2016年10月14日
日曜京都〜第21回秋華賞(G?T)
第1回秋華賞の勝ち馬ファビラスラフインは、春のNHKマイルCで暴走気味のペースに巻き込まれ馬群にんだ。しかしいきなりぶっつけ本番でこの秋華賞に臨んできて、完全にステイヤーの体型へと進化を遂げ、あのエアグルーヴ以下を完全に封じ込める快勝だった。
エアグルーヴはレース中の骨折が原因の凡走と説明されたが、確かに凡走の理由はそうかもしれないものの、あの日のファビラスラフインに勝てたかとなると正直怪しい。当時の馬場にしては時計が速すぎたし、ファビラスラフインは続くJCでなんとあのシングスピールとデットーリの鉄壁コンビにハナだけ届かなかった2着の星があった。
勝ったファビラスラフイン、2着エリモシック(女王杯で絶対女王ダンスパートナーを撃破)、3着ロゼカラー(ローズバドらの母)、そしてエアグルーヴはもちろんだが、京都内回りの芝2000mというトリッキーなコースゆえ、レースのイメージはレース名ほど華やかではないものの、このレースは第1回に限らず、たいへんな名牝を送り続けている。と同時に、毎年判で押したように波乱、もしくは大波乱、あるいは「考えられないレベルの波乱」が断続的に起こる理由は、やはりその特有のコース形態にある。
そして、歴代に刻まれるような名牝を毎年のように送りだす出世レースの秋華賞が小回りで行われると、ペースは自然と速くなり、レースレベルも自然と高くなる。逆にそういうレースを好タイムで乗り切ることができる底力が求められるレースなのである。小回りだから素軽いスピードでどうにかなるというものではない。後に名牝として名を残し、その子供たちにも伝えるべき資質が問われるのが、この秋華賞の最大の特徴である。
今年はビッシュ(父ディープインパクト)が後方からの競馬になる。内枠に入った桜花賞馬ジュエラー(父ヴィクトワールピサ)の位置取りがポイント。G?Tのデムーロだから下手な騎乗はしないだろう。好位のインを死守しながらソツないレースをイメージしているだろう。
ふつうこの感じだと、そこまでペースは速くならないことが想定されるが、秋華賞はそうはかない。ジュエラーをマークしたりビッシュを待っていたりするようでは、伏兵としてのチャンスが台無しだからである。先にいったほうが有利なコースで、有力馬が先に行かないならば、自分が行けばいい。伏兵は先に行く組。これは、厳しいペースの秋華賞で毎年のように私たちが目にすることになる経験則である。
前走大敗したエンジェルフェイス(父キングカメハメハ)は、中山のトライアル紫苑Sで大敗を喫した。しかし身体はだいぶ太く、終始外を回ってかかっていた。事態は激しく好転する。鞍上はこのレースを知り尽くしている浜中騎手・・・間違いなく先に行くこのエンジェルフェイスをつかまえられる可能性がある伏兵を狙う。
中心は人気薄確実のウインファビラス(父ステイゴールド)にした。前走紫苑Sでは、絶好の位置取りから勝負所でカットされて下がり、脚を余すような内容の8着。もともと賞金に余裕があったから、つくり自体もかなり緩い印象を受けた。
カロから伝わる黒っぽい芦毛に「ファビラス」を配しているところまでは、第1回勝ち馬のファビラスラフインと同じ。ステイヤーらしいすっきりしたシルエットもファビラスラフインにオーバーラップするところがある。当時は松永騎手。今度は松岡騎手が、20年ぶりに大逆転劇を演出してくれるのではないか・・・という大波乱に期待する。
当然ビッシュは有力。シンハライトが出ていたら互いにけん制しあって共倒れ・・・という期待も内心あったのだが、シンハライトのリタイアは、ビッシュ=戸崎騎手にとっては、ジュエラーという明確な目標がいる分、競馬がしやすくなっただろう。ただし、目標としての役割をジュエラー=デムーロが満足に担い切ったときは・・・という注文がつく気がする。
秋華賞だから許される、まったく人気も実績もない組にも注意を向けたい。もう1頭の芦毛・キンショーユキヒメ(父メイショウサムソン)は、前走稍重の1000万条件で、内に入れても終始かかりぎみ、一瞬の脚がないから勝負所では岩田騎手がスペースを見つけることができず、完全に脚を余しての3着。勝ったミエノサクシード(父ステイゴールド)とは対照的な競馬だった。
今回は大外を引いた分折り合いは心配だが、ペースが速くなればこの馬にとってむしろ大きなチャンスとなる。キンショーユキヒメも積極的に買いたい。
あとは、ルメールのパーシーズベスト(父ディープインパクト)は、ふつうで考えたら京都内回りのハイペースで好結果を望めるタイプではない。しかしそういうときのルメールは、名手の手腕を余すところなく発揮する。馬というよりは騎手で押さえたい。
あとは好調が伝えられるレッドアヴァンセ(父ディープインパクト)は、おそらく前走の内容を受けて、武豊騎手は最後方待機で大外強襲を狙ってくるだろう。嵌る可能性はある。できれば少し渋ったほうがいいかもしれない。外から先行して折り合うことができれば、カイザーバル(父エンパイアメーカー)も好勝負可能だろう。道悪になったらクロコスミア(父ステイゴールド)も押さえる。
今年は非常に楽しみな秋華賞、大波乱に期待して手広く買いたい。
◎ ウインファビラス
