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第158回天皇賞・秋(G?T)

決して高いとはいえないレベルのメンバーが13頭・・・なんとも寂しい天皇賞である。とはいえ現状日本の中距離トップが概ね出てきた感はある。これだけ小粒なら、安田記念のブラックホークの再来ということで、横山典弘とブラックムーンで一発狙ってやろうかと一瞬思ったが、しかし今秋府中は時計が非常に速いだけに、さすがに展開のはまりようがなさそう。

トップが出そろいながら「小粒」に感じられてしまうフラストレーションから、今後大きく成長してほしいというファンの期待がスワーヴリチャードやレイデオロなどの4歳勢を後押しする人気になっているようにも思う。

フラストレーションといえば、先週の菊花賞はあまりにも残念なレースになってしまった・・・田辺騎手は関西圏の重賞では重症である。以前もマイルCSで「コイツ何考えてんだ?」という駄騎乗を披露したことがあったが、先週の菊花賞はこれに輪をかける、ため息が出るほどのひどさだった。

年1回しかない菊花賞だからもう少しまともなレースを作ってほしかったが・・・いや、もちろん1、2着馬は立派である。これは無条件に。そして乗っていたのはまたもやソツのないルメール、勝負勘に長けたデムーロだった・・・いろいろな意味で、馬券を離れてもなんとも残念な菊花賞だったなぁ。

そういう翌週だけに、そして関東圏のレースだけに、田辺騎手のサクラアンプルールはちょっと買いたい。おそらく田辺騎手自身も「なんというクソ騎乗だったか・・・」と後悔しているはず。いや、後悔してほしい。その反省を今日生かしてほしい気持ちはある。

では予想。

◎ キセキ(本質はこの距離こそ、人気の盲点になりがち、昨年の菊花賞を再評価)
○ サングレーザー(札幌記念は秀逸な内容、ただ、モレイラに合うかどうかは未知)
▲ スワーヴリチャード(将来性期待だが折り合いの不安大、出れば逃げるかも)
△ マカヒキ(クラシックディスタンスは長い、この距離で府中ならある)
△ レイデオロ(ルメールもそんなに毎回勝てないはず、ただし崩れない)
△ ヴィブロス(どスローの可能性も、折り合うから末怖い)
△ サクラアンプルール(田辺の巻き返しに期待)
△ ブラックムーン(横山怖い)

今週はスカッとするレースを見たい!そしてできれば馬券が当たれば尚可である。

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日曜京都〜第79回菊花賞(G?T)

菊花賞らしく晴天で行われそうな日曜京都。しかし相変わらず例年よりも1つか1つ半くらい時計がかかっている。この時期の京都としては極めて珍しい現象である。差してくる組も台頭しているから、流れ次第で菊花賞らしい「強い馬」の誕生を見ることになるかもしれない。そういう意味でも、とても楽しみな菊花賞だ。

ダービー馬ワグネリアンは距離の関係で天皇賞を目指したが、前走快勝の疲れが抜けきれず天皇賞も回避。近年はあまりにもダービーが重要視されてしまう傾向が強く、ダービーで燃え尽きてしまうようなところもあるので、ワグネリアンの秋のつまずきはなんだか不吉である。

その前走で、スタートでのつまずきで自分のレースがまったくできずに4着と敗れた皐月賞馬エポカドーロ(父オルフェーヴル)は人気の一角を形成しそう。オルフェーヴルの父ステイゴールドの子エタリオウ、ハービンジャー産駒ブラストワンピースらが、人気の上ではほとんど差なく推移しそう。

例によって穴を狙いたいところだが、実力伯仲のレースだけに、あまり穴にこだわりすぎるのも逆に危険かなーという気がする。穴を狙うためには、菊花賞だけは許される「血統」に注目するのもおもしろいが、血統だけでいうなら私は母系牝系がシラオキ系のアイトーン(菊花賞ではおなじみリボー、バックパサー、プリメロ(メジロマックイーン、レインボーラインなどの祖先))に頑張ってほしい。ただ、良馬場ではさすがに血統だけでどうにかなるものではなさそう。

そもそも血統だけで話がつくならブラストワンピースだってリボーの(遠い)クロスがあり(昨年のクリンチャーがこのタイプ)、マンハッタンカフェ産駒メイショウテッコンだってアイトーンと似た配合だったりする。何より菊花賞と相性が良い皐月賞馬エポカドーロは、特に母系は血統的にマイナスばかりである。

