体の約20%弱をサンプルとして掲載させていただきましたが、これがラストのサンプルです。
「さらばディープブリランテ・・・」
今年のダービー馬に輝いたディープブリランテ(牡3、父・ディープインパクト、母・ラヴアンドバブルズ、その父・ルーソヴァージ)が、先日屈腱炎を発症して菊花賞を回避したばかりであったが、残念ながらそのまま引退し、種牡馬入りすることが決定した。
ひところはずいぶん競走馬のアスリートとしての寿命が延びたものだと感心したこともあったが、近年の犯罪級の高速馬場の影響も(おそらく)あって、ここにきてまた急に競走馬のアスリートとしての寿命が短くなってしまう時代に入り、ディープブリランテもそんな1頭になってしまった。
このコラムにも書いたが、ディープブリランテという馬は、本当に競走馬の鏡というか、常に全力を出し切る必死さが伝わってくる名馬だった。
だからこそ、あの「あまりにも大きなハナ差」をディープブリランテだから勝ちとることができ、共同通信杯から皐月賞までのつらい時期もあったが、あの瞬間まさに「一生懸命走ること」が報われたのではないかと思ったものだ。
ブリランテは非常に馬格があり、お父さんのディープインパクトとは全然似ていないあの馬っぷりが私は大好きだった。
ディープインパクト産駒というのは、何かみんなお父さんが大好きで、ぼくも、私も、お父さんのようになりたいと憧れ、願っているかのような「そっくり」な産駒が多かったが、このディープブリランテという馬だけは、「オヤジは関係ない、俺は俺のやり方でやるんだ!」と、そんなふうに言っているように感じていて、そこにすごく好感を抱いており、産駒の中では1つ上のダコールとともに一番応援していた馬である。
(ちなみにダコールは「オヤジ?しらねぇ・・・」と言っているような気がする)
しかしそれでいながら、産駒の中で第1号のダービー馬に輝いたのだから本当に立派であり、優秀な産駒を輩出し続けているお父さんにとっても、まさに「自慢の息子」という特別な存在だろう。
もちろんこれからはそんな父もライバルとなり、再び厳しい戦いが始まるわけだが、まずはしっかりと脚元を癒して、後継者輩出に励んでもらいたいものである。
もちろんこれから種牡馬になるわけだから、それはそれで良かったと言うべきなのかもしれないが、しかしディープブリランテのアスリートとしての姿をもう見られなくなってしまうというのは、本当に寂しく、残念である。
菊花賞を終えたときにふと気付いた。
先日菊花賞を制したライバルのゴールドシップは、祖父・メジロマックイーンに酷似していると言われるが、人それぞれのいろいろな「思い出の世代」にたとえられるこの世代は、やはりあの芦毛ハクタイセイ(皐月賞)の、アイネスフウジン(ダービー)の、そしてメジロマックイーン(菊花賞)の世代の再来であるという気が個人的にはするのだ。
そんなことを思っていた矢先に、ダービー後、フウジンと同じようにリタイアしてしまったところまで同じになってしまうとは・・・
ともあれ、もう前を向いて、ブリランテ2世がターフに戻ってくるのを待とう。
ダービー馬・ディープブリランテ、お疲れさまでした。
そして、これからもがんばれ!
