そして、時は流れMTV時代に突入した80年代のロックでビデオクリップで流れた「ロンリー・ハート」、これにはブッたまげました。髪の毛が逆立ちました。これがあのイエスの曲なのか、でもヴォーカルは間違いなくジョン・アンダーソンでした。組曲だった『CLOSE TO THE EDGE』とは違い、短い時間の中に凝縮されたカッコイイロックナンバーでした。
「OWNER OF A LONELY HEART」(ロンリー・ハート)はとてもタイトでテクニカルなロックナンバー、トレヴァー・ラヴィンのギターが曲を引っ張っているのが特徴、これがスティーヴ・ハウだったらこうすっきりリズムに乗り切れないのではないだろうか。ギターの音像が後ろに引っ込んだり、前に飛び出してきたりする、見事な構成。ハーモニーが陽炎のように遙か彼方に漂うのもゾクゾク感に寄与しています。
「HOLD ON」「CHANGES」のベースラインとドラムスの力強さは、パワーポップの系譜です。
「IT CAN HAPPEN」これもリズムが重厚なナンバーです。
正直「OWNER OF A LONELY HEART」以外の曲は、飛び抜けて良いとは思えないのですが、全体をパワーポップ系の乗りが支配していることもあり通した印象は聴きやすくて悪くないです。これはプロデューサーのトレヴァー・ホーンの手腕とトレヴァー・ラヴィンとの相性の良さによるものかもしれない。
でも『CLOSE TO THE EDGE』の緊張感、緊迫感がないため、これをイエスとは認めがたいファンはきっといるのに違いないなぁ。