であれば、やはり菊花賞だけに「展開」を考える必要はある。特にみんなどこで仕掛けるの?というところが非常に重要なポイントになる。今回は、人気勢ではフィエールマン(父ディープインパクト)とエタリオウ、ブラストワンピースらは後方からの競馬になりそうだが、別に先行有利の流れになるわけではない。

京都だと少し不安がある田辺騎手のジェネラーレウーノ(父スクリーンヒーロー、これもヒズマジェスティ=リボー直仔のクロスあり)は、ダービーでの大失敗の反省を生かし、かなり早めから動いていくはず。この流れは先行するエポカドーロにも実は有利。エポカドーロをマークする組の脚を封じる可能性は高い。

このときはじめて人気薄の追い込み馬にチャンスが現れる・・・昨年は積極策で見事に馬券的中のアシストをしてくれたお兄ちゃんに今年も期待したい。しかし今年はあえて「ワンテンポ追い出しを遅らせてくれ!」の願いで、ステイフーリッシュと藤岡佑介のコンビから入る。

この馬もステイゴールド産駒らしく、レースごとの浮沈が激しいタイプ。前走は横山典弘騎手に替わって川田騎手の手綱だったが、なんだか馬のほうがまったく反応せず、やる気のかけらも見せないような気の抜けた走りだった。しかし春の京都新聞杯で藤岡兄が乗ったときの衝撃はすさまじかった。

もともと新馬のレースで、今年はこいつがダービーとるかもなぁと思ったくらい、将来が楽しみな走りだった。素行ははっきりいって不良そのものだったが、走りは本物。なんというか、気が向いてくれたらチャンスはあると思う。お兄ちゃん今年もお願いします!

実質本命級の評価となるジェネラーレウーノが相手筆頭で、人気でもブラストワンピースが単穴。押さえは人気勢のエポカドーロ、差してくる組に注目してユーキャンスマイル(父キングカメハメハ)、先行する組ではステイゴールド産駒アフリカンゴールド、展開に恵まれたときにカフジバンガード(父ハービンジャー)、切れ味鋭いフィエールマンはギリギリ押さえておいたほうがよさそう。

1勝馬ながら菊花賞馬を目指すエタリオウは、前走エポカドーロがつまずいたため先着したこと、そしてワグネリアンが出ないこと、デムーロという3点が人気の理由だろう。どう考えてもエポカドーロに先着できるとは思えないので今回は買わないつもりである。ステイ産駒だから怖いんだけどね。

2年連続で同じレースが当たることなんてまずないが、私はここまで菊花賞2連勝・・・3連勝なんて絶対ありえないということを最後に付け加え、私の予想が今年も読者のみなさんに貢献できる可能性が高まったところで、楽しい今年の菊花賞の予想はおしまいである。

◎ ステイフーリッシュ
○ ジェネラーレウーノ
▲ ブラストワンピース
△ エポカドーロ、ユーキャンスマイル、アフリカンゴールド、カフジバンガード、フィエールマン
重注 アイトーン

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日曜京都〜第23回秋華賞(G?T)

最大のポイントは京都の馬場、例年よりもだいぶ時計がかかっていること。ここにつけ込んで上位進出を狙いたい組を積極的に狙いたい。とはいえ、まずは久々の牝馬三冠を目指すアーモンドアイ(父ロードカナロア)についても触れておかなければならないだろう。

まあ時計がかかる馬場になったこと自体、アーモンドアイには無関係といっていい。時計がかかるからといってアーモンドアイ自身がマイナスになる点は皆無だし、時計の1つや2つで絶対的優位を脅かす組が急浮上することはない。だからアーモンドアイの評価と馬場は完全に切り離して考えなければならない。

アーモンドアイにとって死角となりうるのは、馬場よりもコース形態のほうだろう。このレース、かなり前がかりのレースになることが多い。そういうコースなのだからこれは当然のこと。だから今年もこの非常にトリッキーなコースで波乱の目は十分考えられるのだ。

オークスを振り返ろう。私は「全然大丈夫」というスタンスでアーモンドアイを評価したが、当時「距離がアヤシイんじゃないの?」という声は少なからず聞こえてきた。「父ロードカナロア」のイメージが大きかった。そして確かに府中の芝2400mは、国内で最も厳しいレース・・・長くそういわれてきた。かつては。しかし今は違う。

まずは馬場が改良されたことが大きいが、最後の直線が長くなって(従来でも国内最長だった)、スローのレースが多くなり、レース全体の上がりが非常に速くなったこと、これが現在の府中の傾向である。今年のオークスも「まさに」という、決め手勝負のレースだった。