・ヒルノダムール、引退
故障や引退のニュースが非常に多くなっているためか、まだ闘病しているとばかり思っていたもう1頭の名馬の引退の話題にも触れよう。
昨年の天皇賞・春を優勝していたヒルノダムール(牡5、父・マンハッタンカフェ、母・シェアエレガンス、その父・ラムタラ)も、まだ登録抹消はされていないようだが、しかし約ひと月ほど前に事実上引退していたのだそうだ。
ヒルノダムールも、最強世代(現5歳世代)の中でも根強い人気を誇る名馬で、何か自身はできるだけ目立たないようにしているにもかかわらず、なぜか目立ってしまう「天然」のタイプだった気がする。
しかし実はこの馬もゴールドシップ同様、祖父・ラムタラが非常によく出たタイプで、ゴールドシップと同じくらい引っかからないタイプだっただけに、種牡馬として思われている以上に高い資質を備えているのではないかという気がしている。
そうか、もうラムタラは日本にいないのだから、ヒルノダムールもラムタラの血を伝えるという意味では非常に重要な責務が今後待っていることになる。
かなり重度の屈腱炎だと聞いているので、とにかくしっかりと脚元を治して、父としてもう一度活躍してくれることを願う。
・フランケル、引退
イギリスの「(自称)世界最強馬」であったフランケル(牡4、父・ガリレオ、母・カインド、その父・デインヒル)が、15戦全勝(うちG?T10勝)という、なにか「横綱」という感じの成績で、めでたく引退、種牡馬入りが決まった。
以前書いていたブログにも、2歳の最終戦を見て、「こんな化け物ありえない」という趣旨のことを書いたが、日本からも同期の怪物が2騎(怪物その1=レーヴディソール、怪物その2=オルフェーヴル)登場したから、レーヴディソールには本気でエプソムダービーに挑戦してほしかったし(といっても、肝心のフランケルはダービーには向かわなかったが)。
フランケルは本気で強い。
ダテやスイキョウで「歴史的名馬」と称されるわけではない。
コイツは本気で化け物かつ怪獣だった。
私はいつこの馬が口から火を噴くか楽しみにしていたくらいだ。
そして、フランケルは幸せだった。
ブリランテやヒルノみたいにケガによる志半ばの引退ではなく、「絶頂期の引退」という、競走馬としての理想的な「幕」であったことがひとつ。
そして、もうひとつ・・・
それは、オルフェーヴルと対戦しなくて済んだことである。
これが本当にフランケルにとっては幸せなことだった。
正直いって、これらのどちらが強かったのか、その結果は私には見えない。
もちろん日本でやったらいかにフランケルとて、オルフェーヴルにはかなわない。
もしかしたら現時点でのリヤンドファミユあたりにもかなわないかもしれない。
しかし、フランケルのホーム、イギリスで競馬をしたら・・・私には勝負の行方はどうしても見ることができないのだ。
フランケルはそのくらいの名馬であった。
凱旋門賞でのオルフェーヴルの「あり得ない豪脚」に十分太刀打ちできるくらい、フランケルは名馬だったと私は思う。
コイツの子は本気で期待しちゃうなぁ。
でも、ヨーロッパではちょっと「ガリレオ×デインヒル」が多すぎた世代ではあったけれど・・・
「さらばディープブリランテ・・・」
今年のダービー馬に輝いたディープブリランテ(牡3、父・ディープインパクト、母・ラヴアンドバブルズ、その父・ルーソヴァージ)が、先日屈腱炎を発症して菊花賞を回避したばかりであったが、残念ながらそのまま引退し、種牡馬入りすることが決定した。
ひところはずいぶん競走馬のアスリートとしての寿命が延びたものだと感心したこともあったが、近年の犯罪級の高速馬場の影響も(おそらく)あって、ここにきてまた急に競走馬のアスリートとしての寿命が短くなってしまう時代に入り、ディープブリランテもそんな1頭になってしまった。
このコラムにも書いたが、ディープブリランテという馬は、本当に競走馬の鏡というか、常に全力を出し切る必死さが伝わってくる名馬だった。
だからこそ、あの「あまりにも大きなハナ差」をディープブリランテだから勝ちとることができ、共同通信杯から皐月賞までのつらい時期もあったが、あの瞬間まさに「一生懸命走ること」が報われたのではないかと思ったものだ。
ブリランテは非常に馬格があり、お父さんのディープインパクトとは全然似ていないあの馬っぷりが私は大好きだった。
ディープインパクト産駒というのは、何かみんなお父さんが大好きで、ぼくも、私も、お父さんのようになりたいと憧れ、願っているかのような「そっくり」な産駒が多かったが、このディープブリランテという馬だけは、「オヤジは関係ない、俺は俺のやり方でやるんだ!」と、そんなふうに言っているように感じていて、そこにすごく好感を抱いており、産駒の中では1つ上のダコールとともに一番応援していた馬である。
(ちなみにダコールは「オヤジ?しらねぇ・・・」と言っているような気がする)
しかしそれでいながら、産駒の中で第1号のダービー馬に輝いたのだから本当に立派であり、優秀な産駒を輩出し続けているお父さんにとっても、まさに「自慢の息子」という特別な存在だろう。
もちろんこれからはそんな父もライバルとなり、再び厳しい戦いが始まるわけだが、まずはしっかりと脚元を癒して、後継者輩出に励んでもらいたいものである。
もちろんこれから種牡馬になるわけだから、それはそれで良かったと言うべきなのかもしれないが、しかしディープブリランテのアスリートとしての姿をもう見られなくなってしまうというのは、本当に寂しく、残念である。
菊花賞を終えたときにふと気付いた。
先日菊花賞を制したライバルのゴールドシップは、祖父・メジロマックイーンに酷似していると言われるが、人それぞれのいろいろな「思い出の世代」にたとえられるこの世代は、やはりあの芦毛ハクタイセイ(皐月賞)の、アイネスフウジン(ダービー)の、そしてメジロマックイーン(菊花賞)の世代の再来であるという気が個人的にはするのだ。
そんなことを思っていた矢先に、ダービー後、フウジンと同じようにリタイアしてしまったところまで同じになってしまうとは・・・
ともあれ、もう前を向いて、ブリランテ2世がターフに戻ってくるのを待とう。
ダービー馬・ディープブリランテ、お疲れさまでした。
そして、これからもがんばれ!
