2016年10月22日
日曜京都〜第77回菊花賞(G?T)
菊花賞である。
注目は、皐月賞馬ディーマジェスティとダービー2着馬サトノダイヤモンドのディープインパクト産駒2騎。例によって人気2頭、京都外回りの芝3000mのコースで、まずはこれらのどちらが上位なのか、その検証から。
サトノダイヤモンドのデビュー戦を見たとき、私はいよいよ超大物のディープインパクト牡馬が登場したと感じた。実際、ダービーも、内容だけみればほぼ勝ちに等しい2着。もしこちらが凱旋門賞に行っていたら、勝ち負けはともかく、そしてマカヒキをけなすつもりはないが、サトノダイヤモンドなら正直もう少しやれていたと思う。私は、順調なら「日本の悲願」を達成するのは、サトノダイヤモンドだと今でも思っている。
対するディーマジェスティは、サトノダイヤモンドほどの安心感というか、安定感はやや欠ける印象がある。皐月賞をあまりにも速い時計で走ってしまったその反動で、ダービーはおそらく本調子からはだいぶ遠かった気がする。しかしそれでも「勝つか?」と思われる脚をつかったくらいだから、その後の反動もまた心配になるほどだった。
ところが前回のセントライト記念、二ノ宮厩舎だから菊花賞前のソフトな仕上げでも、はっきり言って他とはまったく力が違う内容での快勝。サトノダイヤモンドも苦戦という評価が大半だが、いや、あれは全然苦戦ではなく、着差が少ないだけのこと。どちらも好内容のステップを踏んで本番に挑む。
で、個人的なこの両者の比較の結論を言うなら、私はディーマジェスティのほうだと思う。理由は、シンプルに「距離」にある。もちろんサトノダイヤモンドは京都外回りの菊花賞コースをこなせないはずはない。折り合いに心配はなく、操縦性も高い。だから崩れないという意味では、おそらくサトノダイヤモンドの安定感が上回る。しかし人気2頭である。崩れないのはむしろ当たり前のことで、どちらが上にくるかを当てないと、私のような穴屋は話にならないレースなのである。
ディープインパクト産駒はなんというか、ちょっと真面目すぎるところがあって、限界を超えても走り続ける競走馬の優れた本能に勝ちすぎている印象がある。ディーマジェスティもおそらくその典型だろう。しかしディープ牡馬の場合、そういう厳しい競馬の反動が大きく、故障や原因不明の不調などにつながってしまうことが多い。
ディーマジェスティも、他のディープ牡馬のようにそうなってしまうかもしれないと、本音をいうと懸念していた。しかしディーマジェスティは違った。その理由は、母方の血がタフであること。何度も負けてから強くなった三冠馬ナリタブライアンや、怪物グラスワンダー、そしてモーリスを送ったタフなロベルト、さらにグロースターク、リボーの血はもちろんだが、さらにさかのぼるとサドラーズウェルズ、ボールドルーラーなど、タフな血の上塗りが繰り返されながら、もっとも栄えた牝系のひとつに流れ込むような特徴がある。
共同通信杯のときに思ったが、ディーマジェスティの良さは、父ディープインパクトに似ていないところ。もちろんディープインパクトは優れている。しかし「ディープに似ているから優れている」とは言えない。むしろ逆の可能性のほうが大きい。似ているだけではダメなのである。ディープに似ていないからこそ、新たな可能性が生じる。
ディーマジェスティは、同じ三冠馬でも、お父さんのように、そしてその産駒の多くのように「飛ぶ」と評されるような美しい走りではない。同じ三冠馬でも、むしろナリタブライアンやオルフェーヴルのように、うなりを上げて沈み込むような走りに変化するところに凄みを感じる。
サトノダイヤモンドは近年屈指の好素材だが、ディーマジェスティは厳しい菊花賞でこそ、そのポテンシャルを最大に発揮すると思う。これが両者の比較である。これが当たらないと、私の馬券はお話にならないのだ。頼んだよ、ディーマジェスティとエビショー。