基本の能力が高いアーモンドアイにとって、そういうレースはお手のものである。しかし、もっと総合力が問われるレースになったとき、「父ロードカナロア」の部分がはじめて顔を覗かせる可能性もあるのではないか・・・そういうところに今回はかけてみたい。もちろんアーモンドアイの評価を不当に下げる意味はない。たった1頭だけ、アーモンドアイを負かす可能性があるなら、というスタンスで臨む。

ブレイム産駒のランドネから入る。私はもともとこの馬に高い素質を感じており、オークスでも高い評価を与えた記憶がある。しかし春は精神的な幼さ、危うさが目立って、正直オークスもケツのほうで負けても不思議ない走りだった。しかし夏を超えて心身ともにたくましくなってきた印象は確かにある。

例年より時計はかかっても、このランドネを含む先行勢は多彩。厳しいレースが予想される。典型的なアメリカ血統で、スピード感ある配合だが、牝系を下支えしているのが5代父マジェスティックライト、その母方祖父リボー。そしてそういう底力を感じさせる走りが、ランドネの魅力だと個人的には思う。

お父さんのブレイムはアメリカの歴史的名馬ゼニヤッタを破った「ヒットマン」である。私はこの馬が大好きで、ちょっと似ているグレイルに注目したのもそういう理由が実はある(←ど素人)のだが、いや、雰囲気的にはお父さんがゼニヤッタを破ったときと似ていると思う。みんなゼニヤッタ負けると思わなかったでしょ?私はブレイムが勝つと思ってたんですよ。馬券買えないときだけカンが当たるんですよ・・・

ということで、この「意外性の血」に気づいた時点で意外性が消えてしまうのが競馬の常だが、なんとかギリギリ明日まで持ってくれねえかなぁ、意外性。

あとはもう押さえでいいだろう。当然2歳女王のラッキーライラック(父オルフェーヴル)にも注目したいところだが、正直、ぶっつけ本番は想定外だったのではないか。オークスでリリーノーブル(休養中)に先着を許したのは、力差ではなく、あくまでもアーモンドアイを真っ向勝負で負かしに行ったから。

ラッキーライラックの評価を下げる必要はないのだが、順調さという点では正直引っ掛かる。それならば、藤岡兄に乗り替わってきたトーセンブレスの長い末脚、堅実なサラキア(共に父ディープインパクト)あたりを上位に取りたい。あとは、まったくの人気薄だが時計がかかって浮上しそうなオスカールビー(父ハーツクライ)、秋華賞で穴をあけるならこのタイプということで、ちょっと買ってみたい。

一瞬の脚があるプリモシーン、めっきり見られなくなった岩田騎手のイン衝きが久々に決まればの可能性で一票を投じたいスカーレットカラー、内枠でけっこう厳しくなったとは思うが、能力高いし武騎手がどうさばくかにも注目したいカンタービレまでとする。

◎ ランドネ
○ アーモンドアイ
△ トーセンブレス、サラキア、ラッキーライラック、プリモシーン、スカーレットカラー、カンタービレ


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クリンチャーと武豊騎手着外・湧き出す疑問〜第97回凱旋門賞観戦記

今年も最高峰レース凱旋門賞が行われ、無事全馬ゴールという最低限の結果を持って終了した。そして今年もまた日本馬が出走し、今年は久しぶりとなったロンシャンで行われた凱旋門賞だった。

注目は馬場かな・・・と思っていた。世界的に見て、どんどん時計が速くなってきているから、日本では考えられないくらいタフなコンディションとなることが多いロンシャンも、今年は時計が速くなるのではないか・・・そんな予感はあった。もちろん一昨年シャンティイで行われた高速決着の凱旋門賞(勝ち馬はファウンド)の衝撃も、残像というにはあまりに強烈すぎた影響もある。

夕べは地上波で凱旋門賞を観戦していて、武騎手が「(自分が経験した)過去のロンシャンでは一番軽い馬場」と表現した馬場状態が紹介されていた。やっぱりねーという感じである。結果的に、この判断が馬券では正解だった。もうひとつ。エネイブルを頭で買えたことも正解だった。

私が馬券を買ったとき、クリンチャーは前日の「5番人気」の想定を覆す「2番人気」の評価を受けていた。はっきりいって、もうクリンチャーの馬券を買いたい意欲は霧消した。私はクリンチャーを応援するためではなく、金もうけしたいからリスクを冒してクリンチャーを本命にしたのだ。もうリスクを冒す価値はなかった。可能性が薄い2番人気のクリンチャーを買うなら、可能性が高い1番人気のエネイブルを買ったほうがマシ・・・率直に、そう思った。その意味では「武豊を応援する」というスタンスの日本人馬券購入者にも感謝しなければならないのかもしれない。