・ヒルノダムール、引退
故障や引退のニュースが非常に多くなっているためか、まだ闘病しているとばかり思っていたもう1頭の名馬の引退の話題にも触れよう。
昨年の天皇賞・春を優勝していたヒルノダムール(牡5、父・マンハッタンカフェ、母・シェアエレガンス、その父・ラムタラ)も、まだ登録抹消はされていないようだが、しかし約ひと月ほど前に事実上引退していたのだそうだ。
ヒルノダムールも、最強世代(現5歳世代)の中でも根強い人気を誇る名馬で、何か自身はできるだけ目立たないようにしているにもかかわらず、なぜか目立ってしまう「天然」のタイプだった気がする。
しかし実はこの馬もゴールドシップ同様、祖父・ラムタラが非常によく出たタイプで、ゴールドシップと同じくらい引っかからないタイプだっただけに、種牡馬として思われている以上に高い資質を備えているのではないかという気がしている。
そうか、もうラムタラは日本にいないのだから、ヒルノダムールもラムタラの血を伝えるという意味では非常に重要な責務が今後待っていることになる。
かなり重度の屈腱炎だと聞いているので、とにかくしっかりと脚元を治して、父としてもう一度活躍してくれることを願う。
・フランケル、引退
イギリスの「(自称)世界最強馬」であったフランケル(牡4、父・ガリレオ、母・カインド、その父・デインヒル)が、15戦全勝(うちG?T10勝)という、なにか「横綱」という感じの成績で、めでたく引退、種牡馬入りが決まった。
以前書いていたブログにも、2歳の最終戦を見て、「こんな化け物ありえない」という趣旨のことを書いたが、日本からも同期の怪物が2騎(怪物その1=レーヴディソール、怪物その2=オルフェーヴル)登場したから、レーヴディソールには本気でエプソムダービーに挑戦してほしかったし(といっても、肝心のフランケルはダービーには向かわなかったが)。
フランケルは本気で強い。
ダテやスイキョウで「歴史的名馬」と称されるわけではない。
コイツは本気で化け物かつ怪獣だった。
私はいつこの馬が口から火を噴くか楽しみにしていたくらいだ。
そして、フランケルは幸せだった。
ブリランテやヒルノみたいにケガによる志半ばの引退ではなく、「絶頂期の引退」という、競走馬としての理想的な「幕」であったことがひとつ。
そして、もうひとつ・・・
それは、オルフェーヴルと対戦しなくて済んだことである。
これが本当にフランケルにとっては幸せなことだった。
正直いって、これらのどちらが強かったのか、その結果は私には見えない。
もちろん日本でやったらいかにフランケルとて、オルフェーヴルにはかなわない。
もしかしたら現時点でのリヤンドファミユあたりにもかなわないかもしれない。
しかし、フランケルのホーム、イギリスで競馬をしたら・・・私には勝負の行方はどうしても見ることができないのだ。
フランケルはそのくらいの名馬であった。
凱旋門賞でのオルフェーヴルの「あり得ない豪脚」に十分太刀打ちできるくらい、フランケルは名馬だったと私は思う。
コイツの子は本気で期待しちゃうなぁ。
でも、ヨーロッパではちょっと「ガリレオ×デインヒル」が多すぎた世代ではあったけれど・・・