さて、本命は、ダービーのときにも期待したレインボーライン(父ステイゴールド)である。はっきり言ってそこまで強調するようなポイントもないのだが、この馬は、ディーマジェスティのような厳しい競馬は経験していないものの、2歳時からずっと使い詰めで使い続けてこられながらも、徐々に体重を増やしながら、成績も安定していきているという点で、最も菊花賞に向くタイプである。あとはステイゴールド産駒特有の意外性には、2歳時から大きな魅力を感じていたし、ちょっとした馬券もプレゼントしてもらったし。
母方の7代父プリメロは、メジャーとは言えないものの、メジロマックイーンに代表されるタフな血の根幹を成し、8代父トウルヌソルは菊花賞勝ち馬を多く出すハイペリオン系の祖だったりする。こういう血を振り返ることができるのも、菊花賞にレインボーラインのような馬が出走してくれるから。というか、今どきこんな血を持った馬がいるのかと、内心2歳時から菊花賞はこの馬でと決めていたようなものである。
伏兵という意味では、またまたディープ産駒になるが、こちらもタフなドイツ血統のウムブルフがいかにもの感じ。おそらく穴に人気するだろう。神戸新聞杯組では、ミッキーロケット(父キングカメハメハ)の上昇は確かに怖いが、私は4着カフジプリンス(父ハーツクライ)、3着レッドエルディスト(父ゼンノロブロイ)のほうが菊花賞向きに思える。
あとは、秋になったら・・・の思いが強かったドリームジャーニー産駒のミライヘノツバサ、そして穴中の穴では、昨年超ハイペースの秋華賞を強気に先行しながら3着に踏ん張りきったマキシマムドパリの全弟サトノエトワール(父キングカメハメハ)と池添騎手にも少しだけ期待して、特殊な距離だけにちょっと評価を上げてみたい。
◎ レインボーライン
〇 サトノエトワール
▲ ディーマジェスティ
△ サトノダイヤモンド、ウムブルフ、カフジプリンス、レッドエルディスト、ミライヘノツバサ
注目は、皐月賞馬ディーマジェスティとダービー2着馬サトノダイヤモンドのディープインパクト産駒2騎。例によって人気2頭、京都外回りの芝3000mのコースで、まずはこれらのどちらが上位なのか、その検証から。
サトノダイヤモンドのデビュー戦を見たとき、私はいよいよ超大物のディープインパクト牡馬が登場したと感じた。実際、ダービーも、内容だけみればほぼ勝ちに等しい2着。もしこちらが凱旋門賞に行っていたら、勝ち負けはともかく、そしてマカヒキをけなすつもりはないが、サトノダイヤモンドなら正直もう少しやれていたと思う。私は、順調なら「日本の悲願」を達成するのは、サトノダイヤモンドだと今でも思っている。
対するディーマジェスティは、サトノダイヤモンドほどの安心感というか、安定感はやや欠ける印象がある。皐月賞をあまりにも速い時計で走ってしまったその反動で、ダービーはおそらく本調子からはだいぶ遠かった気がする。しかしそれでも「勝つか?」と思われる脚をつかったくらいだから、その後の反動もまた心配になるほどだった。
ところが前回のセントライト記念、二ノ宮厩舎だから菊花賞前のソフトな仕上げでも、はっきり言って他とはまったく力が違う内容での快勝。サトノダイヤモンドも苦戦という評価が大半だが、いや、あれは全然苦戦ではなく、着差が少ないだけのこと。どちらも好内容のステップを踏んで本番に挑む。
で、個人的なこの両者の比較の結論を言うなら、私はディーマジェスティのほうだと思う。理由は、シンプルに「距離」にある。もちろんサトノダイヤモンドは京都外回りの菊花賞コースをこなせないはずはない。折り合いに心配はなく、操縦性も高い。だから崩れないという意味では、おそらくサトノダイヤモンドの安定感が上回る。しかし人気2頭である。崩れないのはむしろ当たり前のことで、どちらが上にくるかを当てないと、私のような穴屋は話にならないレースなのである。