武騎手は日本を代表するトップジョッキーである。今更何をいうかと思うかもしれないが、トップというのは孤高の存在で、私たち凡庸な人間がふつうは考えない考え方でレースに臨む。そして常にベストを尽くす。昨日も武騎手はベストを尽くした。これは間違いない。だから武騎手を責めることはできない。

私のレース結果の、クリンチャーの結果の見解は、テレビでわかりやすい解説をしてくれた岡部幸雄元ジョッキーとほぼ同じ。エネイブルと、大外からあんなに早く仕掛けられても最後まで伸び切ったシーオブクラスの能力が傑出していた・・・それだけのこと。誰が見ても明らかである。

クリンチャーは連覇を果たしたエネイブルと道中同じ位置にいながら直線でズルズルと後退していった。だから、クリンチャーの大敗の理由は、エネイブルとは能力がまったく違ったから・・・この解釈も、岡部さんだけでなく、誰が見ても、もちろん私自身もそう思う。それ以外ない。

武騎手は、クリンチャーを勝たせるために絶好の位置で理想的な、まったくロスのない完ぺきな競馬をした。ベストの騎乗であった。やっぱり誰が見てもそうだ。クリンチャーの力では、とてもではないけれどエネイブルなど強豪を負かすことはできなかった。

ただ問題は——

そんなこと、フォワ賞の結果を見りゃ誰だって知っている

ということだ。誰だって知っているのに、武騎手は知らなかったのだろうか・・・ここが、私が一番引っ掛かるところである。というか、昨日の予想のところでも書いたとおり、レース前から「ここ」を懸念していた。残念ながら、昨日はそういう競馬になってしまった。

いや、武騎手が責められるべき点は皆無。完ぺきに乗った結果である。ただ私がいいたいことは、誰だってわかっているほど歴然の力の開きがあるのに、武騎手は真っ向勝負でどうやったらあんな化け物じみた強豪に勝てると考えたのだろうか?ということである。これが私にとって素朴な疑問なのだ。まさか「どう転んでも勝てるわけねえよ」とは思っていないはずですよね?

結果的に馬券が当たったのはよかったが、武騎手はきっとああいうふうに乗るんだろうなぁ・・・という(私にとって)悪い予感まで的中してしまった。あれはデジャヴだ。もしかしたら、「1番人気でビッグレースを勝つこと」を美学とする武騎手には、どう頑張っても昨日のクリンチャーで勝つことはできなかったのかもしれない。

私が武騎手のスタンスに疑問(というか、私たち凡人との差)を痛感したのが、ハープスター(川田)、ジャスタウェイ(福永)、ゴールドシップ(横山典)が挑んだ凱旋門賞の、豊騎手自身のレース回顧を動画サイトで見たときだ。概要はこんな感じだった。

——日本のトップホース3頭が行くわけだから、どれかは勝つかもしれない、勝っても不思議はないと思っていた。でも正直、いや無理だろう・・・と思った。

豊騎手はそんなことを語っていた。こうも述べていた。

——日本馬が負けたからって、そんなに残念がる必要はないですよ。だって人気の○○だって負けてるじゃないんですか。追加登録料で大金を払って出走した(人気の)××だって全然ダメじゃないですか。だからそんなに落ち込む必要はない。また挑戦すればいいんですよ。今回負けたからって、また挑戦すればいいんだから、過剰に落ち込む必要はないですよ。

確かにそうだ。実際武騎手はまた挑戦して、また大敗した。きっと「また挑戦すればいい」と思っているだろう。そして挑戦するだろう。彼のいっていることに矛盾はない。

ただ、武騎手は私たちファンの目線でものを語ることはない人なんだな、とも感じた。私はゴールドシップを応援していた。ゴールドシップにとっては最初で最後の凱旋門賞だったから、何がなんでも優勝してほしかった。競走馬のファンというのは、きっとそういうものだと思う。「また挑戦」なんて「ない」のである。

もちろんジョッキーは職業だから、ファンのことなんて考える必要はない。ビジネスである。自分の利益を考えればそれでよいのだ。しかし当時の凱旋門賞は、日本で馬券を購入することはできなかった。純粋に「応援する」ことを目的として、多くの日本人のファンが声援を送っていたのだ。私もその1人だった。