○ エンジェルフェイス
▲ ビッシュ
△ キンショーユキヒメ、レッドアヴァンセ、ジュエラー、カイザーバル、パーシーズベスト
重注 クロコスミア
エアグルーヴはレース中の骨折が原因の凡走と説明されたが、確かに凡走の理由はそうかもしれないものの、あの日のファビラスラフインに勝てたかとなると正直怪しい。当時の馬場にしては時計が速すぎたし、ファビラスラフインは続くJCでなんとあのシングスピールとデットーリの鉄壁コンビにハナだけ届かなかった2着の星があった。
勝ったファビラスラフイン、2着エリモシック(女王杯で絶対女王ダンスパートナーを撃破)、3着ロゼカラー(ローズバドらの母)、そしてエアグルーヴはもちろんだが、京都内回りの芝2000mというトリッキーなコースゆえ、レースのイメージはレース名ほど華やかではないものの、このレースは第1回に限らず、たいへんな名牝を送り続けている。と同時に、毎年判で押したように波乱、もしくは大波乱、あるいは「考えられないレベルの波乱」が断続的に起こる理由は、やはりその特有のコース形態にある。
そして、歴代に刻まれるような名牝を毎年のように送りだす出世レースの秋華賞が小回りで行われると、ペースは自然と速くなり、レースレベルも自然と高くなる。逆にそういうレースを好タイムで乗り切ることができる底力が求められるレースなのである。小回りだから素軽いスピードでどうにかなるというものではない。後に名牝として名を残し、その子供たちにも伝えるべき資質が問われるのが、この秋華賞の最大の特徴である。
今年はビッシュ(父ディープインパクト)が後方からの競馬になる。内枠に入った桜花賞馬ジュエラー(父ヴィクトワールピサ)の位置取りがポイント。G?Tのデムーロだから下手な騎乗はしないだろう。好位のインを死守しながらソツないレースをイメージしているだろう。
ふつうこの感じだと、そこまでペースは速くならないことが想定されるが、秋華賞はそうはかない。ジュエラーをマークしたりビッシュを待っていたりするようでは、伏兵としてのチャンスが台無しだからである。先にいったほうが有利なコースで、有力馬が先に行かないならば、自分が行けばいい。伏兵は先に行く組。これは、厳しいペースの秋華賞で毎年のように私たちが目にすることになる経験則である。
前走大敗したエンジェルフェイス(父キングカメハメハ)は、中山のトライアル紫苑Sで大敗を喫した。しかし身体はだいぶ太く、終始外を回ってかかっていた。事態は激しく好転する。鞍上はこのレースを知り尽くしている浜中騎手・・・間違いなく先に行くこのエンジェルフェイスをつかまえられる可能性がある伏兵を狙う。
中心は人気薄確実のウインファビラス(父ステイゴールド)にした。前走紫苑Sでは、絶好の位置取りから勝負所でカットされて下がり、脚を余すような内容の8着。もともと賞金に余裕があったから、つくり自体もかなり緩い印象を受けた。
カロから伝わる黒っぽい芦毛に「ファビラス」を配しているところまでは、第1回勝ち馬のファビラスラフインと同じ。ステイヤーらしいすっきりしたシルエットもファビラスラフインにオーバーラップするところがある。当時は松永騎手。今度は松岡騎手が、20年ぶりに大逆転劇を演出してくれるのではないか・・・という大波乱に期待する。
当然ビッシュは有力。シンハライトが出ていたら互いにけん制しあって共倒れ・・・という期待も内心あったのだが、シンハライトのリタイアは、ビッシュ=戸崎騎手にとっては、ジュエラーという明確な目標がいる分、競馬がしやすくなっただろう。ただし、目標としての役割をジュエラー=デムーロが満足に担い切ったときは・・・という注文がつく気がする。
秋華賞だから許される、まったく人気も実績もない組にも注意を向けたい。もう1頭の芦毛・キンショーユキヒメ(父メイショウサムソン)は、前走稍重の1000万条件で、内に入れても終始かかりぎみ、一瞬の脚がないから勝負所では岩田騎手がスペースを見つけることができず、完全に脚を余しての3着。勝ったミエノサクシード(父ステイゴールド)とは対照的な競馬だった。
今回は大外を引いた分折り合いは心配だが、ペースが速くなればこの馬にとってむしろ大きなチャンスとなる。キンショーユキヒメも積極的に買いたい。
あとは、ルメールのパーシーズベスト(父ディープインパクト)は、ふつうで考えたら京都内回りのハイペースで好結果を望めるタイプではない。しかしそういうときのルメールは、名手の手腕を余すところなく発揮する。馬というよりは騎手で押さえたい。
あとは好調が伝えられるレッドアヴァンセ(父ディープインパクト)は、おそらく前走の内容を受けて、武豊騎手は最後方待機で大外強襲を狙ってくるだろう。嵌る可能性はある。できれば少し渋ったほうがいいかもしれない。外から先行して折り合うことができれば、カイザーバル(父エンパイアメーカー)も好勝負可能だろう。道悪になったらクロコスミア(父ステイゴールド)も押さえる。
今年は非常に楽しみな秋華賞、大波乱に期待して手広く買いたい。
◎ ウインファビラス
○ エンジェルフェイス
▲ ビッシュ
△ キンショーユキヒメ、レッドアヴァンセ、ジュエラー、カイザーバル、パーシーズベスト
重注 クロコスミア