ディープインパクト産駒はなんというか、ちょっと真面目すぎるところがあって、限界を超えても走り続ける競走馬の優れた本能に勝ちすぎている印象がある。ディーマジェスティもおそらくその典型だろう。しかしディープ牡馬の場合、そういう厳しい競馬の反動が大きく、故障や原因不明の不調などにつながってしまうことが多い。
ディーマジェスティも、他のディープ牡馬のようにそうなってしまうかもしれないと、本音をいうと懸念していた。しかしディーマジェスティは違った。その理由は、母方の血がタフであること。何度も負けてから強くなった三冠馬ナリタブライアンや、怪物グラスワンダー、そしてモーリスを送ったタフなロベルト、さらにグロースターク、リボーの血はもちろんだが、さらにさかのぼるとサドラーズウェルズ、ボールドルーラーなど、タフな血の上塗りが繰り返されながら、もっとも栄えた牝系のひとつに流れ込むような特徴がある。
共同通信杯のときに思ったが、ディーマジェスティの良さは、父ディープインパクトに似ていないところ。もちろんディープインパクトは優れている。しかし「ディープに似ているから優れている」とは言えない。むしろ逆の可能性のほうが大きい。似ているだけではダメなのである。ディープに似ていないからこそ、新たな可能性が生じる。
ディーマジェスティは、同じ三冠馬でも、お父さんのように、そしてその産駒の多くのように「飛ぶ」と評されるような美しい走りではない。同じ三冠馬でも、むしろナリタブライアンやオルフェーヴルのように、うなりを上げて沈み込むような走りに変化するところに凄みを感じる。
サトノダイヤモンドは近年屈指の好素材だが、ディーマジェスティは厳しい菊花賞でこそ、そのポテンシャルを最大に発揮すると思う。これが両者の比較である。これが当たらないと、私の馬券はお話にならないのだ。頼んだよ、ディーマジェスティとエビショー。
さて、本命は、ダービーのときにも期待したレインボーライン(父ステイゴールド)である。はっきり言ってそこまで強調するようなポイントもないのだが、この馬は、ディーマジェスティのような厳しい競馬は経験していないものの、2歳時からずっと使い詰めで使い続けてこられながらも、徐々に体重を増やしながら、成績も安定していきているという点で、最も菊花賞に向くタイプである。あとはステイゴールド産駒特有の意外性には、2歳時から大きな魅力を感じていたし、ちょっとした馬券もプレゼントしてもらったし。
母方の7代父プリメロは、メジャーとは言えないものの、メジロマックイーンに代表されるタフな血の根幹を成し、8代父トウルヌソルは菊花賞勝ち馬を多く出すハイペリオン系の祖だったりする。こういう血を振り返ることができるのも、菊花賞にレインボーラインのような馬が出走してくれるから。というか、今どきこんな血を持った馬がいるのかと、内心2歳時から菊花賞はこの馬でと決めていたようなものである。
伏兵という意味では、またまたディープ産駒になるが、こちらもタフなドイツ血統のウムブルフがいかにもの感じ。おそらく穴に人気するだろう。神戸新聞杯組では、ミッキーロケット(父キングカメハメハ)の上昇は確かに怖いが、私は4着カフジプリンス(父ハーツクライ)、3着レッドエルディスト(父ゼンノロブロイ)のほうが菊花賞向きに思える。
あとは、秋になったら・・・の思いが強かったドリームジャーニー産駒のミライヘノツバサ、そして穴中の穴では、昨年超ハイペースの秋華賞を強気に先行しながら3着に踏ん張りきったマキシマムドパリの全弟サトノエトワール(父キングカメハメハ)と池添騎手にも少しだけ期待して、特殊な距離だけにちょっと評価を上げてみたい。
◎ レインボーライン
〇 サトノエトワール
▲ ディーマジェスティ
△ サトノダイヤモンド、ウムブルフ、カフジプリンス、レッドエルディスト、ミライヘノツバサ