もし武騎手に「今回絶対クリンチャーに勝たせたい!」という強い気持ちがあったとしたら、それでも昨日のような「エネイブルを見る絶好位」を選択しただろうか?オルフェーヴルだったら納得できる。ディープインパクトでは絶好位からの競馬を実践していた。でも今回はクリンチャーである・・・これが私にとって大きな疑問なのだ。

アンカツ元騎手は武騎手を評して「人気馬を勝たせるのがうまい」としていた。私は「え!?」と思った。だって武騎手はトップジョッキーですよ。そんなことは当たり前じゃないか・・・そう思った。だからアンカツ元騎手は、裏を返せば「人気薄の馬を勝たせる技術がない」と言いたかったのではないか。いや、技術がないはずはない。もしかしたら「人気薄の馬を勝たせようとする意識に乏しい」のではないか、と・・・

アンカツ騎手は、「勝つためには手段を択ばない騎手」だった。現役では横山典騎手、池添騎手、デムーロ、ルメールあたりがそのタイプ。そして下の世代では田辺騎手がそういう評価を受けているようだが、私は丸田騎手だと思う。最近はクリンチャーの元主戦の藤岡兄もいい。もちろん彼らが武騎手より優れているというわけではない。しかし彼らは武騎手が持っていない「何か」を持っているジョッキーなんじゃないの?とは思っている。

日本のトップである武騎手をくさす発言をする競馬ファンはほとんどいない気がする。神格化されたジョッキーゆえ、仕方がないことだ。もちろん過剰な「アンチ武豊」は一定数いる。でも残念ながら彼らの主張は論拠に乏しく感じられてしまうことが多い。なぜなら、武騎手ほど論理的にものを考え、語るホースマンは他にいないからだ。アンチがくさせばくさすほど、自らの首をしめているようなところがいつもある。

ただ、「何が何でも勝つ」という意識は、セオリーもロジックも度外視しなければ手に入らない考え方の1つの方向性なのではないか・・・そんなふうに感じられた昨日の凱旋門賞であった。

ちなみに私は「アンチ武豊」ではない。アンチではないから別にくさしているつもりもない。ただ、ほんとうに素朴な疑問として感じられたので、こうしてちょっと書いてみた。

さて、これから京都大賞典と、例年は買わない南部杯も予想して、ちょっと手を出してみようかと思う。ほんのちょっとだけど凱旋門賞で利益が出たから、今週はイレギュラーな買い方ができるうれしい週のはじまりである。

クリンチャーの逆襲&武豊悲願成就なるか!?〜日曜ロンシャン・Arc2018!(第97回凱旋門賞)

今年は再びロンシャンで行われる凱旋門賞ということで、日本人にとってはなんとなく落ち着いて世界最高峰のレースに臨むことができる気がする。これまで何度も日本のトップホースが本気で挑み、何度も苦杯をなめさせられ続けた「遺恨」のレースでもある。

いやというほど味わってきた悔しさは今すぐにでも思い出すことができるが、あえて、もう二度と味わいたくない屈辱を、簡単におさらいしておこう。さすがにスピードシンボリのころはスルーするが、「日本代表(格)」の馬たちの惨憺たる結果を、もう一度だけかみしめておきたい。

99年エルコンドルパサー(父キングマンボ)2着→優勝モンジュー(仏・父サドラーズウェルズ)
06年ディープインパクト(父サンデーサイレンス)失格(3位入)→優勝レイルリンク(仏・父ダンシリ)
10年ナカヤマフェスタ(父ステイゴールド)2着→優勝ワークフォース(英・父キングズベスト)
12年オルフェーヴル(父ステイゴールド)2着→優勝ソレミア(仏・父ポリグロウト)
13年オルフェーヴル(父ステイゴールド)2着→優勝トレヴ(仏・父モティヴェータ)
14年ハープスター(父ディープインパクト)、ジャスタウェイ(父ハーツクライ)、ゴールドシップ(父ステイゴールド)いずれも着外→優勝トレヴ(仏・父モティヴェータ)
16年マカヒキ(父ディープインパクト)着外→優勝ファウンド(愛・父ガリレオ)
17年サトノダイヤモンド(父ディープインパクト)着外→優勝エネイブル(英・父ナサニエル)

という具合に、改めて見直してみると、胃のあたりが重苦しく感じられるような、日本の代表馬たちの結果である。ほかにもマンハッタンカフェやメイショウサムソン、ヒルノダムール、ヴィクトワールピサなど(ナカヤマフェスタは2回)そうそうたる面子がチャレンジしたが、相手にしてもらえなかった。

という具合に、日本のホースマン、そして競馬ファンにとって悲願となって久しい凱旋門賞に今年チャレンジするのは、前走フォワ賞で完全な力負けを喫したクリンチャー(父ディープスカイ)と武豊である。

個人的には藤岡佑介のまま凱旋門賞にチャレンジしてほしかったのだが、まあこればかりは仕方がないところ。で、問題は、である。クリンチャーが低レベルのフォワ賞を大敗してとてもではないけれど凱旋門賞制覇なんて夢のまた夢のそのまた夢の夢くいらの評価が下されてしかるべきである。

ところが、「日本は日本だけ」という鎖国状態で販売される予定のクリンチャーの馬券の売れ行きは「すこぶる良好」が予想され、現在19頭中「5番人気」というありえない予想オッズになっているのだ・・・クリンチャーから馬券を買おうと考えていた私としてはおもしろくない。おもしろくないどころか、腹立たしいくらいである。

私が日本人だから唯一の日本馬と日本人ジョッキーを応援する・・・それはもちろん、ある。でもそれはあくまでも心情的な部分であり、馬券はまったく別モノだ。私はクリンチャーの「馬券」を買いたいと思っていたのだ。クリンチャーを応援したいから馬券を買います!という人と同じ立場で馬券を買わなければならないのが、とても悔しいのである。

いや、応援するなと言ってるわけではないんですよ。もちろん馬券を売るなと言っているわけでもクリンチャーの馬券を買うなと言っているわけでも無論ない。でもどう考えても良くてブービー人気くらいの評価にとどまるはずのクリンチャーが5番人気は、どう考えてもおかしい。要は・・・

フランスも日本も他国も「国境なき馬券」を売ってくれぇ〜!!!ということなのだ。だっておかしいでしょ?同じレースを走るのに国によってオッズが異なるなんて。主催者側の「売れりゃなんでもいい」のスタンスはこりごりである。そんなことわざわざこうまでもあからさまに主張しなくたって、十分わかっているんだから・・・

システム上それが無理なら、せめて藤岡兄の手綱で、サトノダイヤモンドとマカヒキあたりが一緒に出走してほしかったなぁ・・・アーモンドアイならなおよかったんだけどね。

まあせっかくなので、なぜクリンチャーが本命なのか、これだけは書いておこう。別に枠もわざわざこれみよがしの最内なんて引かなくてもよかったんだけど、まあ望外の絶好枠が当たったことは間違いない。

それより何より、日本では5番人気よいうアホみたいな予想になっているが、これは日本の競馬ファンによる「武豊を応援する」という気持ちの表れであって、実際のレースではクリンチャーのことを気にするジョッキー、陣営、外国人ファンは皆無であるはず。

凱旋門賞といえば、オルフェーヴルのスミヨンが言った「凱旋門賞は戦争だ」の名言が思い出される。似た力関係どうしが道中からすりつぶし合うのが凱旋門賞なのだ。世界最高峰のレースとはいうけれど、見た目はかなり露骨。クリーンなレースなんてまず期待できないのである。

厳しく激しく心身をすり減らせる有力どころを後目に、先行力があって道中それほどペースが上がらない凱旋門賞でクリンチャーが悠々の逃げを打ったら、本気で可能性あるぞ!?と思いませんか?

残念ながら明日の馬場は良好(稍重)で、他馬が苦しむような馬場にはならない見込みだが、もし単騎で行けたなら、チャンスは十分あると思う。そのときにマイナスになるかもしれないのが、あえていうが名手・武豊である。この人、どうもレース運びがスマートすぎる。何が何でも勝ちたい・・・そういう気概をぜひ「形」にしていただけないだろうか?

そういう意味も込めて、クリンチャーの凱旋門賞挑戦という意味では「武<藤岡兄」と考えていたんだけれど、もうこうなったら武豊のミラクル(「マジック」とはあえていわない)に期待するしかない。もういい加減勝てよ武!とは、あえていいたい。

さあ、言いたいことは言ったので、あとは馬券を買って待つばかりである!

◎ クリンチャー
○ ヌフボスク(以前のロンシャンより馬場速そう、スピード感ある配合で浮上)
▲ シーオブクラス(母父は日本の速い馬場に対応、馬券当たったので心情的にも応援)
△ タリスマニック、ヴァルトガイスト、マジカル、エネイブル、クロスオブスターズ
重注 バタスコイ
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